パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫

tetorayade@hcn.zaq.ne.jp


立ち直り日記vol.11

2010-06-04 05:58:55 | Residing
オーナーからのオーダーは、以前も寄稿した中に記述してあるが「集客力」と「従業員能力」を高めること。

要するに「優れた企業を創る」こと。しかもお金をかけずに。

「ディフェンス」の部分では、投資効率の向上や、単純だが経費の削減が主。

「オフェンス」の部分では、アプローチと営業力の強化やマンツーマンマーケティング力など。

時期的には若干前後するが、経費の見直しは最優先事項なのでいち早く着手した。

削減対象はまず「機械代」「人件費」「販促広告費」が真っ先に上がる。

先日の記事で「手書きハガキ」の策に対して、コスト意識のディベイトが
あったと記憶している。

本件でもDMは「手書き封書」。無駄な投資は避けるべきだが、その費用を捻出するのは容易。財務状況を把握すれば済む。

機械代や人件費、販促広告費を適正に運用出来ているホールはどのくらいあるのだろうか。

細部までの把握をせず、売上や粗利を判断材料にして「経費がない」と言っている店舗責任者もたくさん見てきたが、その様な方々の多くが「本部サイドや店長以上クラスの計画した経費予算に従う事」で四苦八苦しているのではないだろうか。

