【カイロ=佐藤貴生】中国が資金を提供して、建設まで主導したアフリカの鉄道プロジェクトが完了し、今年1月にジブチで式典が開かれた。内陸国エチオピアの首都アディスアベバと、紅海に面するジブチを結ぶ全長750キロ超の鉄道だ。中国は「一帯一路」の実績として盛んに宣伝している。
「歴史的な瞬間だ」
式典でエチオピアのハイレマリアム首相は「歴史的瞬間だ。発展を拡大させるだろう」と強調した。首相は一帯一路国際協力サミットフォーラムに出席する。
総工費約34億ドル(約3880億円)の70%は中国輸出入銀行が出資し、中国鉄道建設大手の中国中鉄、中国土木工程集団が敷設した。運営には中国の技術者が加わるほか、中国流のサービスも仕込んだ。
ハイレマリアム氏はこの鉄道をアフリカ西部セネガルの首都、ダカールまで延伸する夢を語る。
その間には政情不安を抱える国もあり、事はそう簡単ではない。半面、アフリカには海に面していない国が15カ国前後あり、人口は4億人ともいわれる。東西アフリカを結ぶ鉄道ができれば物量や人の流れは一変する。その建設を一手に握ることを中国が狙っているとしても不思議ではない。
紅海とアラビア海を結ぶジブチは軍事面でも注目を集める。同国の米軍基地には約4千人が駐留。アラビア半島や北アフリカにおける米軍の対テロ作戦の拠点で、マティス米国防長官も4月下旬に訪れた。