『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』プロデューサー齊藤氏、ディレクター藤澤氏ロングインタビュー【後編】
ゲーム Wii ニュース Wii U インタビュー2012年8月2日にスクウェア・エニックスより発売されたWii用ソフト『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』(以下、『DQX』)。発売から4ヵ月が経過したいまも多くのプレイヤーを魅了し続けている『DQX』。2回目の大型アップデートを控えた12月某日、本作のプロデューサーを務める齊藤陽介氏とディレクター藤澤仁氏にインタビューを行い、『DQX』のこれまでと現状、そして今後の展望について話をうかがった。
●変わり続けるこの世界の歴史を、皆さんといっしょに積み重ねていきたい
齊藤陽介氏(左) |
──話題を変えさせていただきます。2012年11月20日に“開発・運営だより 第3号”を更新されましたが……。
藤澤 はい。“中長期的展望”を公表するというのは、以前からプレイヤーさんに約束していたことでもあったので、その公約を果たすのと、実際に遊んでいるプレイヤーの方から、「もっとゲームのことを話してほしい」という声も高まっていたので、それにお答えするかたちでふだんはなかなか話す機会がないことをまとめてお話ししました。かなり長くなってしまったので、きっと読む方も大変だったんじゃないかなと思うんですが(笑)。トッププレイヤーもそうでないプレイヤーも、つねに人と比べながら遊んでるわけでもないので、平均的なプレイヤーの姿って見えないと思うんですよね。ですので改めて、エンディングまで到達したプレイヤーは全体の25%であることなど、実データから見た『DQX』についてお伝えしたり。また、オンラインゲームのプレイヤーは、とくにバランスをとても重視する人が多いので、自分の些細な言葉から憶測や不安を招いてしまうことが頻繁にあるため、こちらとしても慎重にお話すべき案件と意識しています。ですが、何も言わないのもそれはそれでまた不安にさせてしまうので、自分がいま思っていることを率直な言葉でお話ししたりしました。
──バランスと言えば、“バトルバランスについての見解”で書かれていた「現在のバトルバランスは全体的に良好な状態にある」という発言が話題になっていましたね。
藤澤 そうですね。先ほどのコンテンツの話に通ずると思うのですが、オンラインゲームは、やはり時間の経過とともに成熟していくものだと思います。そういう意味で言えば、『DQX』はまだサービス開始から間もない時期であって、バージョン1.1のタイミングでかなり大きなバランス調整を実施しました。さきほども触れた通りバランスは適性化したのですが、一方で「また弱体化されてしまうんじゃないか」、「提案すれば強化してくれるんじゃないか」という不安が高まっていると感じたので、自分が「いまどう思っているか」を明言する必要があると判断しました。ですので、あえて率直な言葉で「全体的に良好な状態にある」とお伝えしました。やや強い言葉として受け取られたようにも思いますが、明言することが大切だと思っていたので、それでよかったのだとも思います。ただ、だからといってそれが永久に続くたったひとつきりの正解だとまでいうつもりはなくて、今後もやっぱり柔軟にやっていくつもりなんですね。バランス上適切ではないと思うところが見えているのであれば、それには手を加えなくてはいけないですし。それは、『DQX』を楽しく遊べる世界として維持していくためにどうしても必要なことなので、このことについては今後もご理解をいただければと思います。
齊藤 当然、計画として、今後も職業は追加していきます。計画している職業がひと通り出そろった状態で、そこで見えてくるバランスもあるでしょうから。これから追加するコンテンツが職業の数によって、もしかしたら大きくバランスが変わる可能性もあるということを考えれば、調整は無限にやり続けなければいけないタスクだと思っています。
藤澤 そういう意味では、現在はまだ過渡期のバランスではあります。ただ、「だからしかたがない」という妥協の産物としてのバランスにするつもりはありません。バージョン1.1は1.1でベストなバランス、バージョン1.2は1.2でベストなバランスをつねに目指して調整しています。とはいえ、並行して追加されていく新しい“遊び”が影響する以上、答えがいつも明確であるわけではないですし、時には判断を誤ることもあると思います。ですが、皆さんが楽しんでくれる世界を作っていくために、“つねに最善手を探り続ける”ということはお約束しますので、そのことだけは信じていただければ幸せだな、と。
──開発の皆さんは、これから追加される職業やスキル、レベル上限解放のタイミングを当然わかっていらっしゃいますよね。つまり全体の流れの中の途中経過という意味での“現在のバランス”。一方、ユーザーは今後の詳細を知りませんから、いまのバランスが“本作のバランス”だと感じている。それが開発側とプレイヤー、両者の考えの相違が生まれる原因だと思うんです。でも、今回の中長期的展望のように、開発側が本音を語ってくれるのならば、その相違の溝はだんだんと埋まっていくと思います。
藤澤 そうですね。そうなればうれしいですね。自分としても、いまは自分が持っている全資質、全時間をプレイヤーの皆さんのために使いたいと思っているので、今後もできる限りの情報は出していければと思っています。
──現在、クリスマスイベントとして“星に願いを! 聖なる夜の大祭典”を実施されていますが、10月に行った“秋の大ハロウィン祭り”の手ごたえはいかがだったのですか?
