Text by Mask de UH
FINALである。約5ヶ月に渡って続いたROCKSTAR GAMESの10年史を振り返るこの連載も、20回目の更新にて最終回を迎える次第となった。そして、最終回に取り上げる作品は、前回に引き続きR★の最高傑作にして最兇の問題作『GRAND THEFT AUTO:SAN ANDREAS』(以下、『GTA:SA』)。
前回は『GTA:SA』が名実共にR★並びにビデオゲームの歴史を塗り替えるモンスタータイトルとなった理由と、その凄まじいまでの作り込みについて考察した。それは、2004年の時点で持ち得るすべての技術を投入した成果であり、家庭用ビデオゲームの限界に挑戦した結果である。しかし、限界とは何も技術的な部分の話だけではない。
R★は『GTA:SA』において、あらゆる意味においての表現の限界に挑み、それまでのビデオゲームが踏み込まなかった/踏み込めなかった領域にまで進入し、ビデオゲームにおける表現が「本当にどこまで許されるのか?」というモラルについて大きな疑問を業界全体に投げかけたのである。もちろん、ゲーム本編の完成度の高さに比例する問題であり、よく云われる「自由度の高さ」とは別次元の、ゲームを遊ぶ行為そのものへのモラルへの挑戦でもあったのだ。
それが実験的に送り出された佳作ならばともかく、世界最高峰の売り上げを記録した前作『GTA:バイスシティ』の続編であり、全世界のユーザーが注目する超ド級のメジャータイトルであっただけに、その挑戦は大きな波紋を業界全体に投げかけることになるとは、送り出したR★にとっても予想以上の成果だったといえるだろう。ここで露呈した問題は、モラルに始まって人種問題、セクシー表現、暴力、麻薬、賭博など多岐に渡るので、論点を整理するために今回は3つの項目に分けて考察したい。
Text by Mask de UH
ついにこの日がやって来た。ロックスター・ゲームスの歴史を語る上で、決して避けては通れないギネス級の超傑作『GRAND THEFT AUTO:SAN ANDREAS』(以下、『GTA:SA』)を語る時がやって来てしまったのだ。あまりにも有名すぎる本作を語る際には、筆者も些か私情を挟まずにはいられないが、それはそのネタだけで本2冊は書けそうなエピソード満載につき、ここでは敢えて触れない。
触れるべきは、『GTA:SA』という怪物タイトルが我々の社会に与えた影響であり、その比類なき完成度であり、そこから表面化した様々な社会問題だ。『GTA:SA』は、ビデオゲーム史上に輝く紛れもない至宝であると同時に、ゲームで許されるべき境界線の垣根を踏み越え、タブーとされていた領域に踏み込んで問題点を白日の元に曝してしまった、超が1つでは足りないぐらいの問題作でもある。約5ヶ月に渡って続いたこの“ROCKSTAR HISTORIA”の最終回を飾るに相応しいタイトルであり、余りに語るべきポイントが多いので前後篇に分けてお届けすることをご了承いただきたい。
まずは前編として、『GTA:SA』が成し遂げた様々な快挙と作品に込められた深いテーマについて解説しよう。『GTA:SA』は主人公であるアフロアメリカンの青年カール・ジョンソンこと通称CJが、母親の死をキッカケに出稼ぎ先だったリバティシティから故郷である西海岸の地方都市ロス・サントスに舞い戻るところから始まる。
CJは弟もギャング抗争で殺されて地元に嫌気がさしていたが、従兄弟や友人と再会して故郷の置かれている状況を知り、立ち上がる。ロス・サントスは汚職警官テンペニーを筆頭とする腐敗した役人たちによって荒んでいた。ギャング抗争は激化し、対立組織との血で血を洗う抗争の中で、罠にハメられたCJはロス・サントスから追い出されてしまう。港町サン・フェリォや観光都市ラス・ベンチュラスに向かったCJは仲間を集め、故郷を汚す悪人たちに復讐を果たすべく、成り上がっていくのだった……。
2012年9月20日から23日まで幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ 2012。すでにお伝えしているように、ロックスター・ゲームスは『マックス・ペイン3』とスマートフォンタイトルなどを出展中。試遊することでプレゼントをもらうこともできる(『マックス・ペイン3』の場合はR★ロゴ入りTシャツ、スマートフォンタイトルの場合はシール)。
