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警察医なり手不足…福島

勉強会など地域で支援

病院のスタッフに警察医業務について説明する中村会長(いわき市の中村病院で)

 大相撲・時津風部屋の力士暴行死事件や首都圏の連続不審死事件などで検視の重要性が指摘される中、福島県警は検視専門の捜査員を増やすなどの対策を進めている。一方で、検視に立ち合う警察医はなり手不足という問題を抱えている。そんな中で、地域でカバーしていこうとする動きも出てきた。(船越翔)

 県警捜査1課によると、2009年に扱った変死体の件数は2969件。前年よりは減少したものの、高齢者の孤独死などが増えており、05年と比べると128件増となっている。

 変死体の届け出があった場合、捜査員がまず現場に行き、少しでも事件の疑いがあれば、専門の研修を受けた検視官らが検視を行う。07年に発生した大相撲・時津風部屋の序ノ口力士暴行死亡事件では検視ミスが指摘され、改めてその重要性が注目されている。

 こうした中、同課は09年4月から検視官ら検視専門の捜査員を2班4人から3班9人へと増員。これにより、検視官らが現場に出向いた臨場件数は08年よりも255件多い683件と大幅に増えた。さらに、体に血がたまっているかどうかなどを調べ、原因調査の補助となる持ち運び可能な超音波検査装置(エコー)も昨年11月に導入した。同課は「検視官ら専門の捜査員が現場に多く臨場することで、現場の捜査員のレベル向上も図りたい」とする。

 一方、検視や解剖を専門に行う監察医がいる東京23区や横浜市とは異なり、県内では警察から嘱託を受けた警察医が検視に立ち合う。

 県警察医会によると、3月現在で県内の警察医は約40人で、そのうち半数が60歳以上と高齢化が進んでいる。24時間呼び出される可能性があり、報酬も多いといえないため、なり手の確保が問題となってきている。

 同会の中村雅英会長は、自身が経営するいわき市の中村病院で3月12日、勤務する医師と看護師ら約50人を集めて死体検案の勉強会を初めて開いた。看護師らにも知ってもらうことで、警察医を理解してもらい、バックアップ体制を整えたいという考えで、14年間警察医を務め、800体以上の死体を見てきた経験を語った。

 一方、旧三春、旧小野両署では警察医が計3人だったが、うち1人がケガをしたことをきっかけに、田村医師会が昨夏に検視官を招いて検視の講習会を開催した。地域全体で警察医の存在を支えていくことが地域の安全につながるとの判断からだ。この後、警察医が推薦され、両署が統合してスタートした田村署では今月から、8人が活動することになった。

 中村会長は「犯罪を見逃さないためにも警察官とは別の視点を持つ警察医の存在は欠かせない。警察医を地域で支える態勢が広がることを期待したい」と話している。

2010年4月 9日 読売新聞)

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