G7バリ 中国・反EU・トランプ… 世界経済くすぶるリスク

 【バリ=田村龍彦】フランス大統領選で親欧州連合(EU)派のマクロン氏が勝利し、金融市場も安定する中で共同声明を採択した先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議。出席者の表情にも明るさがみられたが、中国経済や欧州での反EU派の台頭、原油価格下落など、世界経済の先行きリスクは消えていない。

 声明では「世界経済の回復は勢いを増しているが、下方リスクがある」と明記。国際通貨基金(IMF)は4月の経済見通しで今年の世界成長率を3・5%と1月時点の予想より引き上げた。

 「世界経済の見通しは明るくなっているが、安心できる状況ではない」

 麻生太郎財務相は討議でくぎを刺した。

 今回の会合でリスクとして強く意識されたのが中国だ。中国経済は政府の公共投資の効果が大きく、過剰生産能力や不良債権問題などの改革は進んでいない。当局の過剰な資本規制も世界経済の成長を下押しする懸念がある。

 欧州では仏大統領選後も大型選挙が続く。

 G7議長国であるイタリアの総選挙は早ければ年内に行われるが、EU統一通貨「ユーロ」離脱の是非が争点。すでに反ユーロを掲げる政党が支持を集めており、反対派が勝利すれば英国のEU離脱と相まって欧州経済は不確実性を増す。

 トランプ米政権の政策の不透明さや米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げペースなど「米国の不確実性が高い」(麻生氏)ことも懸念材料だ。

 今月下旬には石油輸出国機構(OPEC)が減産継続を協議する。合意できず、原油価格が再び下落する事態になれば、産油国を中心に新興国経済の下押し圧力になる。

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