ロックバンドならではのダイナミズムと、3ピースという必要最小限の編成ながら、その抜き差しやメリハリによる、ドラマ性溢れるサウンドに乗せ、希望と絶望、闇や光を歌うLyu:Lyu。そんな彼らが1stミニアルバム『32:43』を発表した。結成から2年半。その初期から現在までの代表曲が収まった、まさに“現在までの集大成”とも言える今作を中心に、ここまでの道のりを3人に語ってもらった。
希望を実感するにも、まずは絶望を知らなくちゃダメ
――まずは結成の経緯から教えて下さい。
【コヤマヒデカズ】 以前に3年程、バンドを組んでいたんです。それが解散してしばらくはソロとして活動していたんですが、もう一度かっこいいロックバンドを演りたくなって。そこで、以前もバンドで一緒だった純市と、音楽学校の後輩だった有田に声をかけ、このバンドを始めたんです。
【有田清幸】 それが2008年2月で。僕ら東京のバンドなのに、いきなり初ライブが名古屋でしたからね(笑)。コヤマさんがソロで出演する予定だったライブに、このバンドで出たのが最初で。
【純市】 初めてこの3人でスタジオに入って音を出した瞬間に、“これだ!!”と思いましたよ。当初から「一音で自分たちの世界に惹き込めるバンドになろう」なんて話していましたが、まさにそんな感じでしたから。
――聞くところによると以前のバンドは4人組だったとか?
【コヤマ】 ですね。大好きなNIRVANAも含め、3ピースバンドへの憧れが以前からあって。ギター、ドラム、ベースの最小限の構成で、どこまでのドラマ性や究極性を追求できるか?その辺りも目指していきたかったんです。
【有田】 その分、1/3の責任感や重みはありますよ。僕の場合、コードやメロディーがないので、打楽器ならではの可能性をどれだけ展開できるか?2人が僕のドラムに乗った際にどれだけ広がりが出せ、何を描けるか?まずは歌を聴かせることを前提に、曲に対し、色々な可能性を考えて叩いています。
――Lyu:Lyuの音楽は、絶望を経ての希望や、闇があるからこその光を上手く歌や演奏で表していますよね。
【コヤマ】 その辺りは、音楽以前に僕の考え方や姿勢が、大きく関与していると思うんです。希望を実感するにも、まずは絶望を知らなくちゃダメだろうと。そこは誤魔化したくなくて。それこそ以前は、“みんなが死にたくなるほどへコんだ気持ちにさせてやる!!”、“みんな臭いものにはフタをしやがって!!”と、ヘイトの念でライブを演ってましたけど(笑)。徐々にお客さんと曲のキャッチボールの意義や面白さがわかり出して。今ではただ一方的にまき散らすのではなく、聴き手に自分たちを分って欲しいと、より伝わりやすい方法を目指して演っています。
――かたや傍らにいるような“一対一”感が、かたや“自分VS世界”感の両極を有しているのもそのためなんですね。
【コヤマ】 かもしれませんね。まず自分の見方があって、そこに関わってくる他人や世界がどうなのか?その辺りを、曲の起源にしています。
【有田】 口に出せない想いや潜在意識さえも、サウンドで表したいんです。それらを演奏で、より明確にする手助けをしたくて。
【コヤマ】 歌詞や歌の世界観は、この3人でアレンジを固めてから生まれることが多いですからね。ある程度上がったサウンドに、人物や景色等を浮かべてみて、それらが歌詞や歌として動き出すというか。なので、その時その場で思ったことや浮かんだことが、歌詞になるケースも多いんです。
“これが今の俺たちだ!!”といえる、集大成が完成!
――今回の1stミニアルバム『32:43』について教えて下さい。
【コヤマ】 結成当初から最近までの曲の中から選りすぐった、まさに集大成の盤です。色々なタイプや物語がありながらも、作品全体に一本ピシッとした支柱を感じてもらえると思いますよ。
【有田】 これまでの楽曲の中でも、最高と自負できる曲ばかりですからね。初めての正式音源ですが、周りの環境も含め最高のものができました。どの曲も詰め込んだ想いが歌やサウンドに溢れていますから。
【純市】 いわゆる名刺的な、“これが今の俺たちだ!!”というアルバムができました。
――最後に今作の聴きどころを教えて下さい。
【純市】 メロディーと歌詞と、キレのあるサウンドでしょう。
【有田】 演奏もですが歌詞と声をぜひ聴いて欲しいですね。そして、作品を聴いたらぜひライブにも足を運んで下さい。
【コヤマ】 基本は良いメロディーで良いことを歌っているので、その辺りもぜひ聴いて欲しいですね。
(文:池田スカオ和宏)
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