- ――今、あらためてこのドラマを振り返ってみていかがですか?
- 【安達】 精神的にも肉体的にも、本当に大変でしたね。演じている4ヶ月間は、紅子になりきってたくさんの不幸を被りましたが(笑)、こんなにもワンシーンワンシーンを全力で演じられたというのは、私の自信にもなりました。
- ――精神的に一番大変だったのはどんなことでしたか?
- 【安達】 紅子という女性のいろんな面を見せていかなくてはいけないのと、そのなかに紅子の一貫した気持ちが通っていないと、この話は成立しないんです。なのでそのふたつを両立させることが大変でしたね。
- ――ひとりの人を愛するまっすぐさは、執念というか、最高の愛情でしたね。
- 【安達】 すごいですよね。現実にはここまで人を愛することって難しいと思うんです。でも憧れますよ、本当に。紅子のように、強く優しく生きられたらって思います。
- ――毎日観るたびにあまりの波乱万丈ぶりに目を覆いました(笑)。
- 【安達】 ですよね(笑)。演じている私たちも、台本を読みながら「え!?そっちにいっちゃうの!?」って驚きの連続でした(笑)。
- ―― 一番難しかったのはどんなことでしたか?
- 【安達】 難しかったというか、紅子の愛の表現には戸惑いましたね。というのも、愛する真彦や陽平に対して、ストレートすぎるほどの言葉をぶつけるんですよ。だって、「抱いてくれ」と何度もいっていましたからね(笑)。それに、そういうと必ず断られるという構成になっていて。もう悲しいというか、何というか……。演じていて一番複雑でした(笑)。
- ――(笑)そこから学ぶこともありました?
- 【安達】 「抱いてくれ」からはないですよね(笑)。でも、“あきらめない”ということは学びました。それに紅子の口癖でもある「笑っていればいいことあるさ」というのにすごく共感していて。人間はくじけてもいいし、落ち込んでもいいと思うんだけど、最終的には土壇場で踏みとどまる力が必要だなと思っているんです。紅子はそこがしっかりしていて。その強さが、観ている人に勇気を与えられたらいいなって思いますね。
- ――紅子は、この先どうなってもらいたいと思いますか?
- 【安達】 彼女はもう変われないと思うんですよ。心から優しいし、周りの人のために自分が苦労を引き受けちゃうのは性分。あのまま、周りの大切な人のために一生懸命生きていくんだと思います。そして、また人より大変な苦労を背負っちゃうと思うんですよね。
- ――安達さん自身、プライベートで落ち込んだときやヘコんだときはどう対処しているんですか?
- 【安達】 私はとにかく時間が過ぎるのを待ちますね。自分が大丈夫と思えるまで、じっと待ちます。普段、どちらかというと本能で動くタイプなので、頭でわかっていても本能で行動しちゃうんですけど……。とはいえ、困難が過ぎ去るのを待っているときって辛いですよね。でも、時間が来れば新しい何かが見えるのは今までの経験でわかっているし、そう思っていたいという希望も持っていたいんです。それに、紅子のように笑っていればいいことって本当にあるんですよ。
- ――確かに!では、今一番心が温まる瞬間ってどんなときですか?
- 【安達】 やっぱり、娘との時間ですね。4才なんですが、この『娼婦と淑女』が大好きで!保育園で先生に物語を説明しているらしいんです(笑)。それに困るのは、泣いているシーンがあると、「これ、ママ嘘の涙でしょ?」っていってくるんですよ(笑)。ここまで見破られるようになると、将来が怖いですね。
- ――あはは(笑)。たしかに、3、4才児ってドロドロの愛憎劇とか、韓流ドラマとか大好きなんですよね。
- 【安達】 そうなんですよ!寝る前もアニメを観るんじゃなくて、「昼ドラ観てから寝てもいい?」っていってくるんです。それで1話だけ観て寝かしつけるんですけど、よく考えると変ですよね(笑)。
- ――(笑)将来は女優ですかね?
- 【安達】 最近、女優になりたいといい出していて……。私は賛成できないんですけどね(笑)。
(文:吉田可奈)
衣装協力:JILL by JILLSTUART