「素手で陰部洗え」「はさみ刺したろか」 暴力と暴言…訪問看護師の被害後絶たず

訪問先で利用者の腕をケアする訪問看護師=神戸市

訪問先で利用者の腕をケアする訪問看護師=神戸市

【関西の議論】

 暴言にセクハラ、果ては性的暴行…。1人で患者宅に赴き、看護や介護にあたることが多い訪問看護師が患者や家族から受ける被害が後を絶たない。神戸市看護大が平成27年度に行った調査では、約5割が「暴力を受けた経験がある」と回答した。対策の議論が進まない中、神戸市では1月、医療関係者や弁護士、大学教授らを招き、民間による訪問看護師を守るための対策を考える検討会が発足。兵庫県も今年度から、2人以上で対応した事業所に対して、一定の補助金を支出する財政支援と相談の受け付け事業を始める。

被害を受けて傷ついた訪問看護師の離職を防ぐためにも対策は急務だ。(坂田弘幸)

 薬物混入…もはや犯罪行為

 「被害を受けた職員は動揺し、自分の力ではこれ以上、手の打ちようがないと感じたほどだった」

 神戸市須磨区の訪問看護事業所長で看護師の藤田愛さん(51)は、訪問看護師の身に起こった5年前の出来事が忘れられない。

 当時30代の女性看護師が患者宅から事業所に戻ってきた際、ふらふらの状態で意味不明な発言を繰り返した。藤田さんはとっさに「意識障害だ。薬物をやられた」と直感。女性は緊急入院し、薬物を解毒した。警察にも通報したが、すでに解毒治療が終わった後で血液や尿から薬物混入の証拠が得られなかった。関係者への事情聴取が行われたが、結局立件には至らなかった。

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