ギターの弾き語りで、歌詞とメロディーと声を届けてくれるシンガー・ソングライター、星羅の3rdシングル「心配ばっかもうしなくていいよ」は、自立しようとがんばっている女の子が親に対して想う気持ちを歌っています。
気持ちが動いた時に曲ができた
――星羅さんは中1からギターを始めたんですよね。キッカケは何だったんですか?
【星羅】 家にギターがありまして。父親がサックス奏者で、母親は音楽好きな人で。だから楽器とか機材だけは家に豊富にあったんです。そこでギターを見つけて、近所の本屋で買った楽譜とか、合唱団に通っていたのでそこで歌っていた歌を弾いたりしていました。あとは自分が慣れ親しんだ童謡を弾いたりとか。歌が好きだったので、伴奏があればなお楽しいみたいな感覚でしたね。それからだんだんと、BUMP OF CHICKENさんとかASIAN KUNG-FU GENERATIONさんとか、その頃流行っていたいろいろなバンドの曲を聴くようになりました。
――曲を作り始めたのはいつごろなんですか?
【星羅】 中学生のときも作りたかったんですけど、どうやって作ったらいいのか知らなかったし、落書きみたいなノートがたまっていくばかりだったんですよ。そして16歳のときに初めて自分の曲を作りました。キッカケは、中学時代に見守ってくれた恩師の先生が亡くなってしまったということを知って、感謝の気持ちを伝えたいなと思ったことなんです。でも書こうと思ったときに、今までいろんな言葉を集めていたノートが一切役に立たなくて、ポンと曲ができたんですよ。
――それは、気持ちだけでできた曲だったということですね。
【星羅】 きっとそうなんですね。“あ、曲ってこうやってできるんだ”って気づいて、気持ちが動いた時が作り時なんだなってことを知りました。
――星羅さんは、自分の気持ちに素直なんですね。
【星羅】 でも、けっこう人の話とか気にしちゃうタイプですよ(笑)。“こんなことを言ったら相手がイヤな気持ちにならないかな?”とか考えちゃったりして。
――でも、こうやって自分の気持ちを歌にできてる。
【星羅】 あ、歌詞を書くときは、ひとりで何時間も練ることができるじゃないですか。時間をかけられるから、自分の中で何度も確認作業ができるんですよね。歌を歌うときはしゃべるときと違って、おどおどしないですね(笑)。
大人ぶって強がる子どもの気持ち
――「心配ばっかもうしなくていいよ」という曲は、小さい頃お世話になった家庭教師さんのエピソードを元にしているそうですね。
【星羅】 そうなんです。元々はなんとな〜くギターを弾いていたら、歌い出しの<心配ばっかもうしなくていいよ>という歌詞とメロディーと、要所要所の歌詞がわぁっと書けて、「これって家族がテーマかな?」と思って。誰にでも当てはまるような、どこかで見守られているような歌にしたかったんですよ。だから、自分+家庭教師さんのエピソードを混ぜこんでストーリーを作った感じです。教師を目指して上京してきたり、彼氏ができたり、車の免許を取ったり。そういうがんばっている姿と、私の両親や先生の両親が見守っている姿を想像して作っていきました。
――すごくがんばってるんだけど、さみしい気持ちにもなりますよね。
【星羅】 そうですね。基本、この歌の主人公は強がっているんです。
――それ、すごく感じます。“大人はそんなにちょくちょくママに会ったりしない”とか、“大人だから大丈夫なふりが出来る”とかね。そんなに大人じゃないのにね。
【星羅】 全然大人じゃないのに大人ぶって、安心してもらうことを優先して行動を選んでるんだけど、結局それが心配させてしまってるっていう(笑)。
――ひとり暮らしをしたことがある人は、絶対に思ったことがあると思う。
【星羅】 はい。環境はそれぞれだけど、この歌を自分のことのように感じてもらえたらいいなぁ……。
――星羅さんは、ひとり暮らしをしてどれくらい?
【星羅】 ちょうど1年くらいですね。
――最初はどんな気持ちでしたか?
【星羅】 自由だ〜!
――(笑)ですよね。
【星羅】 さみしくなるときもありますけど、そういうときは友だちを頼りますね。親にはなかなか自分からは連絡していない。
――歌詞のとおり(笑)。
【星羅】 (笑)まだまだ子どもです。
――親に対する気持ちを歌った曲は初めて?
【星羅】 初めてですね。これをシングルにしようと決めたのが、震災のあとだったんです。今、大事なつながりって何だろう?って考えたときに、この曲がいいんじゃないかなって話しあって。11月リリースのアルバムは何曲かを除いてほぼ恋愛の曲になっていますし、自分の中では珍しい角度からの曲ではありますね。
――その1stアルバム『ミディアイム』も聴かせていただきました。星羅さんの心地よい声がスッと入ってきて、静かに心弾むような気持ちになりますね。
【星羅】 ありがとうございます。デビューしてから2年半くらい経っているんですけど、昔作った曲から新しい曲まで時間軸を追って詰め込めたので、一旦ここで一区切りつけて、空っぽになった引き出しをまたいっぱいにするように取りかかろうかなという切り替えが今、自分の中でできていますね。
モデルをはじめたキッカケは……
――星羅さんはモデルもやっていらっしゃいますが、自分の中ではモデルとシンガー・ソングライターの境界線みたいなものはあるんですか?
【星羅】 知り合いの美容師さんのお手伝いで、ショーモデルとか美容雑誌のモデルをちょこっとやらせてもらっていたんですが、そういうときに『PS』という雑誌を見ていたら“モデル募集”と書いてあって、「あ、これは音楽に近づけるんじゃないかな?」って(笑)。そういう思いもあって応募しました。
――あ、夢への入り口としてのモデルだったんですね?
【星羅】 はい(笑)。でも、モデルとして認めてもらえたことはすごくうれしかったし、やっていくうちに楽しみと意味を見つけられました。ただ、やっぱり私の基本ベースは音楽なんです。
――そうだったんですね。では、この秋の注目アイテムを教えてください。
【星羅】 最近は女性らしい格好をしようと思って。タイトなラインだったり、胸元がキレイに見える洋服を着てみたいなと思っています。たぶん、洋服選びって恋愛でも変わると思うんですよ。相手に合わせるとかじゃなくて、こっちを見てほしいときとか。
――確かにありますね。やっぱり好きな人には可愛く見られたいという気持ちが増しますからね。
【星羅】 ですよね。だから気になる人に振り向いてもらえるように、ちょっと女性らしくなろうかなと思っています(笑)。
(文:三沢千晶)
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