『TOKYO JUNGLE』 マーケティング&セールスチームインタビュー

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』
制作チーム インタビュー(1/2)

GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

プラットフォーム : PlayStation®Vita
ジャンル : 重力アクション・アドベンチャー
発売日 : 好評発売中
価格 : PS Vitaカード版希望小売価格 5,980円(税込)
ダウンロード版 販売価格 4,900円(税込)
公式サイト

『GRAVITY DAZE』制作チーム 舞台監督のように、チームと向き合う。信じられる仲間がいるから、ユーザーが待つゴールまで走り続けられる。

宇宙で超新星が誕生する瞬間には、さまざまな力学的な作用が働いている。現象的には偶然のように見えても、そこには必然のエネルギーが潜んでいるのだ。 PlayStation®Vitaで楽しむ『GRAVITY DAZE』 が生まれた裏側にも、ゲームディレクターの外山圭一郎を中心として、ひとつの大きな重力圏が形成されていた。

重力に翻弄され、空に落ちていくような面白さをゲームに。

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「青山通りを歩いている時に暑くてだるくて。それでも移動しなければならない。目的のビルが見えるけどなかなか着かない。いっそのこと落ちていったらすぐ着くんじゃないかと思った。 でも落ちたら死んじゃうなーと思って。死なないためにはどうしたらいいかなと考えたんです。角度が変わることで生まれる足場を探していけば大丈夫かも?と妄想してみた。それが『GRAVITY DAZE』誕生のきっかけです。フレンチコミックの世界観の中で、重力をコントロールして空を浮遊している女の子が成長していく冒険物語。どうやったら人が空に浮いている絵が成立するかといろいろなことを考えていた。スーパーヒーローのように華麗に空を飛んでいるのではなくて、重力に翻弄されているような、空に落ちていくような面白さを出そうと思いました」

辛い時が一番妄想力が働くのかもしれないと笑う。どうやったら気持ち良くなれるか。そんな意識が日常に入り込み、もっと楽しくなれるような方法を考えている。発想の源は、どうやらこの辺りにありそうだ。

想像を裏切るアイデアとして戻ってくる、至福の瞬間。

ヒロインのキャラクターに感情移入できるゲームにしたかった。デザイナーとキャラクターデザインを検討している間に、仮のモデルをプログラムで組んで、重力アクションの細部を検証する。プランニング、試作のフェイズがあって、可能性をパートごとに広げていくのだ。フェイズが閉まるタイミングで可能性を集約し、チームがやりたいこと、ユーザーに伝えるために必要なことと時間とを天秤にかけながら進めていくが、自分がすべて正しいわけではない。最初は重力を操るといってもすぐに落ちてしまって楽しくない。その時、スタッフの1人からクライマックスに取っておいた“自由な重力操作”を最初に持ってきましょうと提案があった。

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「最初から楽しい展開にがらりと変わりました。思い込みが強かったんですね」

絶対にいけると思って始めても、うまくいかない時には疑心暗鬼になる。間違っているのではないかと不安になる。仲間を信じること。それぞれのエキスパートが同じビジョンを共有して集まれるかどうか。それが大事だと外山は言う。

「僕は具体的なイメージを持っていたわけではなく、コンセプトを提示しただけ。スタッフからこれでしょ、と出されたものに対して、僕がユーザーのようになって、これだ!と喜ぶ。言ったことがそのまま帰ってくるのではなく、自分の種まきに対して想像を裏切るアイデアが上がってくる時が一番楽しい。最高です」

チーム内に自信が宿った時、クォリティは飛躍的に高まった。

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どこまで表現していくか。外山にとって苦渋の選択だったが、結果的には正しかった。

「ハードルが高かったのは、PlayStation®Vitaでどこまでいっても開放感のある街が表現できるかどうか。本当にできるだろうかと思っていたことが、本当にできた。正直、すげーな、と思いました。結果的に非常に研ぎすまされた感がある。やりたいことが絞られた。やりたいことを何でもかんでも詰め込んでいけばいいということではない、と思います」

本当にできるのか、と悶々と悩んでいた時に、アート担当のリーダーが絶対にできる、と言ってくれた。想定されているPlayStation®Vitaのスペックなら、必ずできると。振り返ると、信じられる仲間がいたから続けられたのだと思う。それでも、チーム内部でテストを繰り返している段階では、浮遊するアクションが難しくて、重力を楽しむレベルまでいかない。どうやったら初めて触った人でも楽しいと思ってくれるか悩み続けた。外部の人に遊んでもらった後の評価が一番怖かった。

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「やっぱり難しいと言われたらどうしようとびくびくしていました(笑)。アメリカで開催されたゲームの見本市イベントであるE3で、体験版をデモしたのが、一番大きな転機です。そこで凄くいい評価をいただいた。重力をコントロールするという発想がかなり新しいし、面白そうだというこのゲームの面白さを一般のユーザーやメディアの方から賞賛されたのです。その時からチーム内に確固とした力が宿り、自信が生まれました。みんなの力が相互に働き、そこから飛躍的にクォリティが上がっていったような気がします」

そして自信は確信に変わった。これで行けるという空気がチーム内を満たした。突き抜けた瞬間が最高に幸せだった。