深海底の謎に挑む…世界屈指の有人潜水調査船「しんかい6500」5年ぶり公開潜航

 世界屈指の有人潜水調査船「しんかい6500」の潜航が、5年ぶりに報道陣に公開された。支援母船「よこすか」に乗り、その模様を取材した。地球の成り立ちや生物の謎を探究してきたしんかいの働きぶりと、それを支える関係者の地道な作業を追った。(草下健夫)

 4月13日午後、清水港(静岡市)の岸壁に各社の記者8人が集合。タグボートで沖合約2・5キロに停泊中のよこすかを目指した。船員の助けを借りてはしごを登り、船尾付近に乗り移るとほどなく、潜航を翌日に控えて整備中のしんかい6500の姿が目に入った。

 しんかいは水深6500メートルまで潜れる海洋研究開発機構の有人調査船。「しんかい2000」の後継として三菱重工業が平成元年に建造した。全長9・7メートル、重量26・7トン。24年に水深世界一の座を中国の船に譲ったものの、世界各地の海底で地形や生物などの調査に臨み、深海研究の中核として稼働を続けている。

■スムーズに潜航開始

 潜航は翌14日に行われた。よこすかは早朝、戸田(へだ)港(静岡県沼津市)沖約6キロに移動。午前8時45分、操縦するパイロット2人と記者のうち1人を乗せたしんかいが、よこすかの船尾についた巨大なクレーンにロープでつるされ、そのまま海面へと降ろされた。

 定員はパイロット2人を含め3人で、研究者などは1人しか乗れない。今回は報道各社の間で事前に行ったじゃんけんで、科学新聞社が潜航取材の幸運を引き当てていた。昨年度にパイロットが1人で済むよう改造しており、準備が整い次第、研究者2人体制が実現するという。

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