今日からキミもヒットマン! 『ヒットマン アブソリューション』プレイインプレッション

本日2013年1月24日、ついに発売されたプレイステーション3とXbox 360、およびPC向けステルスアクション『ヒットマン アブソリューション』。シリーズ最新作にあたる本作の物語は、伝説の殺し屋“エージェント47”が、自分のパートナーであり、よき理解者だったダイアナを暗殺するミッションから動き始める……。今回は、前回よりも中身にグッと踏み込んだ、本作のインプレッションをお届けしよう。


■インスティンクトが生み出す無限の可能性

皆さん、前回、先行インプレッションを担当した、ジャイアント黒田です。さっそくですが、イチゴ好きな僕は、ショートケーキに乗っているイチゴを最初に食べるタイプ。ということで、まずは本作のキモである新要素、“インスティンクト”の魅力を改めてお伝えしたいと思います!

インスティンクトは、エージェント47が持つ特殊能力。専用のゲージを消費することで、建物の中や壁の向こう側にいる敵の動きが見えたり、侵入するのに最適なルートが表示されるほか、変装中に使うことで敵に変装を見破られにくくなったりします。さらに、インスティンクトは射撃時にも使用でき、周囲の動きをスローにして、複数の敵をロックした後、まとめて射殺するといったことが可能です。

本作は、このインスティンクトのお陰で、シリーズ初心者も取っ付きやすく、シリーズのファンにとっても攻略プランを確立しやすい内容となっています。加えて、インスティンクトを使った謎解きがじつに爽快! 一見、達成するのが不可能そうなミッションも、周囲にある物とインスティンクトを駆使することでクリアーが可能に。困難なミッションほど、達成したときの達成感と充実感はひとしおです!

個人的に難しく感じたポイントのひとつが、エージェント47がとあるガンショップで愛用の武器、シルバーボーラーを奪還するミッション。目的のシルバーボーラーは、ガンマンの姉ちゃんとの射撃コンテストに勝つと取り返せますが、この姉ちゃんはメチャクチャ強い! 少なくとも、アクションゲームが不得手な僕は、彼女の相手になりませんでした……。

ですが、諦めるのは早計です。なにも彼女と馬鹿正直に勝負して、取り返さなくてもいいんですよ。そう、勝負に勝てなくとも、試合に勝てばいいわけです! 目的のシルバーボーラーが保管されているのは、店のカウンターに置かれたケースの中。こっそり拝借するにはケースの鍵が必要ですが、この鍵は金庫に保管されていて、金庫のダイヤルが書かれたメモは、オーナーが所持しています。射撃コンテストより、シルバーボーラー奪還までのハードルがいくつもあるため、こちらのほうが達成するのは難しそうですが、インスティンクトを使って店内やオーナーを観察すると、クリアーへの道筋が少しずつ明らかになっていきます!

ネタバレになるので詳細は書きませんが、メモを手に入れるチャンスは、オーナーがひとりになったとき。メモを入手した後、金庫の部屋に侵入して鍵をゲットすれば、シルバーボーラーを取り返したも同然です! また、同じ方法でクリアーするにしても、よりスマートにプレイできればスコアが上がるので、挑戦しがいがあるのもたまりません。ちなみに、シルバーボーラーは、公式facebook(http://www.facebook.com/SQEXEE)の書き込みによれば、“家一軒分は下らない程の価値”があるそうですよ。

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■暗殺方法はよりどりみどり

暗殺ミッションに、ターゲットの暗殺方法が複数用意されているのも、本作の大きな魅力です。その手口はミッションによって異なりますが、絞殺、銃殺、撲殺、刺殺、圧殺、爆殺……と、実に多彩。プレイヤーは、用意されたこれらの殺害方法の中から、周囲の環境や自分のポリシー(「俺は現場にある物でしかターゲットを殺さないんだ」とか、「ヒャッハー! 切り裂いてミンチにしてやるぜ!!」とか)で、殺害方法を自由に選べます。

殺害方法が複数用意されているというウリも、とあるミッションを例に紹介しましょう。とあるステージで、エージェント47のターゲットとなるのは、クラブのオーナー、ドム・オズモンド。クラブの中は多くの客やスタッフで溢れているので、仁侠映画のように「死にさらせー!」と、正面から特攻するのはスマートではありません(そういったスタイルも、それはそれでアリですが)。ターゲットをいかに“人目につかない場所”で、“確実に始末できる”か。不可能を可能にするには、やはり、ターゲットの行動を観察したり、インスティンクトを使って周囲を観察したりすることが重要になります!

