韓国南西部の珍島付近で旅客船セウォル号が沈没した事故に絡んで、現場海域の管制センターが、事故発生当時に船の速度が急激に落ちたことを覚知していなかったことが、25日わかった。初期の救助活動の遅れにつながった可能性がある。

 珍島の管制センターの関係者によれば、セウォル号は16日午前7時10分ごろに管制海域に進入。8時26分ごろ孟骨島(メンコルド)沖の水道を19・2ノット(時速約35・5キロ)で通過していたが、8時50分ごろには速度は10ノットに落ちていた。管制センターはこの変化に気づかなかったという。

 同船は8時55分ごろに済州島の管制センターに通報。珍島の管制センターは、海洋警察庁を通じた電話連絡で9時6分に初めて認知し、セウォル号と交信を始めた。結果的に、船の異変に気付くのが約15分遅れたとみられる。管制センター関係者は「当時、管制海域を約160隻が運航中で、混雑する他の海域を管制していた」としている。

 現場海域での安否不明者の捜索は25日も続き、同日午前10時現在で死者は計181人、安否不明者は121人。26日からは波が高くなるなど、捜索環境が悪化する見通しだ。(珍島=中野晃)