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あぶくま抄(12月5日)

 「見せましょう、野球の底力を」-。大震災と原発事故のため日本中が混乱を極めていた平成23年4月、札幌ドームでプロ野球・楽天の嶋基宏選手が力強く宣言した。復興支援慈善試合の式典での一こまだ。
 試合は12球団を統括する日本野球機構(NPB)が主催した。これ以降、多彩な支援活動に取り組む。県内では24年、郡山市でプロ選手が参加した復興イベントを開催した。昨年夏には川内村の名物行事「お盆野球」に往年の名選手を派遣し、いわき市ではオールスター戦を実現させた。
 NPBは県内の子どもの健康にも関心を寄せる。震災前に比べ、運動不足による肥満が増えたと知ったからだ。先月、文部科学省が発表した全国体力テストの結果でも、県内の児童・生徒の運動能力は全国平均を下回った。「それなら、憧れの選手と楽しく体を動かしてもらおう」。6日、福島市で選手と子どもが一緒に汗を流す運動会を開く。
 巨人の鈴木尚広選手(相馬市出身)らが参加する。投手と打者の「二刀流」で活躍する日本ハムの大谷翔平選手も駆け付ける。彼らも嶋選手と同じ気持ちだろう。野球の底力が子どもたちの元気を引き出してくれる。

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