そうした入念な準備のもと、発見した殺害方法のひとつが、マジックミラー越しに射殺するというもの。ターゲットが個室でダンサーとふたりきりになった後、電話に気を取られているときが、引き金を引くチャンスです。また、店内にはいまにも落ちそうなミラーボールがあり、これをターゲットの上に落下させて、事故死に見せかけることも可能です。

苦労の末、緻密に計算された暗殺が見事成功したときは、不謹慎ですが、かなりの達成感があります。そして、ほかにはどんな殺害方法があるんだろうと、すぐに試してみたくなります。ほかの殺害方法が、チャレンジ(いわゆる実績のようなもの)の項目に入っているのもミソ。チャレンジを達成すると、エージェント47の能力がパワーアップするので、やり込みがいもあります。チャレンジは、いろいろ用意されているので、これらをすべて達成しようとするだけでも、長い時間楽しめちゃいます! さらにこのチャレンジは、ステージごとのスコアにも関係してくるので、ハイスコアを狙うなら、チャレンジをすべてアンロックしましょう。

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■周囲に溶け込む卓越した変装テクニック

あと、忘れちゃいけないのが、シリーズおなじみの変装用のコスチュームが、数多く用意されているという点です。変装は、エージェント47の特技のひとつ。彼は、ステージに用意された衣装や、倒した敵の衣装に変装でき、この変装術とインスティンクトをセットで活用することで、厳重に警備された場所への侵入が容易になります。

変装できるコスチュームは、庭師、警備員、警官、清掃員、チンピラ、ドラッグのバイヤー、コックなど(おそらく)シリーズ最多のバリエーションを誇ります。さらに、ひと口に警官といっても、ミッションごとに異なるデザインの制服が用意されるという徹底ぶり。これは地域によって制服のデザインが異なるのを再現した結果ですが、その細部へのこだわりようには脱帽です。

スキンヘッドで強面のエージェント47が、さまざまなコスチュームに身を包んだ変装後の姿も必見! 警備員やチンピラは似合うのですが、庭師や清掃員などは、「無理があるだろ!」と、ツッコミたくなるレベル。見事に変装しているんですが、こんなスキンヘッドでガタイのいい庭師や清掃員は、そうそういません。そんな風に、変装するたびに、エージェント47の新たな一面(?)を堪能できるのはかなりツボでした。

そして、変装はチャレンジの一部になっているのもポイント。ミッションごとに用意されたコスチュームすべてに変装すると、チャレンジを達成できますが、逆に一度も変装せずにクリアーすると達成されるチャレンジ項目も。自在に変装するのか、それともスーツ姿にこだわるのか。プレイヤーは自由に遊びつつ、異なるチャレンジ項目に挑めます。

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■さまざまなドラマを生み出すNPCたち

僕が個人的に注目してほしいのが、ミッション中に登場する個性豊かなNPCたち。彼らの中には、エージェント47が近づくと、勝手に喋り出すキャラクターも。そのセリフやほかのキャラクターとのやり取りは非常にユニークで、ついついミッションを忘れて耳を傾けたくなっちゃいます。たとえば、とある館にいる警備員のおっちゃんのセリフ。

「なんだって、まじかよ。冗談じゃなく、前立腺ガン〜じゃないんだな。はっははは、あんたにキスしてやりたいぜ。こいつはビッグニュースだ。(中略)いやっほう、やったぜ! いますぐお祝いしたい気分だ」

病気の疑いが晴れて、相手の医者(おそらく男性)に、キスしたくなるほど浮かれまくっているおっちゃん。プレイヤーはこの幸せの絶頂にいるおっちゃんを、窓の外に引き落とすことが可能です。おっちゃんにしてみれば、まさに天国から地獄。生かすも殺すも、プレイヤー次第なわけですが、ここでの選択がチャレンジの項目になっていたりします。

また、とあるホテルの上層階に忍び込む途中で出会える、ケンカしているカップル(夫婦?)も印象的。女性に言いくるめられる男性の背中に、同じ男としてちょっぴり哀愁を感じました。

このように、ミッションを遂行している最中に、いろいろなドラマが生まれています。NPCがほかのことに気を取られているスキに、先に進んだり、必要なものを入手したりするのがセオリーなんですが、ときには彼らのちょっとした日常を楽しむのもいいでしょう。

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■本格的なステルスアクションゲームを体感せよ

2回にわたって本作のインプレッションをお送りしてきましたが、ご覧いただいておわかりの通り、本作はシリーズファンやステルスアクションゲーム好きには、自信を持ってオススメできるタイトルに仕上がっています。

そして個人的には、ステルスアクションゲームの初心者の方たちにも、ぜひ手にとってもらいたい作品です。前回の冒頭でお話したとおり、僕自身、『ヒットマン』シリーズを遊ぶのは本作が初めて。ステルスアクションゲーム自体、それほどプレイしていません。

ところが、ンスティンクトを使ったゲームシステム、複数用意された殺しの手口、多彩な変装術、チャレンジ要素、個性豊かなNPCといった本作ならではの数々の魅力に、ステルスアクションゲームの虜になってしまいました! そう感じさせるだけの内容に仕上がっているので、食わず嫌いをせずに、多くの人に遊んでもらえるとうれしいです。

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著者:ジャイアント黒田
週刊ファミ通で執筆する、ゲームと食べ歩きが大好きなフリーライター。今年の正月に118キロの新記録を樹立した体重は、現在116キロに。このまま痩せるのが今年の目標。




※『ヒットマン アブソリューション』の公式サイトはこちら

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