2005年『ジュノン・スーパーボーイコンテスト』でグランプリを受賞後、舞台『田園に死す』で注目された中村蒼。今年はNTV系ドラマ『学校じゃ教えてくれない!』から主演映画『ひゃくはち』の公開、さらに1st写真集を発売!とその勢いは止まることがない。そんな彼の素朴で温厚な素顔を公開!
1st写真集『蒼日和』を発売した蒼くん。殺陣をカッコよく決めてたり、癒し系の寝顔を見せたりしつつ、今までは家族しか知りえなかった幼少からの写真も掲載。「小学生の頃はサッカーをやってたことしか覚えてません(笑)。すごく良い奴だったと思います、僕(笑)。ただ大人しいタイプでした。父の仕事上、転校が何度かあったんですけど、自己紹介もちゃんとできない感じで(笑)」。
そんなシャイな蒼くんだが、中3のとき『ジュノン・スーパーボーイコンテスト』に出場。応募したのは父親で「知らない間に応募されて、すごくイヤでした(笑)」と振り返る。「人前でしゃべるのは苦手だし、(書類審査を通過して)写真撮影に行ったら周りは年上のお兄さんばかりで緊張するし。芸能界にも興味ありませんでした」。
ところが最終候補の10人に残り、誌面に初登場。学校で知れ渡り逃げられない状況に。そして史上初めての中学生でグランプリに輝き「これも何かの縁」と事務所に所属し、高2のときに福岡から上京した。弱冠16才で一人暮らし。「お風呂のお湯が出なくて、ガス会社に電話しようと思ったんですけど、何を話せばいいのか分からなかった(笑)。初めてのことばかりで大変でした」。
ドラマや映画での主演を経て顔立ちに精悍さを増した今も、内面からはおっとりして朴とつな雰囲気が漂う。一方、「学校に行ってるときは本当に普通の高校生。はしゃいでます(笑)」とも。「地元と東京の違いを感じるのはカラオケ。東京の人は落ち着いてますね、バラードを歌ってそつなくハモったり(笑)。地元では大騒ぎしてました(笑)」。
写真集では、特技のサッカーや習字をやる姿も見せている。自然な感じで楽しくできたという撮影。“人前に出るのは苦手”だったはずが、「考えたら今は平気になってましたね。変われたと思います」と成長を実感。その蒼い輝きは日に日に増している。
今夏公開された蒼くんの初主演映画『ひゃくはち』。甲子園のベンチ入りを親友と争う野球部の補欠・ノブを演じたこの作品で、蒼くんは「役者として初めて悩みました」という。ドキュメンタリー作品を手掛けてきた森義隆監督は、役者に“こう演じて”と命じるのでなく“自分で考えてやってみて”というスタイル。「それまで芝居は指示を受けて動くものだったけど、思うように演じてみた後に監督に“違う”と言われ続けながら、同じシーンをOKが出るまで何度もやって・・・大変でした(笑)」。
スタンドで試合を応援する踊りを自分たちで考えるように言われたり、ノブが彼女を連れて遊びに行くのを“高校生なら普通”と思っていたら、「それはお前で真面目なノブじゃない」と指摘されたり。加えて、経験のない野球の練習も2ヶ月毎日あり、「夕方まで野球をやった後で、芝居のリハーサル。寝ちゃいそうで目が真っ赤でしたね」。
特に印象的というのが、ベンチ入りメンバーに漏れて泣くシーン。「撮影前は泣けるかが心配で。現場で何回もやって、やっと泣けたと思ったら、監督に“違う”と言われたんです。“泣いたからいいわけじゃない”と」。泣かずに呆然とする芝居に変えたり、結局20テイク以上を撮影。「ダメかと思ったらOKだったり、今のはいいかと思ったら“もう1回”だったり。何がいいのかは、今も正直分かりません(笑)。ただ、考えながらいろいろなやり方を試すことは、すごく勉強になりました」。
現在は1月スタートのNHKドラマ8『Q.E.D. 証明終了』を撮影中。アメリカの大学を15才で卒業した天才少年役で、「台詞も難しい言葉が多いし、ちょっとした横文字も英語っぽく言わないといけない。大変ですけど、すごく面白い」と、役者としての充実感がうかがえる笑顔を見せた。
(文:斉藤貴志)
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