日本原子力学会が議決した検査基準をめぐる記事で名誉を傷つけられたとして、東京工業大の有冨正憲名誉教授が毎日新聞側に600万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日までに、名誉毀損を認めて165万円の支払いを命じた。
問題になったのは2012年2月12日付朝刊の記事。使用済み核燃料の輸送容器メーカーから奨学寄付金を受けていた有冨氏が、輸送容器の検査基準を決める原子力学会の審議を主導し、国の規制より緩い内容にまとめたと報じた。
松井英隆裁判長は「有冨氏がメーカーに便宜を図る目的で審議を主導したとの事実は認められない」と指摘した。
毎日新聞社社長室は「主張が一部認められず遺憾だ。判決文を精査し、控訴について検討する」とコメントした。〔共同〕
毎日新聞社、原子力学会