JR宝塚線(福知山線)脱線事故から9年。かけがえのない家族を失った悲しみは癒えることがない。思いをつづり続ける人、精いっぱい前に踏み出そうとする人――遺族たちはそれぞれの「4・25」を迎えた。

■亡き夫へ「今再びあなたに恋しています」

 「これからはあなたが喜ぶような生き方をしていきます」。25日朝、事故現場を訪れたピアノ講師原口佳代さん(54)=兵庫県宝塚市=は、マンション1階の立体駐車場わきに立つお地蔵さんに花を手向け、誓った。夫の浩志さん(当時45)は、ここに突っ込んだ1両目の乗客だった。

 毎朝仏壇に手を合わせ、「会いたい。帰ってきて」と願い続けた。心配して同居してくれた母が2009年2月に亡くなると、祈りは「そっちに連れていって」に変わった。