――おふたりはこれまでにも『ミッドナイト イーグル』などで共演されていますが、今回の共演で新しく発見したことはどんなことですか。
【大沢】　さらにキレイになったというか。
【竹内】　ありがとうございます（笑）。
【大沢】　ほんとうに（笑）。ずいぶん昔からご一緒しているんですけど、外見はもちろん、現場での在り方がスッとしていて、彼女が居ることで現場の雰囲気が変わる、そういうパワーを身につけているなと。竹内さんがいることで現場がキュッとなるし、優しくもなるんですよ。
【竹内】　大沢さんは……人をよく観察している人ですよね。だから、大沢さんの「結子ちゃんってこんな感じだよね」というのは大体あたっているような気がします（笑）。
【大沢】　そんなことないですよ（笑）。ただ、これだけ男性がいるなかで、たとえ役であっても女性がひとりというのは大変なこと。自分の想像を超えるほどのものを乗り越えて戦っているのが伝わってくるからこそ、姫川班のメンバーは主任を応援したくなるし、そういう姫川班を観客は応援したくなるんですよね。

――たしかにそれはあると思います。また、映画ならではの見どころとしては、姫川・菊田・牧田の三角関係。どんなふうに捉えていますか。
【竹内】　そうですね、三角関係のなかの玲子と菊田との微妙なバランスについては……菊田というキャラクターは、理想の部下といわれているだけあって、菊田のおかげで玲子はとても仕事がしやすいんです。信頼もひと一倍ある。だから、その微妙なバランスを、居心地の良さを守りたいがためにラインを壊さないようにしている。その感じは分かる気がします。
【大沢】　三角関係なんだけれど、なんだろう……好きで取り合うのではなく、もっと深いというか。抱えているものがあって、守らなければならないものがあって、そういうものが巻き起こった物語だと思うんです。そのなかで、菊田の切なさを痛感するのは、やっぱり車を見つめているシーンの菊田ですよね。同じ状況じゃないにしても、自分も似たような感覚を過去に味わったような気がして、何かすごく響いたんですよね。
【竹内】　牧田には破壊力というか、男性として圧倒的な存在感がある。このなかにいるキャストが束になってもどうしても近づけない玲子に、絶対的な存在感を持って近づけたのが、牧田なんですよね。一方、菊田はどうにもならないものを目にしてしまったとしても、使命とプライベートを分けて、ちゃんと上司についていく。それってすごく格好いい。（玲子は）菊田にグリグリッてすごい傷をつけてしまった気がするんですけど、それもかみ分けているのが魅力的です。
【大沢】　ほんとにその通りだと思います。どんなにつらくても相手に誠実でいることはなかなかできることじゃない。すごく男らしい。本当の男らしさって、そういうことなのかもしれないですよね。

――ドラマのときから菊田人気はすごかったですからね。最後に、玲子と牧田の印象に残っているシーンを聞かせてください。
【竹内】　私は、玲子が初めて牧田と対面するシーンですね。竹内結子として、この人（大沢）にだけは隙を見せないようにしよう、私は姫川玲子としてこれだけがんばっています！というのを見せようと思っていたんですが、気づかないうちに警察手帳をポロッと落としてしまって。いちばん肝心なものを落として、大沢さんに笑われたんです。あーあ、失敗したなぁーって（笑）。
【大沢】　（笑）。僕は、やっぱり（この作品で）竹内さんと最初に芝居をした日が印象深いです。姫川玲子を演じている竹内結子はどんな人なんだろう？こういう鋭い目をするのか？とか、いろいろと考えていて……。驚いたのは、ドラマで見ていたときよりも姫川玲子の目が鋭かったこと。射貫く目を持っていて、見つめられると、何ていうか奥の奥まで見透かされるような気がしたんです。この人と対峙するには、ものすごくがんばらなくちゃいけないなと思いましたね。

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（文：新谷里映／撮り下ろし写真：原田宗孝）