シェフの企みにまんまとはまり今回で四回目の食事になった。土曜日でもあり、早めに店に入ろうとしたが少し遅れてしまった。ところが運良く奥の席が空いている。今日は、限定シーフードカレー、を注文した。この時点ではまだ文字情報しか与えられていない。さて、どんなシーフードカレーになるのだろうか?
まずレタスと水菜のサラダが白い皿に盛られて登場した。ドレッシングが独特で旨い。ありふれたレタスと水菜がなぜこうも旨くなるのか、世の中にはオーラを発しながら人に接する人がいるらしいが、この店のシェフにもそんなオーラを感じる。
そんなことを考えながら今日の料理を予想した。フランス料理店がシーフードカレーを出すんだから、駅構内のカレー屋のように、自動販売機で食券を買い、テーブルにその券を置いてから15秒後にはカレーが出てくるような、そんな作り置きをしているはずがない。おそらく、カレーのベースはあらかじめ用意しているにしても、具は注文を受けてから料理するはずだ。
その具がカレーと絡み、香ばしさを漂わせながら運ばれてくるに違いない。料理を盛る器は長円形だろうか、それとも丸くて浅い皿だろうか、などと考えているうちに料理が運ばれてきた。予想に反して、器は四角いプレートだった。
しかも、シーフードとカレーとライスが別々に盛られている。シーフードは帆立と海老で油で炒めているようなのだが、その油はサラダ油の匂いもオリーブ油の匂いもしない。シーフードの香ばしさと、きりっとした塩味がしっかり出ていてとにかく旨い。
カレーは、肉が細かく刻まれて煮込まれており、シーフードの脇役となるような配慮がされている。シーフードとカレーとライスを別々に食べることによって、それぞれの味が楽しめる。白いライスもその控えめな味が際だつ。結局シーフードをカレーに混ぜることもなく、さらにそれらをライスにかけることもなく、別々に味わっているうちに無くなってしまった。
このあと、グレープフルーツとムースのデザートを味わいながら、カレーがコース料理になりうることを知らされた。
-2005/10/28
-2006/8/19 推敲
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