水俣病の原因企業チッソ(東京)の子会社の株式の上場・売却について、石原伸晃環境相は25日、「今の状況の中で承認できる状態にない。私が環境大臣在任中はないのではないか」と述べた。株式の売却に対しては、被害者への賠償の枠組みが崩れるおそれがあるとして、被害者団体が「水俣病の幕引きを促進するものだ」と反発している。

 チッソ子会社のJNCは水俣病被害者救済特措法に基づき、チッソの液晶生産などの営利事業を譲渡され、チッソ本体はJNC株の配当金で被害者への補償や公的債務の返済を行っている。特措法では環境相が承認すればJNC株を上場・売却して会社を清算することもできる。

 今国会で審議中の会社法の改正案では親会社が簡単に重要な子会社を手放さないよう規制されるが、チッソは例外扱いして、規制をかけないという修正案が25日、衆院本会議で可決した。今国会で成立する見通し。