150万円でカンボジアに学校を建てるプロジェクトを立ち上げた大学生たちのノンフィクションを映画化した、『僕たちは世界を変えることができない。』の主題歌「歩み」を歌うRAM WIRE。その歌を聴くと、とても温かい気持ちに包まれます。
映画と自分たちがクロスする
――映画『僕たちは世界を変えることができない。』を観ましたが、ドキュメンタリータッチでとてもリアルでしたね。
【ユーズ】 そうなんですよね。私たちも観に行って、3人揃って泣きました（笑）。いろんなことに気づかされる映画でしたね。自分たちが向けたことのない視野をいただきました。
【RYLL】 僕たちが主題歌を担当していなくても友達に勧めたくなるくらいにいい映画でしたね。そして、できれば最後まで席を立たずに主題歌を聴いてほしいなと（笑）。
――歌の内容が、映画にハマっていますね。
【ユーズ】 “世界を変えることができない”って言いきっちゃってるじゃないですか。それくらいに困難な世界だけど、それでも自分なりに答えを見つけていこうとする姿勢が、私たちRAM WIREのここまでの道のりや心の動きとクロスするかな？と思いました。
【RYLL】 この曲も映画と同じくノンフィクションですからね。
――作ったキッカケは何だったんですか？
【ユーズ】 キッカケがあったわけではないんですけれど、作っていったらおのずとそういう方向へ向かったんですよね。私たちは音楽を続けて10年になるんですが、本当に苦しい時期が長かったんです。やめようと思ったことも何度もありましたし。でも、そんな中でもどこかで諦めきれなかったんですよね。そういう苦しい繰り返しの中でも、光をもう1回掴みたいという気持ちがあったんです。歌いながら、音楽をやりながら自分たちを支えているという感覚なのかな？自分たち自身も奮い立たせようという気持ちで、素直に出てきた言葉なんですよ。
【RYLL】 僕は歌詞を書いていないんですけど（笑）、立ち止まってしまった瞬間に何かに気づけることってあるんだということを伝えたいですね。
【ユーズ】 そうですね。だから「歩み」という歌ですけど、“歩こう！”って言ってる歌ではないんですよ。立ち止まっても、そのときに何かに気づいて、また自分を見つめ直して、一歩ずつでも進んでいけたらいいなという想いがこもっています。
――そうやさしく言ってもらえると、ホッとしますよね。
【MONCH】 僕らってグイグイ引っ張っていくタイプではないんで……。
――見ていてもわかります（笑）。
【RYLL】 （笑）横で“大丈夫だよ”っていう応援のほうが、僕ららしいと思うんですよね。なので最初にコード進行を決めるときに、やさしさで作って、そこからふたりに渡して歌詞とメロディーをつけてもらって、また僕に戻ってきて……というやり取りをしながら作っていったんです。目指すところが明確だったんで、ブレていないですね。
原動力は「好き」という気持ちと仲間
――最初にみなさんの曲を聴いたときに、“この人たちって音楽が本当に好きなんだな”って感じたんですよ。そして、言葉の一つひとつにやさしさがあるなって。
【RYLL】 本当に音楽が好きですね。だから10年やってこれたんだと思います。
【MONCH】 あとはやっぱり、ひとりじゃなくてメンバーがいたのでやってこれたっていうのはあります。この映画でも、150万円を貯めてカンボジアに学校を作るということは、たぶんひとりでは実現できなかったと思うんですよね。
――それがRAM WIREの原動力なんですね。
【MONCH】 本当、そうですね。好きって気持ちと仲間です。
3人とも似ている部分があるんですか？
【ユーズ】 そうですね。3人とも学級委員長とかやったことがないし……。
【MONCH】 自分からは手を挙げないタイプですね（笑）。
【RYLL】 でも、クラスに30人いたら、きっと25人くらいはそういう感じだと思うんですよ。
――共感は得られるタイプですね。
【RYLL】 はい。だからこその光の当て方っていうのがあるんじゃないかな？って思いますね。
――ところで、RAM WIREという名前の由来はどこからきているんですか？
【ユーズ】 私たちは迷える子羊というか。大多数の人たちと同じで自分たちも迷っているし、そういう多くの人たちとの絆を築けたらいいなという想いがこもっています。
――結成から10年でのメジャーデビューですが、これからの10年は、どのように歩んでいきたいと思っていますか？
【ユーズ】 とにかく今を大事に。私が常日頃思っていることなんですけど、“ありがとう”とか“愛してる”とか、本当に伝えたいことは今言うべきなんだなと思っていますし、そういうスタンスは見失わないで生きていきたいです。
【MONCH】 うん。変わらずに自分らしくありたいですね。そして、感謝の気持ちを忘れずにこれからも歩んでいきたいですね。
【RYLL】 ずっと思い続ければ、大体叶っている気がするんです。だから10年後も自分の目標の駅を決めていて、そこに向かうことだけを考えていくだけです。
（文：三沢千晶）
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