「自由度」のない法人は面白くない。

今回のケース、経費の見直しはいくつかポイントが。

とある大阪の法人の文言を借りれば「脱新台入替」。加えて、「人件費の圧縮」「広告費用の圧縮」。

「新台を入れないとお客様が減る」という営業部長の提言は無視。

「人件費は今が適正です」という元店舗責任者の陳情も無視。

「チラシの部数と回数は今でも少ないくらいだと思う」という社員達の訴えも無視。

全て改善しなければいけない。

今までの手法が「正しい」ならば、効果は出ているはずなので。

新台もイベントもチラシも、劇的な効果がなく、横ばいでしかないホールは思い切って見直すべき。

おおよそではあるが、機械代は80%、人件費は8%、販促費用は20%を削減。

これである程度資本を動かせる様になったはず。

興味本位で、利益低迷中のホールの方の経費の使い方に関してのお話も是非聞いてみたいものだ。

人気ブログランキング
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.10

2010-06-03 08:58:41 | Residing
改装が終了し、開店1時間前。

寝坊した…。

焦った。

車を飛ばし店舗へ到着。

寝坊したとは言え、つい先ほどまで準備を行っていたため、最早開店を待つだけ。

開店30分ほど前に店舗へ到着。

入場口の開店待ちは…想像通り。決して多くはない。

今まで散々不誠実な営業を行ってきて、改装したくらいで贖罪が済むとは思っていない。

スタートラインへ立つ前のエントリーが終わった程度。

いよいよ開店。

お客様のお出迎え、元気な声でご挨拶。

ホールの巡回を行いお客様の反応を伺う。生の声を拾うことも忘れない。

稼働率はピークで5割行けば良いところだろう。

と、思っていた矢先にトラブル続出。

JC、ユニット、サンド、ホッパー…

次から次へと頻繁に。

何とか閉店を迎える。

稼働目標には残念ながら少し及ばなかった。

全てはこれから。

今までの「資本投下」を含めた全ての施策が、効力を発揮しなかったのは顧客の購買心理を刺激できなかったから。

これからの施策は、まずアプローチを行うこと。業界問わずマーケティングで最も重要なファクター、アプローチ。

今回のコンセプトは、過剰にならず、顧客の興味をひき、購買意欲を起こさせる。且つタイミングも見極めつつ。

そこで初めて全ての策がリンクするのではないだろうか。

先は長い。

人気ブログランキング
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.9

2010-05-23 06:14:49 | Residing
そこそこ朦朧とする意識の中で、明日は開店という程よい緊張感。

今回のケース、開店がゴールでもなければ、スタートラインですらない。

この改装を行った上で、早ければ1カ月ほどでようやくスタートラインに立つことが出来ると考えている。

改装や入替で稼働貢献に期待をしたり、CS向上に期待をするのは店舗の一部の管理者のみ。

よほどの信頼関係がない限りは「鼻息荒く開店を待ちわびる珍管理者と、それを眺める従業員達」の構図が出来る。

要するに温度差があるのだ。

そこは押しつけでは解消出来ないし、命令や規則でも意識は改善出来ない。

なぜならリアリティがないから。

社員やアルバイトにとって「集客する」「稼働を上げる」と言うのは、心の底からモチベートできる要素ではない(場合が多い)。

「集客出来るから何?」
斬ってしまえばこのようなイメージ。

今回のケース、改装を行えばとりあえずの客数は増える。

そこで全従業員に「目的意識」と「納得」や「共感」を共通認識させる。

何故接遇マナーを強化するのか、何故集客をするのか…。

目的意識を極端な話オーナーと同様のレベルまで昇華させていく。

どのようにお客様を感動させるのか、何を用いて集客していくのか…。

その際に最も大切なツールは「スタッフ」だと言うことを時間をかけて理解させていく。

地域密着型の小型店舗なので、資本の投下先が「機械」では効率が悪い。

「出玉」では、その辺に横行する似非コンサルと変わらない。というか芸がない。

「集客力」と「従業員能力」を同時に高めるのが今回のオーダー。

そこにお金をかけるようであれば誰でも出来る。

テーマはお金をかけないこと。

言うは易いが行うは厳しい。

人気ブログランキング
コメント (11) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.8

2010-05-22 06:13:51 | Residing
改装工事で最もシビアに留意しなければいけないことの一つに「機械台の調整」がある。

要するに釘。

意味もなく膨大な玉数を打ち込んで、感覚で良しとする法人も多いが、我々の打ち込み数も決して少ない方ではない。

その作業で大切なのは、いかにロスを少なくするか、と言うこと。

最近の機種では、特賞時右打ちや確変中右打ちの機種が多い。

すなわち、試打の最中もハンドルを操作する必要があると言うこと。

その操作を遅らせてしまったり、賞球詰まりに気付かなかったりしたらそこでアウト。

データに異常が出るため。

パチンコ日報をご愛読の皆様はご存じだと思うが、試打は非常に面倒。

単純な作業なのだが、呆けていて出来る作業ではない。

また、ホールコンには終始張り付いて、データの異常を確認しなければいけない。

そして、そのデータのチェックが出来る人物がいない。

答えはシンプル。

その他全ての作業確認や指示、全て後回しにしてデータチェックをしなければいけない。

その日寝なければ済む事だが、そう簡単に割り切れるものでもない。

明日は開店前日。

大丈夫だろうか。

人気ブログランキング
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.7

2010-05-21 06:09:58 | Residing
大晦日。

業界には長いこといるが、GWや盆暮れ正月を堪能したことはない。

と、いうより、堪能できるほどのポジションに就いたことがないと言った方が正しい。

まだそこまで営業に注力しなくても良い時期なので、今年こそは大晦日を堪能してやろうと誓った。

大晦日、閉店時間は20時。閉店作業も見届けぬまま、20時30分には店を後にした。

