長澤まさみが初の栄冠に!
美脚を惜しげもなく披露した長澤まさみが初受賞を。選出理由は「純情派路線を変更し、女性ファンを獲得した」などで、一皮向けた彼女の魅力を誇示した結果となった。2位は主演女優常連の天海祐希。3位の武井咲も「一人2役を目の動きなどで演じ分けていた」と評価が高かった。
美脚を惜しげもなく披露した長澤まさみが初受賞を。選出理由は「純情派路線を変更し、女性ファンを獲得した」などで、一皮向けた彼女の魅力を誇示した結果となった。2位は主演女優常連の天海祐希。3位の武井咲も「一人2役を目の動きなどで演じ分けていた」と評価が高かった。
竹内結子、小泉今日子との接戦の末、審査員票で差をつけた尾野真千子が1位を奪取した。尾野へは「彼女が構築したキャラの魅力で作品を引っ張っていた」「糸子にはバイタリティーと同時に尾野自身のそこはかとない品も加わり、魅力が倍加した」などの意見が寄せられた。
お嬢様やキャリアウーマンなど表情豊かな女性役を演じてきた松嶋菜々子が、ほぼノーメークで無表情、瞬き一つしないミタを演じて大ヒット。本賞でも2位との票差は5倍という驚異的な数字となった。読者からは「笑わないでも画(え)になっていたのは彼女だから」などの声が寄せられた。
1位の井上真央は、読者部門で票が割れたものの、TV記者と審査員の票を集め、結果的に2位と3倍以上の票差をつけた。投票理由には「明るく優しい陽子は、まさに役としてそこに生きていた」「朝ドラのあるべき姿を全うしていた。すがすがしい演技が好印象」などが上がった。
昨年「Mother」(日本テレビ系)で新人として本賞の特別賞を獲得した芦田愛菜が、2作目にして主演女優賞に。2位と倍以上の票差をつけての圧勝となった。「子供らしい泣きや笑いの芝居に毎週キュンキュンした」など、彼女のとりこになった多くの読者の声が寄せられた。
読者、TV記者、審査員のすべてでデッドヒートを繰り広げたコメディーの多部とサスペンスの仲間由紀恵。両極端な作品の2者だが、「多部ちゃんはコメディエンヌとして開花」「仲間さんの正統派美人な顔立ちと独特の声質がサスペンスにぴったり」と、新境地を開拓したという点では一致。瀧本は新人ながら3位に入り、大健闘という結果に。
読者、TV記者、審査員から三者三様の支持を集めた、戸田恵梨香、鈴木京香、菅野美穂がデッドヒートを繰り広げた。その中で、堤幸彦監督の世界観を体当たりで演じ、インパクトあるキャラクターが見事にハマッた戸田に軍配が上がった。
読者、TV記者、審査員のすべてで1位だった綾瀬は、「コスプレやヘン顔など、シーズン1より干物っぷりが出ていた」「嫌味のないかわいい干物女だった」と同性の支持を集めた。3位の倍近くの得票数を獲得した2位の松下には、「控えめなヒロインに好感を持てた」とこちらも女性票多数。
TV記者、審査員全員から票を獲得し、読者票でも2位の5倍の票を得た松雪が他を圧倒した結果に。「逮捕されたときの継美を見詰める表情が忘れられない」「キレイなだけでない新しい一面を見た」と彼女の芝居が「Mother」ファンの心をつかんだ。「同窓会~ラブ・アゲイン症候群」は黒木と並んで、斉藤由貴も高評価に。
読者、TV記者、審査員のすべてで1位を獲得し、2位と倍以上の差をつけた菅野。「ヘン顔してもかわいい」「菅野のスゴさを痛感」など絶賛する声が多数。榮倉には将来性を期待する意見が寄せられた。
1~3位が100票差の中で争った接戦を制したのは、「女王の教室(新人賞)」「正義の味方(主演女優賞)」以来、3度目の受賞となる志田。独特なセリフ回しや世界観に違和感なくハマり、イジメに耐える姿にも成長が感じられた。
