アメリカの首都・ワシントンの郊外に、6人の海兵隊員らが地面にアメリカの星条旗を立てようとしているブロンズ像が設置されています=写真。像は高さ約10メートル、幅約20メートルと巨大で、圧倒的な迫力です。実はこの像、日本と深い関係があります。
日本とアメリカなどが戦った太平洋戦争は知っていますよね。この像は激戦地の一つとなった硫黄島の戦いで、アメリカ軍が苦しみ抜いた末に勝利した瞬間をモデルにしているのです。硫黄島は東京の南1250キロメートルに浮かぶ孤島。戦争を優位に進めていたアメリカ軍は1945年2月19日、島に上陸しました。戦力はアメリカ軍約6万1000人、日本軍約2万3000人。圧倒的に不利な状況でしたが、日本軍は36日間戦い抜き、玉砕しました。死者はアメリカ側6821人、日本側2万129人とされています。
当初5日間で勝てると思っていたアメリカは日本軍の想像以上の抵抗に苦しみ、日本本土に上陸した場合の被害の大きさを予感したと言われています。
アメリカ軍が旗を立てた瞬間は、現地にいた通信社の記者が撮影。写真は優れた報道に贈られるピュリツァー賞を受賞しました。その写真をモデルにブロンズ像が作られ、海兵隊戦争記念碑として1954年に設置されました。
今でもこの像を見るため、休日には多くのアメリカ人がこの地を訪れます。71年前の戦争は敗戦国の日本だけでなく、アメリカ国民の心にも悲惨な記憶として生き続けているのです。【ワシントン・三木幸治、写真も】
国名 アメリカ合衆国
首都 ワシントンD.C.
面積 約986万平方キロメートル
人口 約3億2000万人(2015年推定)
現地通貨 1ドル=約108円