「後は頼みます」と言い残し。

自宅へ到着したのが21時前。ここからはより私的な話になるので、詳細は省くが、初めて一般人と変わらない感覚で年越しが出来た。

特に感慨深いことは無かったが。

年が明け、初詣も済み、特筆するべき点もない営業をこなすこと5日。

いよいよ改装工事が始まる。

リミットは突貫込みで84時間。

『ハード』の部分の店舗改善。抜かりはない、はず。

ところが、ありがちなボーンヘッドが出てくる出てくる。

結論から言えば、すべて私のミスになるのだが、「そこまで確認しないといけなかったのか?」と言う内容ばかり。

典型的なプレイヤー肌の私は、広い管理が大の苦手。

感覚で「分かるよね?」と言うことは聞かない。

確認しない。

甘かった。思い知らされた。

とことん隅々まで確認をしないといけないと、改めて認識。

ん?じゃあ、この社員達は要らないんじゃないのか?
と言う疑問にはとりあえず蓋をする。

改装工事は始まったばかり。

つづく

人気ブログランキング
コメント (8) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.6

2010-04-17 05:36:13 | Residing
環境が変わるのは早かった。

社員は常に戦々恐々。無気力だったスタッフは徐々に積極性を持ち始めた。

今まで優遇(?)されていたスタッフは、後ろ盾を無くして背中を丸めている。

多少宗教じみているとは思うが、今考えられるベストを行ったつもり。

だが、新しい統治者の登場には多少の演出は必要。ドラスティックであればあるほどインパクトは強い。時間が無いので強行的に誤魔化すためでもあるが。

程なくして社員に対してヒアリングを行った。

近況を聞いてみた。

「どうしてアルバイトにこちらから挨拶をしなければいけないのか」

「アルバイトへの口調を注意されるのでやりにくい」

そう、文化作りの手始めは「挨拶」。それも社員から率先するように厳命した。そして、勤務中の口のきき方も上から言う事を禁じた。

困惑している様子。ここで始めて種明かしをする。

「いいですか、アルバイトはお客様なんです」

「えっ!」

社員3名が目を剥いた。久しぶりの感情表現である。

と言うのも私が師匠から教わった最も共感できる概念の一つで、(当然自分テイストにはなっているが)遊技客=顧客、業者など=顧客、スタッフ=顧客なのである。

便宜上お客様とは呼ぶが、その顧客の中に優良客と不良客がいる。その見極めを行い、対応していく、という考え方。

遊技客にも業者にもスタッフにも同じように考えるので、頭から甘やかすという意味ではない。

アルバイトは、特に労働環境で離職を考える。遊技客も同じ。業者も同じ。

その組織に必要であれば、新台やイベント、サー ビスでつなぎ止める必要がある。

アルバイトへは福利厚生や情操教育。業者へは支払条件や、無理を言わないなど。

現状は違う。アルバイトには上から命令。逆らえば「お前には責任がないのか」

業者にも居丈高。

「そんな事じゃ困るんだよね!」
「こっちは金払っているんだ」

そんな事では誰にも助けて貰えない。

我々の施策が無力化しないよう、「洗脳」は続く。

人気ブログランキング

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.5

2010-04-07 05:13:50 | Residing
忘れてはいけない事件がある。

事件名を記述すると、多くの人を不快にするために避けるが、その事件の被害者は40日ほどでなんと脳が一回り萎縮(退化)してしまっていたという。

そこまでとは言わないが、自店のスタッフに関しても似たような現状。

学習性無力感。

言っても無駄、やっても無駄が次第にスタッフから自発性、積極性を奪う。達成感など無く、努力も無い。

たかだか数年で、程度の低い全体主義にも似たこの風土をよく創れたモノだと感心もする。

教育に着手するに当たって、社員を徹底的にこき下ろした。あなた方の考え方、行ってきた事は「全て」間違えています、とすり込む。

同時にスタッフへは、「今までの文化は全て間違っていたんです」と伝える。

一度皆の意識をリセットしなければ、どんな教育も施せないのは自明の理。

まずは強制的に朝終礼の行い方を改善。スタッフに発言をさせる。その後は社員による発言やフィードバックをさせ、その発言を全員の前で徹底的に批判する。

「貴方は今このような発言をしましたが、その考え方は間違っています。その根拠はこうで、正しくはこうです」と延々さらし者にした。

「ああ、今までこの人達の行ってきた事や言ってきた事は全て違うのだ。正しい事を学ぼう」とスタッフが少しでも思ってくれたらよし。

当然社員にも事後にフォローは入れるが、時間がない。パワーゲームで推し進めるよう勅命を受けている以上はとりあえず現場のスタッフ優先。

自信をとことんまで無くした社員3名は、終礼はもちろん営業中の発言も減っていく。

「こんな事を言ったらまた叱られるのでは?」

その意識が、自己の発言や思考に対し「正否」を考える事を促す。「自分が今思った事は正しいのか」と考えるようになる。

今までの土壌では、「基本的に俺は正しい。だって社員だもん」だったのだが、良い意味で慎重になった。当然スタッフの感じるストレスも軽減されたであろう。

今まで社員からの信頼が厚かったスタッフはやりにくいであろう。おそらく辞めていくのではないか。

多少古いが、メスを入れたら血は出る。

人気ブログランキング
コメント (14) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.4

2010-04-05 04:42:49 | Residing
建て直しに入った当時のスタッフは、アルバイトスタッフ12名、社員3名。

まずは現状の能力と思考、モチベーションなどを把握すべく、ヒアリングを行った。

アルバイトのほとんどが「暇で退屈。レベルが低い」と答えた。では、「そのことを改善するつもりは? もしくは何か取り組んでいますか?」と尋ねると黙り込む。

なるほどレベルは低い。

他に目立った意見としては、「スタッフ仲が悪 い」、「(先輩スタッフの)レベルが低いのに時給が高いのは不満」、「社員がホールに出る事はほぼ無いが何をしているか分からない」。

