経営再建中の東芝は平成29年3月期決算について、開示期限である22日に監査法人から監査の了承を得ないまま発表する方向で調整していることが8日、分かった。監査を担当するPwCあらた監査法人と意見が対立し、決算のお墨付きである「適正意見」を得るめどが立たないためだ。
東芝は決算を含む「有価証券報告書」の提出期限である6月末までに監査法人を交代させ、適正意見を得たい意向だ。だが、監査法人の変更には時間がかかる見通しで、有報提出は秋頃まで遅れる公算が大きい。
東芝は、28年4〜12月期の四半期報告書をPwCあらたが了承しない「意見不表明」のまま提出した。米原発子会社の過去の会計処理などをめぐり、意見の溝は今も埋まっておらず、29年3月期決算も監査法人の了承を得る通常の決算発表は見送る方向だ。
適正意見なしの決算発表が続く異例の事態は、東京証券取引所の上場維持の審査に悪影響が出かねない。このため、監査法人を準大手クラスに交代させ、有報提出までには適正意見を得たい考えだ。だが、適正意見を得ることを目的にした監査法人の交代は、市場の不信を招く懸念がある。