労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 2000年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。

2021.01.14 【判決日:2020.10.13】
大阪医科薬科大学事件(最三小判令2・10・13) バイトへのボーナス不支給めぐり最高裁判断は 賞与なしも不合理ではない NEW
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 アルバイトに賞与をまったく支給しないのは不合理とした事案の上告審。最高裁は賞与の支給目的を、業務内容の難度や責任の程度が高い正職員の人材確保や定着としたうえで、登用制度があることも考慮して、高裁判断を覆し請求を斥けた。私傷病で欠勤した正職員への賃金保障は長期勤続の期待に基づくもので、アルバイトは更新の実態から趣旨に合致せず不支給でも不合……[続きを読む]

2021.01.07 【判決日:2020.10.13】
メトロコマース事件(最三小判令2・10・13) 約10年勤務した契約社員に退職金支払い必要か 支給目的は正規の確保定着
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 約10年勤続した契約社員に退職金の支払いを命じた高裁判決の上告審。最高裁は、退職金の支給目的は正社員の確保定着であり、相違を不合理ではないとした。両者は職務の内容や配置転換の可能性が異なると認めたうえで、売店業務に従事する正社員の一部は、組織再編により別法人から雇用するなど賃金の変更や配置転換が困難だったことを「その他の事情」として考慮……[続きを読む]

2020.12.10 【判決日:2020.02.19】
山口県立病院機構事件(山口地判令2・2・19) 就業規則に「契約5年まで」さかのぼって通算は 更新上限1年で雇止め不可
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 契約更新する期間は「就業規則の範囲内」で「原則5年以内」と契約書に記載して、翌年に雇止めした事案。平成25年にさかのぼって通算5年までとした就業規則の内容は契約更新後に説明された。山口地裁は、以前から生じていた更新の合理的期待が消滅したと解することはできず雇止め無効とした。面接試験に受かれば更新するとしていたが、評価は合理性を欠くとして……[続きを読む]

2020.12.03 【判決日:2020.10.15】
日本郵便(東京・大阪・佐賀)事件(最一小判令2・10・15) 契約社員に諸手当や休暇なし、最高裁の判断は 継続勤務見込まれ扶養手当
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 契約社員が、正社員との待遇の格差は不合理であり旧労働契約法20条に反するとして損害賠償を求めた3件の上告審。最高裁は、諸手当の性質や支給目的を踏まえ不合理性を判断した。扶養手当を支給する目的には長期勤続への期待があり、継続勤務が見込まれる契約社員も条件は合致するとした。病気休暇は、日数の相違を設けることはともかく、無給とすることは不合理……[続きを読む]

2020.11.26 【判決日:2019.12.12】
レインズインターナショナル事件(東京地判令元・12・12) 100時間の固定残業代、公序良俗違反で無効? 繁忙期に差額支払われ有効
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  • 割増賃金
  • 賃金

 深夜割増を含む計100時間分の固定残業代を支払っていた飲食店の店員が、公序良俗違反で無効と訴えた。東京地裁は、当時の限度基準告示を大きく上回るが、直ちに違法等とはいえないと判断。時期により残業数に大きな差があるものの、超過部分は差額が支払われたことなどから賃金体系上も残業代の対価と認めた。勤怠システムの休憩時間は実態を反映しておらず、取……[続きを読む]

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