ある女性に至っては「お店の変化が早すぎる。何故改革をしているのか分からない、ついて行ける気がしないし対価にも不満」と我々を両断。

「お店の変化、改革は業績を伸ばすためには不可欠」と説明するとこう反論してきた。

「それは分かるが、その改革につきあっている私も、他のスタッフも、今まで以上に一生懸命頑張っています。それで時給が変わらないのは不満。対価を支払うべき」

「現状の客数、作業量では今の時給も出すのが惜しい」と説明を加える。

「こいつは金にならない」と思ったか、最早諦め顔。

アルバイトの評価基準も、トラブルが直せる事や勤続年数が長い事。これからも長期で勤務してくれる事などであったため、スタッフの自己評価も歪みきっている。

「だけどね…」と口を開いたが、まずはヒアリングにて現状の把握が優先と判断し「検討します」にてその女性は終了。

他には「スタンドプレーが好き。自分は自分でスキルを磨くから、チームプレーは好まないと吐いた男性。稼働率10%にも満たないホールで何のスキルを磨くのだろうか。

とりあえず、「そうだね。君は凄いね」

この男性も終了。

既存の社員の教育(?)により歪みきった軸を持ったスタッフが数名。当然解雇対象である。

その他のスタッフに関しては「やっと話が出来る人間が来た」と少しの希望を覗かせたが、彼らの目に感じるのは、学習性無力感だった。

「こんな仕事内容でいいのか」「この評価は不当だ」「どうにかしなければ」
おそらく初めの頃は毎日考えていたはずなのだが、悪しき風土を守りきろうとする社員のディフェンスは鉄壁だ。

次第に身を任せるようになっていったのだろうと考えると、彼らも不幸。

しかし、解雇は簡単。導ききれるかが腕の見せ所パート2。

現状は把握した。

人気ブログランキング

コメント (6) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.3

2010-03-22 06:03:27 | Residing
幸か不幸か、業者が仕事納めで、改装に伴う販促物や設備関係の確認は一旦手を止めざるを得ない状況になった。

電話で同時に業者7件と喧々諤々とやる気力もないので、とりあえず幸と言う事にしよう。

設備関係の業者とは工程会議を重ねているのでそんなに心配はない。しかし、肝心なのはプロモーションに当たる部分の精査だ。

デザインやレイアウト…そのレベルで作業が滞っている。

もちろん手伝ってくれる人間はいない。

販促だけであればお手の物!なのだが、未成熟なこの組織の立法から、同時に行わなければいけないために、労力は半端ではない。

とりあえず自身に課したデッドラインは48時間。

この時間内に全ての広告販促物を作成すると決め、傾注した。

その48時間も大袈裟に言えば波瀾万丈だった。

何とか1日目で「店舗のコンセプト」を明確に表現した広告販促物が完成した。

あとは、デザイナーが意図を理解して表現してくれたらそれでよし。

片っ端からメールをして、外注販促は終了する。

2日目は内製の販促物を制作する作業に没頭した。

機種説明やその他店内の販促物などがそれ。

驚くほどスペックの低いパソコンで、驚くほど動作の鈍いCS3を操作する。

外注したらざっと40万円分の販促物を制作。丸一日で良く終わったと感心しながら、自分へのご褒美はなし。

印刷をして、加工の指示を出す。当然専門用語は通じない。苦心しながらも伝達を終え、販促作業は終了した。

Xデーまでは現状の販促で営業をする。見ないふりは苦手だが仕方ない。

よりよい演出のため、販促も調整も接客も最低レベルを保ってもらう。

妥協の日々は何ともストレスが溜まる。

業者が動き出すまであと8日。

この期間は従業員へのティーチングに費やす。
人気ブログランキング
コメント (3) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.2

2010-02-23 06:37:24 | Residing
ホールに着任した当時は、まだマネージャーが店舗責任者だったので、自分の仕事はサポートだと誤解していた。

