現在、地球上には約1万種もの鳥がおり、その多くが空を自由に飛びまわっています。しかし、はるか大昔、恐竜の時代には鳥とは別の空を飛ぶ生物がいました。それが翼竜です。翼竜とはどのような生物だったのでしょうか。【文/え・うちやまだいすけ】
ポイント
<1>恐竜ではない
<2>一番初めに空を飛んだ脊椎動物
<3>上手に空を飛べた
<4>恐竜とともに滅んだ
恐竜に近い爬虫類の仲間
翼竜は、恐竜が生きた時代とほぼ同じである約2億2500万年前の三畳紀から約6600万年前の白亜紀という時代の終わりまでの約1億5900万年間、世界中に広く生息していました。恐竜と同じ祖先から進化しましたが恐竜ではなく、恐竜と近い関係にある爬虫類の仲間なのです。また、海にも翼竜と同じように爬虫類の仲間である首長竜や魚竜がいました。一方、鳥類は恐竜から進化したものとされ、翼竜とは直接の関係はありません。
翼は膜のようだった
背骨のある動物のことを脊椎動物といいます。これまでに地球上に現れた脊椎動物の中で、空を飛べるように進化したグループは「翼竜」「鳥類(恐竜)」「コウモリ類」の3グループだけです。この中で、一番初めに空を飛んだ脊椎動物が翼竜なのです。3グループの仲間はみんな翼を持っていますが、つくりには違いがあります。翼竜の翼は膜のようなものでできていて、体長と同じくらいに長くのびた前脚の4本目の指と後ろ脚で支えていました。
とても軽かった体重
以前の研究では、翼のつくりから「あまり上手に羽ばたけず、飛ぶのも下手だった」と考えられていました。しかし、最近では膜の構造などの研究が進み「かなり上手に飛べた」と考えられています。また、体の大きさは十数センチメートルから翼を広げると10メートルを超える巨大なものまでさまざまなものがいましたが、どの翼竜も体の大きさに比べて体重はとても軽くできていました。これも上手に飛ぶためだったと考えられています。現在のコンドルやワタリアホウドリも、翼を広げると3メートル以上ありますが、体重は十数キログラムほどです。
6600万年前突然絶滅
約1億5900万年間というとてつもなく長い間、大空を我が物顔で飛んでいた翼竜ですが、6600万年前の白亜紀の終わりごろ、突然に恐竜やその他の多くの生物たちとともに姿を消してしまいます。現在一番有力とされている原因は、直径十数キロメートルにもなる巨大隕石の地球衝突です。衝突の影響で地球全体が細かいちりに覆われ、日光がさえぎられてとても寒くなるなど、環境の大きな変化によって絶滅してしまったというのです。多くの生物が絶滅するなか、哺乳類、ワニ、ヘビ、トカゲ、カメ、両生類の一部などは生き残りました。また、恐竜から鳥類に進化した一部も生き残り、現在私たちが目にする鳥たちになったのです。