藤澤 ハロウィンは『DQX』初の季節イベントということもあり、たくさんの方に参加していただきました。プレイヤーどうしが交流するキッカケとなってくれればと思っていたのですが、その役割は十分果たしてくれたと思っています。ただ、イベント終了後に、スタッフから自発的に「もっとこうすればよかった」という意見がたくさん出てきました。そのタイミングでつぎのクリスマスイベントの改修をするというのは、スケジュール的にはかなり非常識なことだったのですが、自分たちがいま感じている情熱をすぐつぎの機会でプレイヤーの皆さんにお見せしたいというスタッフの熱意を買って、非常識なスケジュールの決行を許可しました(笑)。現在実施中のクリスマスイベントには、そんなエピソードがあったりしますので、皆さんに楽しんでいただけていたら、スタッフみんなで喜べますね。
齊藤 初年度からご褒美を出しすぎなんじゃないか、というくらい豪華で。「来年はどうするの?」という内容です(笑)。
藤澤 クリスマスイベントを楽しみながら、その先にくるバージョン1.2のリリースを待っていただけたらと思っています。
──2012年11月末からはさまざまなイベント、キャンペーンを実施していますが、これらは以前から予定されていたものなのですか?
齊藤 “目覚めし冒険者の広場”で発表しているものを見ると、「なんだか乱発しているな」と感じられる方もおられるかもしれませんが、いずれも当初から予定していたものです。いまはまだコンシェルジュのイベント情報がうまく機能しておりませんので、見えかたが少しよくない状態となっています。たとえば、“メタルスライム大討伐イベント!”を実施しているのに、コンシェルジュは「何もありません」と言っていたり。今後は、つねにイベント情報を教えてくれて、たとえば、本当に例ですけれど、「今日はアストルティア中の宿屋が安く泊まれるぞ」といった細かいことまで、世界で何かイベントが起きているとゲーム中でお伝えできるようにする予定です。現在はゲーム中でイベント情報などをお伝えする方法がないため、単発的にイベントを実施しているように見えているのかもしれません。もともとの想定では、なるべく常時、世界の中で何らかの出来事が起こっている、ということをお伝えしたいと思っています。ただ、何時から何時までと限定してしまうと、「その時間はログインできないよ」と悲しい思いをされる方もいらっしゃいますので、タイムスケジュールがきっちりとしたものはやりにくいのかな、とも思っています。でも、たとえばソーシャルゲームではタイムイベントを頻繁に行っているものもありますし、「だったらログインしてみようか」という動機づけになっている部分があるのも事実です。ですので、ある一定の期間を設けたうえで、たとえば1週間だったら1週間、そのうち1日でも参加すればおもしろいことが起こりますよ、ということはやっていきたいと思っています。少し先になってしまいますが、バージョン1.3くらいまでには整備したいですね。
──コンシェルジュでイベント情報がわかるのはうれしいですね。没入感も増すでしょうし。では、そろそろ最後になりますが、プレイを続けている方々、そしてこれから『DQX』をプレイしようと思っている方々にメッセージをお願いします。
齊藤 いちばん最初にお約束した、10週くらいの間隔でアストルティアの世界を広げていくということは継続してやっていきますし、毎週配信クエストもお届けしていきます。「ボリュームやコンテンツが足りない」と思っている方がいることも十分理解していますが、まだまだこれから世界は広がっていきますし、ゆっくり遊んでいる方にもやさしい世界だと思いますので、そこはご安心していただきたいですね。ひとりでも遊べるとはいえ、ぜひこれからお友だちを誘っていただき……やっぱりみんなで遊んだほうが楽しいですから、ワイワイ楽しんでもらえたらと思います。ちょうど冬休みのタイミングだと思いますので、これをキッカケに始めてもらえれば。そのときは、ぜひドワーフで快適な旅を楽しんでください(笑)。
藤澤 この表現が正しいかわかりませんが、サービス開始という奔流の中でなかなか戦闘態勢が整わなかったんですが、ここにきて開発スタッフ、運営スタッフとも、ようやく総員戦闘配置につけたって感じがします(笑)。各スタッフとも、レベルが上がって頼もしさを感じられるようになってきました。いまの自分たちのレベルとモチベーションなら、これまでとはまたスケールの違う新しい要素をお届けし続けていけると思っていますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。アストルティアは、これから楽しさも、恐ろしさもドンドン深まっていきます。自分たちも、これからアストルティアに起こる展開に胸を躍らせています。変わり続けるこの世界の歴史を、皆さんといっしょに積み重ねていきたいと思っていますので、今後もどうぞよろしくお願いします。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
メーカー | スクウェア・エニックス |
---|---|
対応機種 | Wii / Wii U |
発売日 | Wii U版:2013年春発売予定 Wii版:2012年8月2日発売 |
価格 | Wii U版:価格未定 Wii版:通常版は6980円[税込]、Wii USBメモリー同梱版は8980円[税込] |
ジャンル | RPG / 冒険・ファンタジー |
備考 | ネットワーク対応、USBメモリー16GB以上必須 製作・開発:スクウェア・エニックス、ゼネラルディレクター:堀井雄二、キャラクターデザイン:鳥山明、音楽:すぎやまこういち、プロデューサー:齊藤陽介、ディレクター:藤澤仁 |
(C)2012 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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