そこで明日からの一般日のウルトラ混雑で迷子にならないように、ブースの場所をお教えしよう。R★はホール4の右端、カプコンブースの中にパートナー企業として出展している。カプコンブースは『モンスターハンター4』などで大混雑が予想されるが、もし見つけにくければホール3側からホール4に入れば、すぐにR★のロゴを発見できるだろう。
Text by Mask de UH
最初に断言させてもらうなら、『THE WARRIORS』は映画原作ゲームとしては究極の完成度を誇っている作品だ。映画原作のビデオゲーム=所謂“シネマゲーム”は、洋ゲー市場において重要な位置を占めるジャンルだ。だからまず本題に入る前に、予備知識としてこのジャンルを補習しておきたい。いつものことながら長い前置きになるが、お付き合いいただくとしよう。
シネマゲームというジャンルはビデオゲーム黎明期からあり、ゲームの理想の完成形態のひとつとして「映画の主人公に成りきれる」ことを目標に掲げていた。にも関わらず、技術的な問題から映画の主人公とは程遠い仕上りのタイトルが大半だったという、ある意味悲しい歴史があった。シネマゲームはいずれの時代のハードでも開発されていたが、その実力が本気で表面化してきたのは、やはりプレイステーション2以降だろう。
表現力が向上し、映画と同じCGデータを共有開発できるなど新技術も生まれた一方で、やはり映画とは物語を楽しむ時間が倍以上違うゲームソフトとでは差異が生まれるのは致し方がない。真に映画の中の主人公に成りきれるようなタイトルが非常に少ないどころか、様々な問題から映画の設定をそのままゲームに反映できなかったタイトルも多かったという、映画大国でありながら古参と新参のエンターティメント同士の融合が果たせない苦節の時期が長かったのが歴史的な事実なのである。
ゲームに映画のストーリーをうまく落とし込めず、完全オリジナルの物語になってしまったり、後日談や映画と映画をつなぐ中間の設定だったりして萎えたり、キャスティングが何らかの不可抗力によって強引に変更させられていたりと、まぁとかくガッカリさせられがちな仕上りが多かったのが洋ゲーのシネマゲーム=シネゲーと呼ばれるジャンルだった。それでもなお、ハードの表現力や様々な版権問題を乗り越えた傑作もある。それらは筆者が個人的に基準とする面白いシネゲーの条件を満たしているタイトルでもある。その条件とは、ズバリ3つ。
1. 映画原作の物語に忠実である
2. 登場人物や主人公の設定も忠実である
3. それでいてゲームならではの追加要素がある
我ながら難易度の高い条件だと思うが、数は少ないながらもこれらの条件をクリアした傑作といえば、PS oneの『ダイハード・トリロジー』や、N64の『007ゴールデンアイ』、意外な路線としては『LEGO:STAR WARS』や『LEGO:INDIANA JONES』などのLEGOシリーズが、原作映画の再現度では1、2を争う完成度を誇っている。その中でも全ての条件を満たし、なおかつ比類なき完成度を誇るのが、今回のテーマ『THE WARRIORS』である。
そもそも『THE WARRIORS』は、時系列的には次回に本ブログで大トリとして取り上げる予定の『GTA:SAN ANDREAS』よりも約1年後の、2005年の秋に発売されたタイトルなのだが、製作発表自体は『SAN ANDREAS』よりも早かったこと(『MANHUNT』と同じ2003年のE3にて発表)、そして日本未発売タイトルであることも考慮し、敢えて先に取り上げさせていただく。
ここまで長い前説にお付き合いいただき誠に感謝する次第だが、本題はここからだ。まずは原作となった映画について解説しつつ、本作が如何にゲームと映画の融合を模索し、それに成功しているかを考察していこう。
いよいよ来週、9月20日より開幕する東京ゲームショウ(20/21日ビジネスデー、22/23日一般日)。以前お伝えしたように、我らがロックスター・ゲームスも、カプコンブースにパートナー企業として出展を行う。
ブース内では、先日発売された『マックスペイン3』を遊べる試遊コーナーと、iOSの初代『マックス・ペイン』、『グランド・セフト・オートIII 10th Anniversary Edition』などを体験できるモバイルコーナーでお出迎え。そして試遊した人にはおみやげもあるのだ。
『マックスペイン3』を遊んだ人には、R★ロゴ入りTシャツと、『マックスペイン3』オリジナルサントラCDが、モバイルコーナーで遊んだ人もR★オリジナルステッカーがもらえる。先着順の数量限定となっているので、なくなっちゃっててもあしからず。