24日、日米首脳会談が終わった。注目された環太平洋経済連携協定(TPP)は決着を見ず、牛肉や豚肉にかかる関税がどうなるか、農家は今後の展開に気をもむ一方、消費者からは歓迎の声が聞かれた。オバマ大統領の尖閣諸島を巡る発言や北朝鮮に拉致された被害者家族との対面には、不安と期待が入り交じった。

■農家「関税下がれば壊滅」

 「決まらん、ということは日本もそれなりに交渉を進めているのだと思いたいが、ストレスは続くね」

 国内最大の肉用牛の産地・北海道。士幌町の奥秋博己さん(59)は約2800頭を飼育する。肉用牛は、和牛のほか、ホルスタインなどの乳用種、和牛とホルスタインを交配させた交雑種があるが、奥秋さんが飼うのは乳用種と交雑種。肉質や値段が輸入牛肉と競合する。

 米国産は脂身が多く、日本人好みともされる。「柔らかさや味では交雑種が勝っていると思う。だが、サシの入りとか身の赤さとか、見た目が良い米国産がスーパーに並んだら、消費者はどちらを選ぶだろうか」と不安だ。日豪の経済連携協定(EPA)では、関税の段階的引き下げが決まった。「EPAより好条件で話がつくなんて思ってはいないが、あれが最低限のラインだ」と話した。

 影響が比較的少ないとみられる和牛農家も心配する。岩手県のブランド牛「前沢牛」の若手後継者らでつくる「牛好会」の鈴木靖彦会長(42)は「買い入れる子牛も飼料も値段が上がっている。ただでさえ難しい経営環境なのに、これ以上、厳しくなるとどうなるのか」と漏らした。