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【日本の議論】
国からハシゴ外された黒岩知事の“悲壮” 再生エネ買い取り制度見直しでしぼむ神奈川「太陽光政策」
太陽光発電の普及を選挙公約に掲げて4年前に初当選した、神奈川県の黒岩祐治知事の「ソーラー政策」に暗雲が立ち込めている。「4年間で200万戸分の太陽光発電パネル設置」との公約は就任後、2回の下方修正などが加えられたうえ、ここへ来て政府が再生可能エネルギー固定価格買い取りの値下げを検討する事態が、“肝煎り”政策にさらなる影を落とす。知事の旗振りに応じて新規参入した県内企業は、しぼむ「ソーラーバブル」に困惑を隠しきれないでいる。(川上朝栄)
■「ハシゴ外し」に悲壮感漂う知事
「再生可能エネルギーはあまり普及してしまっては困るんだと、そういう風なメッセージが飛んでいるように私には見える」
1月7日、経済産業省に山際大志郎経産副大臣を訪ねた黒岩知事は、会談を終えて厳しい表情を浮かべた。
相次ぐメガソーラー建設による再生エネルギー買い取り申請により、九州電力など電力各社で受け入れ可能量を超えたことから、政府は買い取り制度の見直しの検討を開始。買い取り価格は、現在の1キロワット時当たり32円から20円台後半にまで下がる見込みだ。
黒岩知事の訪問は、自らが掲げる「かながわスマートエネルギー計画」の推進に支障が生じる可能性があるとして、見直しの再考を求めるためだった。
「(太陽光発電普及に)先鞭(せんべん)を付けてきたという自負がある」とする黒岩知事はハシゴを外される格好にもなりかねず、「ここでくじけるわけにいかない」と、“悲壮感”すら漂わせた。
■相次ぐ下方修正に追い打ち
東日本大震災直後の4年前。手にした太陽光パネルを振りかざしながら、黒岩知事は「皆さんの自宅の屋根を貸してください」と訴え、初当選を飾った。東京電力・福島第1原発事故の影響もあり、広く支持を集めたが、その目標は下方修正や変更を強いられてきた。