日本経済新聞社とQUICK、日経QUICKニュース社(NQN)が16日午後開いたNQN創立20周年記念セミナーで、パネルディスカッションの出席者による2015年度の日経平均株価の見通しは1万7000円~2万5000円となった。企業収益の改善や原油安などの影響で、日本株は上昇基調をたどるとの見方が目立つ一方、海外発のリスク要因を指摘する声もあった。
クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジストの市川真一氏は、物価上昇率が鈍っている点などを挙げつつ、日経平均株価は「実質賃金がプラスになっていくことから(経済の)急速な失速はないと考え、1万7000円~2万円程度のボックス圏で推移する」と予測した。
市川氏は、原油安が実質賃金を上向かせる効果をもたらすと説明した。半面、日本株に強気になりきれない理由として、日本経済への影響が大きい米景気を巡り「下り坂の局面がそう遠くない将来、今年後半にも来るかもしれない」と語った。米景気の減速で主力の自動車販売などが伸び悩めば「日本企業の好業績が今年度のペースで続くかどうか」と疑問を示した。
マーケットアナリストで豊島逸夫事務所代表の豊島逸夫氏は、15年度の日経平均の下値のメドを1万7000円と想定。海外発のリスク要因に言及し、中国で「今年は(高利回りの金融商品である)理財商品の償還問題が時限爆弾となる」と述べ、「理財商品を巡る破綻、『チャイナリスク』が顕在化する」可能性があると話した。このほか、財政問題がくすぶるギリシャに関し「ユーロ離脱はないと思うが、不安再燃はあるだろう」と語り、「有事の円買い・日本株安」のシナリオにも言及した。
もっとも、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は良好だとして「基本的には上しかないと思っている」と述べ、今年後半に向けては「2万2000円を目指す展開」を展望した。値動きの大きい展開も考えられるため「あまり日々の動きに目をとらわれず、じっくり流れを読むことが大事だ」との考えを示した。
武者リサーチ代表の武者陵司氏は「年末には2万5000円ぐらいに上がってもおかしくない」と述べ、出席者の中で最も強気の見方を示した。「原油安のボーナス」に加え、好調な企業収益により賃金や配当の増加が期待できると強調した。武者氏は日本企業の「技術や労働モラル、製品の質などは世界最高水準だ」と語り、数年前から「大きな上昇相場が始まっている」との見方を提示。東京五輪が開かれる2020年ごろに向け「4万円を目指す」との見方も披瀝(ひれき)した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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