安定感抜群だった松嶋が1位に。主演女優はフレッシュな若手が多かったこともあるが、得票数は2位の3倍以上でダントツ。小島楓を主軸に描いたスピンオフから高視聴率をマークし、本放送の成功につなげた功績は大。女性の弱さ、強さを出す表現力も支持を得た。
3位以下に5倍近く差をつけ、天海祐希と稲森いずみの一騎打ちに。結果的には存在感と安定感が決め手になり、天海に軍配が上がったが、稲森には「泣きの演技が真に迫り、涙を誘った。キレイだった」と難しい母親役を好演し、今後に期待する声も多かった。
菅野、仲間の接戦は、読者票で大差をつけた菅野に軍配が。“不思議ちゃん”を魅力的に演じ、「安定感が素晴らしい」と評価。ラブコメの主人公を愛すべきキャラに仕立てた榮倉がまんべんなく票を集め2位に。3位には闇を抱えた女性役に説得力を持たせた仲間が入った。
'08年を代表するドラマといえる「篤姫」で、宮崎あおいが受賞。読者票をはじめ、各部門で下位に大差をつけ、総合でも2位の4倍以上という票を集めた。「見事に一生を演じ切った」「歴代大河のヒロインと比較しても抜群」と、その評価をさらに高めるものになった。
志田未来と永作博美による史上まれに見る激戦は、読者票を多く稼いだ志田が初の受賞。コメディー初挑戦となった志田は、体当たりの演技が高い評価を得た。ハマリ役と評判だった永作は惜しくも2位。読者票、審査員票、TV記者票と上位3人は同じ顔触れとなった。
1~3位の差がほとんどなく、大激戦だった主演女優賞では、読者票が高かった仲間由紀恵が見事受賞。仲間はシリーズ3作すべてで同賞を受賞しており、“ごくせん=ヤンクミ”強しの印象。TV記者から高評価を得た天海祐希、読者票を伸ばした長澤まさみが続いた。
ドラマ初主演にして、バッサリと髪を切って難役に挑んだ香里奈が同賞初受賞。軽度の知的障害がある23才の女性・福原柚子(ゆず)を、愛らしく演じた。子供のような純粋さを持つ柚子が出産を決意し、少しずつ“母親”になっていく姿が多くの人たちに感動を与えた。
“働きマン”の雑誌編集者・松方弘子役。安野モヨコの原作イメージを損ねず、仕事に恋にと葛藤する女性を好演。媚びのない、メリハリの利いた演技が共感を呼び、読者票、TV記者票、審査員票すべてで1位と高い評価を受けた。
絶世の美少年ぶりが話題を呼んだ堀北が初受賞。佐野(小栗旬)への恋心を秘めつつも、あくまで男子生徒として生活する瑞稀の思いをまっすぐに表現した。細かい仕草まで男っぽく作りこみつつもどこか少女の色気も感じさせ、中性的な魅力で自身の代表作に!
少女・明日香の転落死をきっかけに、中学校に潜むいじめに切り込んでいく弁護士・珠子役。無愛想で鉄面皮だが、計り知れぬ情念を秘めたキャラをていねいに演じ、さすがの安定感を感じさせた。特に、冷静さを保ったまま憤りを表現する目の芝居は圧巻!
あまたの資格を持つが人とのかかわりを極度に嫌う“スーパーハケン”、大前春子役。超絶スキルを誇るありえないキャラクターを、常に前のめりで歩く姿や仏頂面など細部まで作り上げ、面白さを120%具現化。「それが何か?」の決めゼリフなど、小気味のいい毒舌も新たな魅力に。
ピアノの才能はズバ抜けているが、奇想天外な発想や行動で周囲を振り回す音大生・野田恵役。思い切りハジけた、気持ち良さそうな演技を見せ、視聴者をとりこに。独特の“のだめ語”や猫背のピアノ演奏も難なくこなし、「上野のための役」と言わしめるほどのハマリぶりだった!