次の改装が1月6日から。ほとんどの業者が正月は4日まで休む。

そのため、12月半ばでも、改装までの準備期間は10日程ほどしかない。

しかし、書類は未作成。島図も未作成。オペレーションも未作成。

ホールコンが変わり、会員カードも変わり、店内販促も全て変わるのに、一向にマネージャーは準備する気配がない。

まずい。コレは無言の丸投げだ。

焦って、すべての準備を行うことになる。

職位は店長になっていたので、当たり前なのだが。

邪魔しなければいいが、毎日足を引っ張るから大変だ。

通常業務が行えない。

マネージャーはパソコンが苦手で、日々の稼働の打ち込みや、統計の速報メールも送れない。誤差玉の原因も追及できず、メンテナンスもできない。

そんなことに、足を引っ張られながら何とか準備を進める。

販促物のデザイン、機械運用シミュレーション、ホールワークの改善etc…。

パンク寸前で年末へ。

業者が仕事納めになったので、皮肉なことに余裕ができた。
ここで一気に各種業務を進めることができた。

段取りだけ行って、年が明けたら一斉にメール攻撃。これで間に合うはず。

肝心の営業数値は、入店から徐々に下がっている。

釘も設定も触りようがないから良いのだが。

稼働を気にしなくても問題ない店長職は初めて。

鈍らなければ良いけれど。

つづく

人気ブログランキング
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

立ち直り日記vol.1

2010-02-06 06:14:12 | Residing
場所は東北地方のとある町。

総台数300台。内訳はパチンコ200台、スロット100台。稼働はパチンコ6000発、スロット1500枚、という状況で建て直しに入った。

店舗の人材は次の通り。

営業部長。40代後半。部長とは名ばかりの肩書きで実質の店長。業者への対応は傲慢。社長に対してはゴマすり。いつもヘラヘラしていて、言語の理解能力も低い。小口現金などの細かい不正をしていた様子。

マネージャー。部長と同級生。釘、設定調整能力、人材育成能力はない。店舗運営能力も低い名ばかりの店長。アルバイトには居丈高。

20代後半の男性社員。業界経験は浅く、能力も未開発。現状では最も将来が有望。ただ、物忘れが激しい。アルバイトへの指導力は低い。

30代半ばの社員。アルバイトから正社員になって半年。社員登用を決断したマネージャーからも愛想を尽かされるほど無能。教育を受けていないので、故に指導もできない。金銭を唯一さわることのできないダメ社員でもある。

この店の常駐型コンサルを受けることになったのが9月。

社長と面接。

「根性はあるみたいだね。いずれ抜けるのは分かっているけど、社員という形で社会保険にも入ったほうがいい」

好感が持てる。
社長からのオーダーは社員のレベル、会社の価値、店舗の利益をそれぞれ向上させること。ただ、期限や具体的な数値目標の提示はない。

私が常駐して、上司と2人で店舗を運営していくことになった。

社長からのオーダーは分かっていたので、自分が今までやってきたように、「優れた店舗」を作るだけ。

全ての事柄に関して、当たり前のことを当たり前にやるだけ。 そして、「知らない」という社員へナレッジの共有を図ること。

そのためには「調整」「計画」「教育」「演出」など全てを精査し、整えていく必要がある。

まず第1の仕掛けが年末のリニューアル。

計画は死に島のスロットをパチンコへ。島を新設して1円パチンコの導入。

改装後は4Pが190台、1Pが60台、スロットが60台となった。

この改装から一気に仕掛けをしていくわけだが、模様替えや内製の強化を図るも…進捗は牛歩。

そんな時、私の上司から一言。

「展開が遅い! おまえが店長やれ」
「イヤです」
「やれ」
「…」

こうして12月の頭に店長に就任した。

とりあえず年末に改装、というスタートラインがあるので、社員の意思統一も簡単、と思っていたがこれが甘かった。

見積もりの取り方、発注の仕方、経費の見方、データの見方、試し打ちのやり方、朝礼のやり方、終礼のやり方、挨拶の仕方、稼働メールの打ち方、作業の振り分け方、ホールの周り方、休憩の回し方、メンテナンスのやり方、エクセルの使い方、FAXの仕方、新台の取り付け方、スタッフへの話し方、接客の仕方、etc…。

