Q.「源氏物語」にはどんな印象を持っていましたか? |
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今回取材前に、インターネットで調べたりして、勉強してからロケに臨みました。以前にマンガで読んだこともあるのですが、それだけじゃミステリーハンターは勤まらないと思いまして。光源氏に対しての印象はずいぶんと変りましたね。以前は、光源氏はモテモテのプレーボーイでイイ男だと思っていたのですが、今はちょっと哀れな人でもあるんだなと感じています。あれだけ多くの女性を愛し、愛されながらも、心が完全に満たされることはなくて、また別の女性を求めてしまう…。それに仕事に野心を持って臨めば、かなりのことができたでしょうに、恋愛でしか自己表現できない、みたいな。それとは対照的に、光源氏を愛した女性たちの強さや、たくましさを新たに感じましたね。彼女たちは、光源氏のそういった寂しさや哀れをちゃんとわかっていて、彼を受けとめていたんじゃないかな。みんなそれぞれに素敵な女性だと思います。 |
Q.十二単を着ていましたね。いかがでしたか? |
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いい体験ができたと思ってます。思わず和歌でも詠みたくなってしまうような気分になりました。ただ、やはり重いんですよ。着物はもちろんカツラも。髪の毛だけでもあれほど長いと相当な重さになるんですね。きれいな着物が着られてとても嬉しかったのですが、衣装を着けて当時の宮中を再現したセットに一人で座っていたら、なんだか急に哀しい気持ちになってしまったんです。雅で美しい世界だけれど、当時の高貴な女性たちは、毎日こんな重い衣装を着けて歌を詠んだり、限られた人たちとだけ言葉をかわすような日常を送っていたのですよね。私たちから見れば「お姫様生活」でも、大変だったろうなと思います。平安時代は、女性にとって生きやすい時代ではなかったのかもしれませんけれど、だからこそ紫式部のような人が出てきて、「源氏物語」がうまれたんじゃないかな、って思うんです。女性は好きな仕事もできないし、男性に対してもほとんど受身。でも、それをシクシク嘆くのではなくてポジティブなパワーにして。そしてドーンと「源氏物語」を書いたのかなって。紫式部ってすごく頭のいいデキル女だったのでしょうね。今の時代に生きていたら、何をしてもバリバリに活躍していたと思います。
それでも、平安時代は私にとって憧れる部分もたくさんあるんですよ。タイムマシンがあったら行ってみたいですね。例えば今の時代では、いつでもメールなんかで友達や恋人にメッセージを簡単に伝えられますよね。それをわざわざ歌にして、相手に伝えるなんてすごくロマンティックじゃないですか!
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