2006年12月に結成された、ほたる日和。ボーカル早川の澄んだ歌声と、ノスタルジックさや情景感溢れる歌と演奏が特徴の4人組だ。そんな彼らの新作『東京組曲 e.p.』は、冬から春を感じさせる歌たちが詰まった全6曲。タイトル曲は、聴く者の郷愁感や、いつまでも夢を追いかける気持ちへのエールとなる感動的な曲。多くの人の同調や共感を呼ぶにちがいない1枚だ。
自分たちの内面を描いた曲が増えた
――改めて今作を聴き返していかがですか?
【吉田】 ほたる日和らしい作品が出来たかな。季節的にも今の時期にピッタリの曲たちばかりだし。
【倉橋】 いやー、自信作ですよ。前作より僕らの色がより濃くなり、洗練された作品になりましたね。
【成相】 僕たちらしさが凝縮された作品になったと思います。
【早川】 前作でのアッパーさやキラキラ感に対し、僕らの特性である切なさや哀愁が詰め込まれ、きれいに昇華された、よりほたる日和が分かる1枚になりました。
――それにしても感情移入しやすい曲ばかりが揃っていますね。
【早川】 キー曲である「東京組曲」を中心に、日常の機微や普段の生活の物語を今作では描いてみました。前作が比較的応援歌タイプの曲が中心だったのに対し、今作はより心情や心の揺れ動き等、自分たちの内面を描いた曲を増やしたんです。
――とくに「東京組曲」にはかなり共感する人が多そうな。
【早川】 故郷との距離感や“このまま埋もれてしまうのではないか?”という焦燥感、望郷感に近いものは誰しもが持っているだろうし、その辺りで共感してもらえると嬉しいですね。
【倉橋】 経験したことがない方でも、近い経験や体験を通して、まるで自分のことを歌われているような感じになると思いますよ。
いろいろなサウンドの楽曲がひとつの物語に
――サウンド的には、いろいろなタイプがありますね。
【吉田】 サウンドだけだと、“えっ、これってほたる日和?”って曲もありますからね(笑)。でも、聴き終えた後には、ひとつの物語を観たような感覚を得られると思うんです。ほたる日和の一貫してブレていない何かというか……。
【倉橋】 各曲かなり遊んでいるけど、まとまった作品になっていると思います。常に早川の歌が真ん中にあるので、そのぶん、自分たちは自由に泳がせてもらいました。なので、けっしてチグハグな印象を持たれない自信はあります。
【成相】 幅を広げていろいろなことをやったぶん、逆に自分たちらしさが出たかな。何をやっても早川君の歌が乗ると、ほたる日和らしくなる。その辺りは自分たちならではでしょう。演奏面にしても、「あ・うん」の呼吸や「ツ―カ―」さはより増えましたから。“こうくるだろう”と予想して叩けば、見事作品では自分の想像通りに皆が楽器を乗せてましたね。
【早川】 とくに今回は仮歌を歌いながらやったんで、よりそこに寄りそったり、近づいたりの、バンド全体での共通の景色の見やすさはあったと思います。
【倉橋】 だけど、きっと他のバンドではここまでにはなりませんよ。自分たちらしさを出した結果が結局、ほたる日和らしさに繋がっていますからね。
――実際歌っている早川さん的にはいかがでした?
【早川】 歌詞をどう伝えるかをまず考え、過度な表現方法は避け、基本、ひとりの語り部が歌を歌っている感覚で各曲歌いました。とくに今回は自分の等身大の歌内容ばかりだったので、そのぶん、無理や背伸びなしに心から歌えました。
――今作の中心は、やはり何といっても「東京組曲」ですね。
【早川】 そうですね。この曲を中心に、短編小説のように1枚を聴いて欲しいな。自身を投影できる楽曲が揃ったので、それぞれの曲でその時々の自身を佇ませてくれると嬉しいです。
(文:池田スカオ和宏)
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