ジャズピアニストを夢見る少女期を経て、みその蔵元のおかみとなった桜子役。40年ぶりにオーディションをせずに起用された宮崎は、キュートな少女が成長する様を“朝ドラ”らしい地に足の着いた演技で表現。最終回、病床で息子にメッセージを残す場面は鮮烈な印象を残した。
スクープのためなら手段を選ばない伝説のニュースキャスター・春香役。冷徹なまでにスクープにこだわるプロフェッショナルな面と、恋にめっぽう弱いコミカルなキャラクターの二面性を見事に表現。実在のニュースキャスターを研究したというキャスター口調も完ぺきで、高い演技力を見せた。
警視庁検挙率1位の敏腕女刑事・雪平役。犯罪を憎み、人を射殺することもいとわないほど冷徹ながら、自分の肉親のこととなると戸惑う人間らしさを垣間見せるバランスが絶妙。ハマリ役とされていた“アネゴ系”や“天然かわいい系”を封印し、クールな中にも“女”や“母親”としての表情をにおわせる芝居で新たな魅力を見せた。
井上真央と沢尻エリカのマッチレースに。井上がTV記者票で1位を獲得。対する沢尻も審査員票で1位を奪取し、両者譲らぬまま読者票での勝負に。ここで井上が勝利し、初の栄冠に輝いた。
鬼教師役で強烈なインパクトを残した天海祐希が3層でトップを獲得、2位にダブルスコアの大勝に。2位は各層で安定した支持を得た鈴木杏。審査員票、読者票で鈴木を抑えた伊藤美咲が3位となった。
共に30代で独身キャリア女性を演じた篠原涼子と天海祐希の対決は、3層で1位を獲得した篠原がV。注目は総合3位の成海璃子。審査員2位・TV記者3位を獲得、読者票3位の稲森いずみを僅差でかわし入賞した。
無敵の腕っぷしと熱いハートで生徒を守る教師・久美子役。“タンカを切って悪を片づける姿はとことん熱く、いろんな意味でズレすぎ!な天然ぶりはとことんコミカルに”のメリハリはさらにパワーアップ。ヤンクミの表情の幅も前より広がり、仲間にしかできないキャラの魅力で作品を引っ張った。
裏金の証拠が書かれた黒革の手帖を武器に、夜の銀座をしたたかに生きる元子役。男を手玉に取りながら銀座の女王に上り詰めていく姿は痛快! 波子をはじめとする女たちとの戦いで見せた激しさ、元子の心の中にある“埋まらない孤独”の部分も漂わせる表現力で、強烈なインパクトを残した。
余命が3か月の宣告を機に、残された時間を使い、娘との絆を取り戻そうとする明日香役。前クールに続きサバサバしている強い女性を演じたが、今作ではさらに、娘に対する不器用な愛情表現や感情の高まりをストレートに表わした涙など、難度の高い芝居を披露。幅広い演技力を証明した。
自閉症の息子をもち、奮闘する幸子役。子育てへの不安やイラ立ち、成長を感じたときの深い喜びなど、ナチュラルにメッセージを伝える芝居で、視聴者を作品世界に引き込み、大いなる感動を共有させた。篠原のもつ明るさが暗くなりがちな作品を優しい雰囲気に変え、存分に役を生きていた。
テニスの才能を見いだされ開花させる岡ひろみ役。根性娘のひたむきさや、試合場面での集中した目の色など、体当たりの芝居で初の栄冠に。大いに悩み喜ぶ等身大のヒロインで、上戸の明るくキュートな魅力を発揮した。濃いキャラが多い中、フラットな芝居で存在感を見せたのも大物のあかし!
