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 大リーグ・ヤンキースの田中将大投手はなぜここまで勝てるのか。22日のレッドソックス戦までに、彼が投じたボールは410球。そのすべてを分析、CG動画で再現しました。解説は元大リーグ投手の小宮山悟さん。「剛腕」の陰に隠れた緻密(ちみつ)な投球術に迫ります。

■強打者なで斬り、高い修正能力

 2014年4月4日。外角低めへの直球で、メジャーの第1歩を踏み出した。判定は「ストライク」。敵地トロントの球場に、日の丸が揺れた。

 デビュー戦となったブルージェイズ戦。2回までに3点を失ったが、冷静だった。徐々に速球を増やし、修正して以降は無失点。7回を投げきって、「勝ててよかった。ホッとした」。

 4月16日のカブス戦では、スプリットとスライダーを武器に10奪三振。4月22日のレッドソックス戦では一転、直球中心の真っ向勝負で打者を圧倒した。

 開幕から4試合で無傷の3連勝。どの試合も決して絶好調ではなかった。それでも、そのときの状態にあわせて、臨機応変に投球できる修正能力の高さを発揮している。「能力が高い打者がたくさんいる中でどうやって抑えよう、と考えるのが楽しいし、努力をすることで成長できるんじゃないかと思う」

 米国内でも、右腕の評価は日に日に高まっている。地元ニューヨークの新聞は登板翌日には大きく取り上げられ、観客席には「背番号19」のユニホーム姿の米国人が増えてきた。

 「僕は勝負しにここに来た」。日本の「マー君」から米国の「MASA」へ。着実に歩みを進めている。(山口裕起)