昨年限定発売したシングル「こどものうた」や、NHK『トップランナー』の司会でも知られるクリエイター 箭内道彦のプロデュースによるアルバム『僕らの平成ロックンロール』が話題になった高橋優が、シングル「素晴らしき日常」でメジャーデビュー。荒々しく、しかしそれゆえの輝きに満ちた、生々しい言葉と歌声は、きっとリスナーの心をつかむだろう。
まっすぐにも皮肉にも取れる曲を作りました
――音楽を始めたきっかけは?
【高橋】 初めてギターを手にしたのは中3のとき。最初はエレキで、初めてコピーしたのはhide with Spread Beaverさんの「ピンクスパイダー」でした。それから高校に入って安いアコギを買い、日々思ったことや感じたことを曲にするようになって。人前で歌うようになったのは、大学に入ってからですね。札幌の六畳一間の木造アパートで一人暮らしを始めたんですが、隣に迷惑がかかるので部屋では歌えない。地元の秋田では大声を張り上げて歌っていたのが、急にできない環境になってしまって。それで衝動的に外に出て、札幌の狸小路で歌うようになりました。
――メジャーデビュー曲「素晴らしき日常」は、ピアノのイントロが印象的。情熱的なサウンドとニュースな言葉が心に迫ってきますね。
【高橋】 きっかけになったのは、どこで読んだか聞いたか忘れてしまいましたが、「麗しき国に生まれ、すこやかに育んで」という言葉です。それがずっと頭に残っていて。その言葉って、素直に“その通りだね”って思うときもあれば、“きれいごと言ってやがる”と思うときもある。そこで、その言葉を冒頭に、まっすぐにも皮肉にも取れる曲を作れないかと思って作りました。
――歌詞は、現実を辛辣に訴える場面もあって、言葉の強さをすごく感じました。
【高橋】 やはり言葉はすごく大事だと思うんです。曲って発表した時点で聴いた人のものになるから、どう解釈されるかを怖がっていては始まらない。だから、あえて強い言葉を使うときもあるし、どう取ってもらってもいいように書いています。この曲を通じて、素晴らしい日常を送ってくれたら嬉しいし、何かを感じてもらえれば、それが僕にとっての歌い甲斐になります。
何でもなかった日が、誰かにとっての記念日になってくれたら嬉しい
――カップリングの「8月6日」は、うって変わって日記っぽい歌詞のラブソング。
【高橋】 僕は日々、日記と言うか、実際にあったこと、妄想や絵など、文字通り自由につける“自由帳”をつけていて。そこからテーマをピックアップして、歌詞や曲を考えているんです。「8月6日」は、そこに書かれていることを、そのまま歌にしたらどんな感じになるかという実験で生まれました。たとえば、聴いてくれた人が「恋人と初めてキスしたのはいつだったっけ」みたいな、考えるきっかけになって、何でもなかった日が、誰かにとっての記念日になってくれたら嬉しいです。
――「素晴らしき日常」のPVは、モノクロの画面で、高橋さんが激しく弾き語る映像になっていますね。見どころはどこでしょう?
【高橋】 実は撮影中に弦が切れてしまって。よく見ると、後半でギターの弦が切れてビヨーンってなるシーンがあります。0コンマ何秒しか映ってないけど(笑)。通して7〜8回、全部本気で歌って、それを編集しています。ドリンク剤を飲みながら気合を入れて撮影したので、ぜひ見てください。
――最後に、このPVのディレクションと、全体のプロデュースを手がけているクリエイターの箭内道彦さんについて教えてください。
【高橋】 第一印象は、お互いあまり良くなかったです(笑)。何を考えているかまったく分からなかったし。でも、同時に底知れなさに魅力も感じました。出会ってから3年、お互いぶつけ合ってきたものが、混ざり合う瞬間もたくさん感じられるようになりました。だから、これからもどんどんぶつかり合って、良いものを生み出していきたいです。僕自身それが楽しみだし、みなさんにも楽しみにしていてほしいですね。
(文:榑林史章)
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