仲間の代表的なハマリ役だが、山田奈緒子での受賞は今回が初。上田(阿部寛)との絶妙な間の掛け合いもさえまくり、ラストのかすかな恋愛色ではほのぼのとした魅力を。今シリーズの特長である、内面に迫る場面では、複雑な心の揺れをサスガの表現力で、奈緒子らしくしっかり演じきった。
13代将軍・家定(北村一輝)に嫁いだ篤子。心細さを必死で隠し気丈にふるまう勝気な姫は、凛とした魅力にあふれ、終盤には女のスゴミも。将軍の死後、瀧山(浅野ゆう子)に見せた絶妙の“苦笑”など、瞬間くぎづけにする芝居を随所に見せ、全話の登場ではないが、主演の風格と存在感に満ちていた。
スーパーウーマンでもなく、平凡なわけでもない難役を、安定した芝居できっちり確立。施設で育ち、自分が何者かわからない瑞穂の不安定さを、感情を包み隠したような芝居で表現し、乗り越えてからの、芯のある表情への変化でハッとさせた。微妙な心の動きをみごとにとらえ、2度目のVに。
視聴率至上主義の報道プロデューサー・鷹宮役で同部門4度目の受賞。松嶋がもつ女性的な柔らかい空気感によって、才色兼備な鉄の女も嫌みなく、クールな魅力が炸裂。第1話の登場シーンのイイ女っぷり、ラストで永瀬(福山雅治)に向けた極上の笑顔など、随所で連ドラ女王の「華」にシビレた。
前田利家とともに加賀百万石の礎を築いた、まつ役。頭の回転が速く思慮深く、肝の据わったまつを明るく悠然と表現。女たちだけでなく、武将からも一目置かれ、皆に愛されていた女性の魅力を余すことなく表現し、「氷の世界」('99年)、「やまとなでしこ」('00年ともにフジ系)に続き3回目のV。
恋人に裏切られ前科一犯、という過激な過去をもつなつみ役で、明るく元気な魅力を炸裂させ、初の主演女優賞に! オムライスなど、好きなものを食べたときの「おいし~い!」の笑顔にヤラレた人多数。対して、強くてたくましいなつみが過去に悩み苦しむ場面では、定評ある繊細な芝居で緩急を。
曲がったことがでぇ嫌いな、生徒思いの熱血教師・久美子役を伸び伸び好演。「トリック」('00年テレビ朝日系)シリーズで培われたコミカルな芝居が開花。絶妙の間と、整った顔だちとのギャップゆえおもしろみが増す芝居で、コメディエンヌとしての地位を確立。魅力あふれるヒロインに!
あこがれていた貫井(堤)と突如近い関係になり、恋心を秘めながらともに奮闘する籐子役。30代、表面的には女を捨てていても、やっぱりせつない複雑な女心をドキッとするほどリアルに表現。本音を押し殺す場面ほど、微妙な表情の芝居が光った。思わず応援しちゃう超魅力的なヒロインに!
真性のスター・ヒカル子役。一般人とはかなり感覚のズレたヒカル子をコミカルに、そしてとびきりキュートに魅せ、誰もが認めるハマリ役で同部門初受賞。どんなにマイペースでも皆に愛されるスターの輝きを表現できたのは彼女だからこそ。デフォルメされたキャラながら、恋するひとりの女性として共感を集めた。
沖縄育ちの元気で明るく大らかな恵里役で、一躍お茶の間の人気者に。ズンズン人の心に入り込んでいく恵里を嫌みなく、まっすぐに演じた。特に、見る者の心まで明るくする屈託のない笑顔が印象的。大役を見事に務め、朝ドラヒロインでは初の、同部門受賞の快挙を成し遂げた。
聾唖(ろうあ)の少女・まひる役で喜びの初受賞! 実力派としてさまざまな役をこなしてきた星野だが、ストレートに感情をぶつけるまひるの思いを、手話と表情だけで痛烈に伝え、見る者を圧倒した。前作とは違う気の強いヒロイン像も新鮮。ひまわりのような笑顔やせつない表情が印象的。
芝居には定評のある水野が、新人女子アナ・真琴役で初主演ながらみごと受賞。テンポのいいコミカルな演技と、引き締まったシリアスな場面とのメリハリがすばらしく、主人公とともに喜怒哀楽を楽しんだ。着ぐるみも披露した体当たりの演技にも拍手。“水野時代”の到来を期待。
第23回「氷の世界」('99 フジ系)に続いて2度目の受賞。コミカルな演技で新境地を開き、女優として演技の幅を着実に広げている松嶋。お金持ちにしか興味がなく男を振り回す桜子だが、それでも愛されてしまう、という設定に説得力をもたせる、愛らしさや美しさに満ちていた。
親に捨てられ、愛を知らずに育ち、他人の幸福を壊してしまう李理香役。普通なら共感の得られない李理香だが、彼女のもつ深い孤独を痛々しいほどの熱演で訴えかけた。妻子のある男性を誘惑するときの冷たい美しさ、「愛をください」と歌うときの純粋さが印象的だった。
