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BPO クローズアップ現代“重大な放送倫理違反”
11月6日 18時34分

BPO クローズアップ現代“重大な放送倫理違反”
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NHKの報道番組「クローズアップ現代追跡”出家詐欺”」など2つの番組について審議していたBPO=放送倫理・番組向上機構の委員会は「正確性に欠けるなど重大な放送倫理違反があった」とする意見をまとめ、6日、公表しました。
審議の対象になったのは去年5月に放送されたNHKの報道番組、「クローズアップ現代追跡”出家詐欺”」と、同じテーマを取り上げ、去年4月に関西地区で放送された「かんさい熱視線」の2つの番組です。
BPO=放送倫理・番組向上機構の「放送倫理検証委員会」は、いわゆる「やらせ」があったのではないかという一部報道などをきっかけに番組内容や制作過程を検証し、6日、意見を公表しました。
それによりますと、いわゆる「やらせ」については、「『登場人物を仕立てて示し合わせて演技させ、事実に見せかけた』という意味での『やらせ』があったとは言い難い」としています。
一方でNHKの放送ガイドラインの「やらせ」の概念については視聴者の一般的な感覚とは距離があり、取材を巡る深刻な問題を矮小化(わいしょうか)することになってはいないかと指摘しています。そして、問題となった、“多重債務者”とされる人物が出家をあっせんする“ブローカー”とされる人物に相談する場面については、「事実とは著しく乖離(かいり)した情報を数多く伝え、正確性に欠けている。真実に迫ろうとする姿勢に欠け、事実を歪曲(わいきょく)したものだった」などと指摘し、2つの番組にはいずれも重大な放送倫理違反があったとしています。
さらに問題の背景として、裏付け取材などもせず、情報提供者に依存した安易な取材や、スタッフの間での対話を欠き、相互に健全なチェック機能が働かなかったことなどがあったとしています。
NHKは今回のような問題を繰り返さず、事実に基づいて正確に放送するために、すべての制作過程でチェックを強化する再発防止策を、本部と全国の放送局で実施しています。
この中では一連の問題点や課題を確認する討議や勉強会、研修などを実施するなどジャーナリストとしての再教育を行うとともに、匿名取材・制作のチェックシートを報道番組をはじめ、さまざまな番組で導入し、匿名インタビューについて内容の真実性や必要性などを判断しています。また、事実関係の誤りや、過剰な演出などを防ぐために直接の取材・制作担当者以外も試写に参加する複眼的試写なども導入しています。
NHKは、「事実に基づき正確に報道するという原点を再確認し、現在進めている再発防止策を着実に実行して、信頼される番組作りに当たっていきます」としています。
一方、BPOの委員会は6日、公表した意見の中で、今回の問題で総務大臣がNHKに対し、放送法を根拠に厳重注意をしたことについて「個々の放送番組の内容に介入する根拠はなく、極めて遺憾である」としています。
また、自民党の情報通信戦略調査会がNHKの経営幹部から事情聴取したことについても、「政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである」と指摘しています。
高市総務大臣は「行政指導については番組の内容が放送法に抵触すると認められたことから、放送法を所管する立場から必要な対応を行ったものである。NHKにおいては公共放送としての社会的責任を深く認識し、放送法・番組基準などの順守とその徹底を行っていただきたい」という談話を発表しました。
BPOの放送倫理検証委員会の川端和治委員長は記者会見で、問題となった「相談場面」について、「視聴者が見て“こういうことがあるんだ”と思う、そのほとんどが実際には違っていた」と指摘しました。
そのうえで、「この場面は事実とは非常に遠く、重大な放送倫理違反がある。NHKの放送ガイドラインに書かれている、番組は正確でなければならない、真実に迫ろうとする姿勢が求められる、事実を歪曲してはならない、という、そのすべてに結局反している」と述べました。
また、NHKが作成した調査報告書については、「迅速で内容も踏み込んでいるが、やらせではないという結論に焦点が当たりすぎていて、さまざまな放送倫理の問題の重大性が不当に軽く評価されているのではないか」と指摘しました。
そのうえで、“重大な”放送倫理違反としたことについて、「重大な、という形容を使うのは視聴者の信頼を裏切る倫理違反があったときだ。今回のクローズアップ現代も、視聴者が報道番組に寄せている信頼を裏切るレベルに達したと考えた」と述べました。
BPOによる意見の公表を受けて、NHKは記者会見を開き、板野裕爾専務理事が「裏付け取材を行わず、報道番組で許容される範囲を逸脱した表現で重大な放送倫理違反があったという意見や、制作者の間で情報の共有が行われていなかったという指摘を受けており、真摯(しんし)に受け止めていきたい」と述べました。
そのうえで、「事実に基づき、正確な報道をするという原点を再確認し、現在進めている再発防止策を着実に実行して、信頼される番組作りに当たっていきたい」と述べました。

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