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慶大生の「海の家」奮戦記(上) あのビリギャルもかつて参加した慶応大学キャンプストア

大学生が自ら運営する海の家が神奈川県葉山町にあるのをご存知だろうか。「慶応義塾学生CampStore」という名称で、慶大広告学研究会が運営主体だ。実は今年で60回を迎える老舗で、慶応広研に在籍したサ…

authored by 慶応義塾学生Campstore広報

 大学生が自ら運営する海の家が神奈川県葉山町にあるのをご存知だろうか。「慶応義塾学生CampStore」という名称で、慶大広告学研究会が運営主体だ。実は今年で60回を迎える老舗で、慶応広研に在籍したサントリーホールディングスの佐治信忠会長や女優の壇ふみさん、紺野美紗子さん、最近では「ビリギャル」のモデルとなった小林さやかさんといった著名人も参加した経験がある。今年も7月11日に開店し、海の日を含む3連休には多くの客でにぎわった。8月末の閉店までの運営学生の奮闘ぶりを3回に分けてリポートする。

飲み放題バーベキューは大成功

 「焼きそば2丁!」「生ビールの追加よろしく!」。オーダーが飛び交い、キッチンやバーカウンターはフル回転。快晴が続いた3連休には延べ180人の客が訪れ、開店後一番の盛り上がりだった。特に人気は店頭で行っているバーベキュー。火おこしなどのバーベキュー台の準備から片付けまで全て店側が行うという手軽さに加え、肉の食べ放題にアルコールの飲み放題が付いたプラン(6000円、学割だとなんと3000円!)が用意されていることから、注文する客が後を絶たない。汗だくになって火おこしをするが、営業はスタートダッシュが大切だ。連休最終日の20日の閉店後、電卓をたたくと3日間の店の売り上げは20万円。目標クリアにちょっと頬が緩む。

3連休にはたくさんのお客が来てくれた

 「慶応義塾学生CampStore」は広告学研究会の学生自らの手で営業はもちろん、施設の設計、建設まで全て行っている。CampStoreという名前には、仲間と共同生活を送り、共に一生忘れられない一夏の思い出を築いていくといったcampの側面と、研究会として海の家という店を実際に運営することの難しさを学ぶといったstoreの側面の2つの意味が込められている。一見、華やかな海の家だが、実際は苦労の連続だ。

まっさらな砂浜に自分たちで建てた

 海の家は1955年の開業以来、60年間受け継がれてきた設計図をもとに、土日を使って約1ヵ月かけてまっさらな砂浜から建てる。鉄骨の組み立てから内装まで、学生たちが試行錯誤を重ねる。もちろん、地域住民の方のご協力も欠かせない。どうしてもプロにしか出来ない部分もあるからだ。

砂浜に鉄骨を組み立てていく

 運営にあたっては多くの企業から協賛をいただいている。学生のみで運営していることから、資金には限界がある。このため、企業からもらえたり借りたりする食材や冷蔵ショーケースなどの物品協賛は貴重である。企業側に対しては、慶応義塾大学の学生が運営している海の家で宣伝活動が行えるといったメリットがあることを訴えて、協賛につなげている。広研の実践活動でもある。

 このようにして、7月初旬に学生の力によって店が完成した。11日に初の営業日を迎え、梅雨の中休みの晴天もあいまって多くの広研OBが客として来店。共に開店を祝い、店は大盛況となった。

地元の方の協力も得た。後列はヤンキーではなく慶大生

 ただ、海の家は天候に左右されやすい。16、17日に日本列島を襲った台風11号の影響で開店式の翌週はいきなり閉店を余儀なくされた日もあった。それだけに梅雨明け直後の3連休の盛況がうれしかった。

 1970年代から80年代にかけてはここと同じような、首都圏の大学の広研が運営するCampStoreがいくつもあった。しかしスポンサー難でその後、相次ぎ閉店し、今では慶大のほかは立教大の広告研究会の店が千葉県館山市の北条海岸にあるくらいだ。それだけに先輩たちが築いた遺産をしっかり受け継いでいかなければならない。

 これから波に乗っていく慶応義塾学生Campstore、ここを舞台にこれからどのようなひと夏のストーリーを、僕たちは描いていくのだろうか。
(慶応義塾学生Campstore広報 高橋 優)

今季の運営スタッフ

慶応義塾学生Campstoreの場所は、神奈川県葉山町御用邸下大浜海岸 
公式サイト http://koad.jp/campstore60th/HTML/

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