元精神科医の慎一(上川隆也)と出会い、人間の微妙な感情を学んでいく自閉症の繭子役。視線の移動や髪をさわるクセなどの細かい動きから、人に触れられたときの激しい拒絶まで、動作のリアリティーが秀逸。さらに、単調な語り口のまま繭子の喜怒哀楽をみごとに演じ分けた。
杏子という人がもつ天性の明るさと、ハンデを負っているがゆえの複雑な心の揺れをみごとに表現。また、相当の努力が必要だったと思われる車イスの乗りこなしや、家でくつろいだようすなど、自然な演技にうまさが光った。主助演合わせて6度目の受賞も納得の存在感を示す。
連ドラ8本目の出演となった松嶋菜々子が悲願の初受賞。クールでミステリアスな塔子役で新境地に挑んだ。謎に包まれ氷のような冷たさをたたえた前半と、宿命の愛に身を焦がす後半の火のような女っぷり、2つの対照的な演技に役者として確実に成長していることが見てとれた。
連ドラは「きらきらひかる」('98年 フジ系)以来、1年半ぶりとなった深津。だが、映画、舞台で演技力は確実に向上、今回の“普通のOL”深美役でもその巧者ぶりは随所にちりばめられていた。何気ない場面をさりげなく、しかしわかりやすく演じられるところはみごとというほかなし。
優秀な姉・陽子にコンプレックスを抱きながらもひたむきに生きる月子役。冷たいしうちに耐える姿もさることながら、むしろ“女性のズルさ”の部分により神経を配って人間味を強調。それによって実在感をぐんと与えて視聴者を引きつけた。演技派として底の深さを見せた。
どこかヌケているが抜群の推理力をもつ警部補・柴田役。独特のテンポで“不思議感”を出し、謎解きの場面では、決して力まず、親しみやすささえ漂う演技を見せて、これまでの刑事像をすっかり覆した。その表現力と想像力には読者からも感嘆の声が多数届いたほど。
読者票とTV記者票で他を圧倒した中山は、幼いころの記憶を催眠療法によって他人のものとすりかえられたOL・実那子役。フラッシュバックで事件を思い出す場面の演技は迫真に満ち、張り詰めた緊張感があった。自分の過去を求めて森をさまよう場面にも引きつけられるものが。
せりふも表情もない「感情を失った」由希役。チェロと出会い、涙を流し瞳の奥でほほえむ、その表現の微妙さは鳥肌もの。鬼気迫る演奏シーン、生きる屍となった後半のたたずまい、かすかに声を発するラスト…。とにかく目を離すスキを与えず連ドラ史に異色のヒロインを創造。
掃きだめ部署「ショムニ」のリーダー・千夏役。きっぷのいいせりふ回しで繰り出される「楽しくない仕事は仕事じゃない!」など、さまざまな“千夏語録”が幅広い層に受け、演じる彼女の豪傑ぶりも吹っ切れていて爽快だった。超ミニの制服姿も迫力に拍車をかけるかっこよさ。
性格に問題アリのアンカーウーマン・麻生環役。有能だが、幼稚で、超タカビー。ヤな女ぶりを豊かな表情で思いきり潔く演じ、憎めない爽快なキャラクターに仕上げた。滝沢秀明との掛け合いも実にコミカルで、「恋人よ」('95 フジ系)以来、2度目の栄冠を獲得。
病院ものの多かった今期の“理想の医者”賞! 心の病を抱えた患者と真摯にコミュニケーションをとり、全身全霊をかけて診療する熱血医師・涼子を体当たりで演じた。医師としての温かさと強さ、悲しさを確かに伝える熱演。持ち前の明るさと豊かな表情に、見る者も癒されました。
「愛していると言ってくれ」('95年)、「真昼の月」('96年)、「理想の結婚」('97年、以上すべてTBS系)に続き実に4度目の受賞。口は悪いが心優しく、姉御肌であり少女のようでもある、寂しさを背負った明るいアキは、さわやかでキュートだった。セクシーな衣装や髪型も◎
読者の圧倒的な支持を得た薬師丸。不倫ドラマなのにドロドロした後味の悪さがなかったのは、彼女の清潔な存在感あってこそ。夫(杉本哲太)や姑(江波杏子)への気のつかい方、“恋”をとまどいつつも楽しむさまなど、ひとつひとつのしぐさやことばは真実味と愛らしさにあふれていた。
「愛していると言ってくれ」('95年)、「真昼の月」('96年、ともにTBS系)に続きこちらも3度目。ともすれば嫌みになりがちな明るくはじけたキャラを、コテコテの関西弁を生かし素直にかわいらしく演じた。竹野内 豊がぶっ倒れる勢いで抱きつくお約束のシーンも抜群にキュートだった。
同じ役で貫禄漂う2度目の受賞。正義感が人一倍強く心優しい彩が、苦難に負けずまっすぐに生きていくさまを、ますます豊かな表情と美しい手話で文字どおり熱演した。心の底で秀一(大沢たかお)を思う愛の深さもみごとに演じきった。哀しく温かい瞳に泣かされました!
