日の当たる場所を求めて

	捕手 （６２）渡辺　孝男わたなべ　たかお （２６歳＝９年、北海道、右右）
	（試）（打）（安）（本）（打）（盗）（率） 　　４　　０　　０　　０　　０　　０　───
（１）札幌篠路（２）９１年７位（３）６５０（４５８０）（４）サンワード貿易（５）肩とひじの故障に悩んだ

　捕手層の強化を図る西武は、渡辺をまだ戦力として計算していた。しかし、今年７月２６日、都市対抗１回戦の「サンワード貿易―日産自動車」の試合を観戦した時一大決心をした。「あの大歓声に心が動かされた。あの興奮の中で野球がしたい」。

　サンワード貿易を指揮していたのは、渡辺が西武に入団した９１年、当時２軍で監督をしていた和田博実総監督（６４）。恩師からの誘いもあった。

　しかし、それ以上に、東京ドームの大歓声が野球人、渡辺の本能をくすぐった。「野球選手は（１軍の）試合に出て、なんぼ」。その思いがプロから身を引く大きな要因となった。

　「思い出は９２年の日本シリーズで伊東さんと中尾さんの次の捕手としてベンチ入りしたことぐらいですね」。大舞台でのプレーに飢えていた渡辺が、スポットライトを求めて第２の人生を歩んでいく。【山内崇章】