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Last Update:2006/04/24
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第225回
ゲームフリーク
吉田宏信さん

 今回のクリエイターズファイルのゲストには『ポケットモンスター』シリーズ、『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』などの作品で、キャラクタデザインに携わられた吉田宏信さんです。PCエンジンに夢中だった高校時代、あるTV番組でメーカーからのメッセージを見た吉田さんは「ゲーム業界で働きたい!」とすぐにメーカーに電話連絡をしてしまったそうです。果たして、そのメーカーとは? それでは、早速お話を伺っていきましょう。

(C)2005 Nintendo / GAME FREAK inc.

最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。

 

吉田氏:
 ゲームフリークに入社するまでは、いくつかのデザイン会社を転々としておりました。それまではゲーム業界未経験でしたので、関わってきたゲーム作品といいますと殆どが『ポケットモンスター』になってしまいますが…(笑)。初めてデザインしたポケモンは、ソーナンスとノコッチとセレビィの3体でした。現在制作中の『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』もいよいよ佳境に入ってきました。アソビがぎっしり詰まった作品を目指していきますので、みなさん楽しみに待っていてくださいね!

   僕がゲーム業界への道を志したのは、高校2年生の時だったと思います。当時PCエンジン全盛期で、毎日バカみたいに遊んでいましたね。それこそ、寝てるか、ゲームしてるかってくらい(笑)。そんな中、テレビ番組のあるコーナーで札幌のハドソン本社社内の作業風景が映し出されていました。ボーっと観ていると、ハドソンの社員の方が衝撃の一言「ゲームが大好きで、やる気のある人、僕たちの仲間を待ってるゾ!」。それまで、テレビゲームをつくる仕事の存在を知らなかった僕は、「大好きなゲームを仕事にできる」とその番組終了後、興奮状態でしたね。「待ってるゾ!」と言われたのが自分の事だと思ったのか、興奮が収まらずハドソンさんに電話してしまいました。「あのー…、ハドソンで働きたいんですが…。ゲーム大好きなんですが…」今思うと恐ろしくイタイ人ですよね。そんな僕にも、ハドソンの方はきちんと対応してくれました。「ちゃんと大学や専門学校を出てから来てくださいね」と。その優しいお言葉から僕のゲーム業界への道が始まりました。
 


前回ご登場いただいた、にしださんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。



吉田氏:
 にしださんがまだゲームフリークに在籍していた頃の話ですが、当時『ポケットモンスター ピカチュウ』を作っていた頃、入社したばかりでオドオドしていた僕に毎日優しく話かけてくれました。ある日「吉田さんの大好物はなんですか?」と聞いてくれたので、「そうですねー、大好物と言いますか、巨大なスイスロール(ロールケーキ)を一本丸々かぶりつきたいですね」と答えたんです。翌日、出社するとなんと、僕のデスクの上にスイスロールが3本!! なんて優しい人なんだろう、誕生日でもないのに早速プレゼントしてくれるなんて…。そう思ったのも束の間、席に座るとモニターの上に1本、キーボードの上にも1本、まさか!と引き出しを開けると1本。これはもう立派なイジメです(笑)。


これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などありましたでしょうか。また、これまで吉田さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を教えてください。

  吉田氏:
 にしださんもおっしゃっていましたが、『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』に登場する「おしえテレビのお兄さん」というポケモンの基本システムを教えてくれる親切なお兄さんの実写版で、歌って踊れる元気なお兄さんを演じていました。テレビや歌の収録、ダンスレッスンなど貴重な体験ができました。が、芸人さんでもなんでもないズブの素人が、いきなりですよ! この緊張感は口では表せませんね。お陰様で、かなりの度胸がつきました。

 どの作品にもそれぞれに思い入れがありますが、中でも記憶に新しいのは『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』でしょうか。初めてのメインキャラクタデザインという事もあり、日々葛藤の毎日でした。でもそれだけに完成した喜びも格別でした。

 


それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?

  吉田氏:
 僕の中での名作は殆どファミコンに集中しているのですが、残念ながら一つにしぼる事ができなかったので、ここはあえて“名機”としてファミリーコンピュータを(笑)。と言いますのも、実はすべてのファミコンソフトをプレイしたくて、全部集めてしまいました! かなり時間はかかりましたけど。今では時間が空いた時に少しずつ遊んでいます。すべてのソフトをやりつくすのに、一体何年かかるのやら…。
 


今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望をお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。


  吉田氏:
 発展・変貌の著しいゲーム業界ですが、変わってはいけない事と変わらなきゃいけない事を見極めて、これからのゲーム業界を盛り上げていけたらと思っております。

 いつも制作に心がけている事は「作品に対するこだわり」と「人を楽しませる気持ち」ですね。それはゲーム制作に限らず、どんな形であれ必ず人に伝わり、そしていずれ自分に返ってくる事だと思っています。

 


自分の作品へのこだわりと、人を楽しませる気持ちが大切だとおっしゃる吉田さん。そんな気持ちで作られたキャラクタだからこそ、多くの人に愛される作品になっていくのでしょう。まだまだお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。


  吉田氏:
 クリーチャーズの赤羽卓美さんをご紹介します。僕は時々ポケモンカードのデザインもしているのですが、赤羽さんには大変お世話になっています!
 

ポケモンカードをはじめ、様々な作品に携わられてきた赤羽さん。一体、どのようなお話をおうかがいできるのでしょうか。次回もお楽しみに。それでは吉田さん、今回は本当にありがとうございました。