'95年の「愛していると言ってくれ」(TBS系)に続き、こちらも2度目の受賞。レイプされるシーンをはじめ、忌まわしい過去を思い出しパニックに陥るなどの激しい芝居に文字どおり体当たりで挑み、レイプされた女性のショックを、説得力をもって表現した。
落ちめのモデル・南役。いつでも飾らず自分に正直…ともすればウルサく、嫌みになりかねないキャラクターを突き抜けた演技ではつらつらと見せ、同性から多大な共感を得た。物語前半の、テンションの高いはしゃぎぶりが、後半の迷い悩む女らしさに深みを与えた。
相手の言ったことを同じ調子で繰り返す、うれしいときは笑い、悲しいときは落ち込む…。和久井は素をまったく感じさせずに、“月9”史上最も愛らしく純粋なヒロイン・優香をつくり上げた。初めて恋する気持ちを知った優香の戸惑いの表情には、“真実”がありました。
約2年ぶりの連ドラ出演となった鈴木が、人気、実力を証明。不治の病の恐怖におびえつつ前向きに生きる愛永役。精神的な愛を求めるりんとしたヒロインを、すがすがしく演じた。野沢尚脚本特有の哲学的なセリフを言う、清潔感あふれる声と、強い光を放つ眼が印象的でした。
読者票、TV記者票で1位を獲得した常盤が、審査員票で1位の浅野を抜いてトップに。ここまでの約1年半、連ドラに出つづけてきた常盤が、経験を生かして初の大役を笑顔で演じきった。晃次(豊川悦司)への思いにも女優という夢にもいちずなヒロイン・紘子は、彼女にぴったりとはまった。
好きな相手をいちずに思いつづけるヒロインのせつなさ、強さを手話と豊かな表情でみごとに伝え、2位にダブルスコアの差で受賞。みずから歌った主題歌もヒットし、女優としても歌手としてもひとまわり成長した姿を深く印象づけた。酒井の上品な手話も大きな反響を呼んだ。
「もしも願いが叶うなら」('94年 TBS系)以来、1年ぶりの連ドラ。ヤンママ役が違和感なく、子供とのかけあいも自然で共感を呼んだ。いつもドラマで彼女が演じるヒロインのファッション、髪型は女性のあいだでトレンドになるが、今回もナチュラルなショートヘアが人気に。
王道のラブストーリーで、ひたむきで可憐なヒロインを演じた和久井が主演女優賞に。唐沢寿明、岸谷五朗らの共演陣にも恵まれて輝きを増した。とくに岸谷との掛け合いで見せたかわいいボケっぷりで新境地も開拓。「29歳のクリスマス」で女性の心理をリアルに表現した山口を僅差でかわした。
結婚直後に夫に先立たれ、借金だらけの葬儀社社長に就任。大家族とトラブルにもまれつづけるヒロイン・みのりを、威勢のよさを失わずに好演した。アクの強い個性派俳優に囲まれながらも、安定した演技で実力を示し「禁断の果実」で2役を演じ分けた田中を振り切っての受賞。
中学1年生(当時)の安達が主演女優賞に輝く。世間の冷たさに立ち向かう小学生役がハマリにハマり、大人相手にタンカを切る姿は実に堂々としたもの。安田、浅野が木曜夜10時対決を繰り広げるのを横目に余裕の逃げ切りだった。特に審査員票では群を抜いての首位。
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