大阪市は25日、一般会計総額195億円の2014年度補正予算案を発表した。来月2日開会の5月議会に提案する。出直し市長選に伴い橋下徹市長が辞職したため、3月に可決した当初予算は義務的経費が中心の骨格予算だった。補正予算案には橋下氏が強くこだわる新規事業が多く盛り込まれている。

 橋下氏の任期は残り1年8カ月。事業の実現に弾みをつける項目が並んだ。

 橋下氏が設置を表明した近現代史の市立学習施設では展示会の計画費など2千万円を盛り込み、環境整備を図る。候補地を夢洲(ゆめしま=大阪市此花区)に決めたカジノを中心とする統合型リゾート(IR)の誘致に向け、アクセスなどの調査費600万円を計上。大阪・梅田から関西空港への接続時間を大幅に短縮する「なにわ筋線」の新設も目指し、400万円の調査費も盛り込んだ。

 教育分野も重視する。全市立小中学校にタブレット端末を貸し出す費用に2億4800万円、橋下氏が大阪府知事時代から力を入れる校庭の芝生化には1億5100万円を配分。今年度は市内18区の小中学校と幼稚園計34カ所に芝生を張る計画だ。当初予算に含まれ、市議会に削除された小中学校の校長を公募する準備費2800万円も改めて計上した。

 目抜き通りの御堂筋を活性化するため、歩道にカフェなどを設置する社会実験も企画。6車線のうち側道2車線を歩行者専用にする案の作成費と合わせて4600万円を盛り込んだ。

 橋下氏が率いる大阪維新の会は市議会で過半数に満たず、これまで連携してきた公明党とは大阪都構想の議論の進め方をめぐり対立を深めている。橋下色の強い政策を多く含む補正予算案の審議は難航が避けられない。(沢木香織)

■大阪市の補正予算案の主な項目

・要支援児を受け入れる私立幼稚園を支援=6600万円

・全小中学校にタブレット端末貸し出し=2億4800万円

・近現代史を学ぶ施設設置に向けた準備=2千万円

・カジノを含む統合型リゾート候補地の調査=600万円

・なにわ筋線の事業化に向けた調査=400万円

・街頭犯罪抑止チームの集中投入=2億4500万円

・幼稚園や小中学校の校庭を芝生化=1億5100万円