全てが独自のおかしなやり方。全てをスタンダードに替えていかなければ行けない。

「先は長いな」とため息の出る12月であった。

つづく

人気ブログランキング
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

中身のない見かけだけの強さ

2010-01-25 06:06:28 | Residing
10代でバーテンダーをやっていた時、マスターからこんなことを教えられた。

「医者、美容師などが特にそうだ」と前置きした後こう続けた。
「若かろうが、経験が浅かろうが、お客様の前では狼狽えるな。不安を与えるのが一番の罪。ハッタリが時には安心を産む」

他人の教えを「鵜呑み」にすることから脱却した今思うことがある。

お客様へ与えるべきモノはハッタリではなく「安心」と「納得」だと信じている。

地域一番店を堅守し続けるホールがある。

5km圏内には大型競合店が点在するが、ぶっちぎりの独走状態だ。

それについては、ユーザーは確かに「安心」を感じているのだろうと思う。

では「安心」の根拠は何なんだろうか、と考えてみた。

「安心」や「満足感」は、店舗責任者の独力で築けるものではない。部下や上司、同僚。さらには取引先など様々なところからの支持を受け、そして「組織」に認められて、ようやく実現できる。

満足の提供具合は「組織」すなわち「企業」の「仕組み」が反映されると言っても過言ではない。

このホールは連日満席。他のチェーン店も成績はまずまず。全国的にもトップクラスに位置する。

私の持論が正しいならば、その組織は非常に優れているということになるが…。

いざ、中に入って見ると外から見ているのとは大違いだった。

トップの第一印象は「旧態依然」。考え方はこんな具合だった。

「競合店のチラシ回数に負けるな!」
「広告費用の分、粗利は確保!」
「競合店の購入台数に負けるな!」
「新台購入費は、粗利で補填!」
「経費は削れ、人件費も!」
「馬車馬の意味を知っているか?」

一番唖然とさせられたのがこの一言だ。
「出せば客は来る」

お客様を馬鹿にしていると思った。
抜きに抜いて、出す。マッチポンプではないか。

何処に「安心」を感じられる「誠意」があるのだろう。

業界大手のイベントに日本中が踊らされている。
どこもかしこも7,7,7。

大手対策の「緊急会議」が開かれた。運良く立ち会うことが出来た。果敢に立ち向かおうとするのだが、驚きの連続だった。

「やはり7が良いのでは?」
「おこぼれに預かるには6か8ではないのか?」
「定説は25。時勢もあり、10などは?」
「独自路線で0や3は?」

会議を傍観していたが「独自路線」など望むべくもなかった。

いかに効率良く「集客」=「回収」出来るかを考えている。

営業の責任者達が雁首を並べてこのレベルだ。そこにはマーケティングリサーチも、数値的根拠もない。ついでに言えば、外部の提案を受ける気もない。

結果はやる前から見えていた。その催しはユーザーには「その他大勢」にカテゴライズされる羽目になる。

しかし、実施するには費用がかかる。捻出元は言うまでもない。軌道修正するまでお金を使い続ける。

「ウォンツ」を捏造し、お為ごかしの「ニーズ」で縛る。

さながらキャッチセールスか贋作の押し売りのようなもの。

ユーザーに気づかなければいいのだが。

その「盲信」がパチンコ企業を「盲目」にさせる。その代償は、ユーザーの懐から支払われる。

ユーザーは「そんなモノは望んでいない」伝えるべきである。

その「沈黙」がさらに彼らを「増長」させる。悪しき螺旋は断ち切らねばならない。

このホール企業には以前、「辣腕」と呼ばれる最高執行者がいた。グループ店のほとんど全てが好立地で好条件なのは、彼の働きによるものだった。

今でも「パチンコ店は立地だ」といわれているが、悲しいかなその通りだ。

彼が退陣した現在も高稼働を保てているのは、その際のアドバンテージがあるからだ。

自分達の功績だ、自分達の手腕だと、勘違いしている組織が成す昭和の「仕組み」。それを「盲信」して支持するユーザー。

装置産業からサービス産業、付加価値産業への過渡期で、支持を受ける「新風」が皮肉なことに「旧態依然」の体質であった。

「原点回帰」にしては笑えない冗談。

今後も命題は、ユーザーの意識改革を促すことである。



人気ブログランキング
コメント (6) |  トラックバック (0) |