西アフリカのマリで、9―10世紀ごろとみられる大規模な石造りの建物跡が見つかり、調査した竹沢尚一郎国立民族学博物館教授(西アフリカ史)が18日、発表した。
当時のアラビア語の文献に記録があるものの、詳細が不明だったガオ帝国の王宮だった可能性があるという。竹沢教授によると、王宮跡とすれば西アフリカでは最古。
竹沢教授は1981年からマリで調査を開始。昨年、南山大(名古屋市)と合同でマリ東部のガオ市で発掘していた。
2004年に建物跡の一部が見つかったため、発掘区域を拡大。新たに東西約65メートル以上、南北35メートル以上の建物跡を確認したという。
壁の厚さは約1.2メートルで、高さは約1.5メートル分しか残っていなかったが、竹沢教授は「かつては10メートル以上あっただろう」と推測している。
建物の内部からは北アフリカ産のガラス容器片やビーズ、磁器など遺物約1万点が出土。サハラ砂漠を縦断する交易でもたらされたとみられ、ガラス容器片の形などから9世紀ごろと判断した。
竹沢教授は「10世紀の文献に『王は西の都市に城壁のある館を持ち、王と宦官(かんがん)だけが住んでいる』と記されており、今回見つかった建物跡が『城壁のある館』だった可能性もある。今後の調査に期待したい」としている。
アフリカ南部のジンバブエでは、13―14世紀の王宮跡とみられる古代の巨大な石造建築が見つかっている。
ZAKZAK 2007/01/19