ピアノ兼ボーカルの杉本雄治、ベース兼コーラスの奥野翔太、ドラム兼コーラスの河邉徹による3ピースピアノロックバンド・WEAVER。新曲「Hard to say I love you〜言い出せなくて〜」は、瑛太&上野樹里のダブル主演で人気のフジテレビ系ドラマ『素直になれなくて』の主題歌。熱く、ドラマティックに心に響いてくるこの楽曲に込めた想いとは…?
話題の“twitterドラマ”主題歌で、新たな挑戦!
――「Hard to say I love you〜言い出せなくて〜」は、心の叫びですね。本当の気持ちを伝えられないもどかしさや熱い想いが、演奏やメロディー、声で伝わってきます。
【杉本雄治】 そういった気持ちの緊迫感は、意識して作ったところがありますね。それと、今までは1曲聴いてもらって、僕らを感じてもらうことが多かったんですが、今回はドラマの主題歌というところで、今まで以上に“一瞬のインパクト”、“どれだけ人の心を掴むか?“をすごく意識して作りました。
――どんな想いを乗せた歌詞にしようと思ったんですか?
【河邉徹】 このメロディーを最初に聴いたときは、“僕が君に対して素直になれなくて”という気持ちを書こうと思っていたんです。だけど、ドラマはtwitterの仲間の中で繰り広げられるので、“僕”というより“僕ら”という感覚で書いたほうがいいんじゃないかと。女性ならハル(上野樹里)の視点だったり、男性はナカジ(瑛太)だったり、それぞれ自分を投影できる登場人物の視点で聴くことができるなと。
――確かに登場人物それぞれが、どこか素直になれない部分を持っていますからね。
【杉本】 そうですね。僕らもみんな共感できると思うので、曲自体も“誰もがそうなんだよ”ってところを意識しました。ドラマの台本を読ませていただいたときに、気持ちの移り変わりの早さを感じたんですよ。それには今までの僕らにはなかった、R&B的なスピード感が似合うな〜と思って、そんなリズムから作り始めました。
――バンドとして新しい試みがけっこうある曲なんですね。
【奥野翔太】 そうですね。今までの僕らの曲は、3人の音で成り立つ音楽がテーマだったので、1stアルバム『Tapestry』は本当に3人の音だけで作ったんです。この曲はそこから一歩踏み出して、3人の色が際立つ土台を作った上で、他の楽器の音を足していきました。サウンドプロデューサーに亀田誠治さんを迎えたことも刺激になりましたね。
――亀田さんとご一緒して、いかがでしたか?
【奥野】 愉快な方でした(笑)。楽しい気持ちでやってこそ、いい音が録れると思うので、亀田さんはそういう空気を作るプロフェッショナルでしたね。
――ところで、ドラマは観ていますか?
【3人】 観ています!
【河邉】 最初は、曲が流れるまで“ホンマに流れるんかな?”って半信半疑だったんです。実際流れても実感がなくて、自分が観ている“このテレビだけ流れてるんとちゃうかな?”って。嬉しいんですけど、不思議な感じですね。
【杉本】 まさに不思議でした。それと同時に“たくさんの人が聴いてくれてるんやな〜、すごいな〜”って、感動を噛みしめながら観ていました。
【奥野】 僕は、曲が流れたとき笑いましたよ。“うわ、流れた!”みたいな(笑)。嬉しかったです。
愛してくれた人たちの想いを、そのまま曲に―――「旅立ちの唄」
──PVは不思議な映像ですね。水の上で青い羽根がだんだんと女性になっていくという。
【杉本】 青い鳥の話なんですけど、鳥って色が見えないじゃないですか。虹を見たい青い鳥が、僕らの音楽を聴いて、人間に姿を変えていき、最後に虹を見る…っていう物語です。“音楽にはそういうチカラもあるんだよ”っていうメッセージも込められています。
──カップリングの「強がりバンビ」は、曲的には「Hard to say〜」と正反対な曲調ですけど、歌詞的には「Hard to say〜」が主観だとすれば、素直になれない人を客観視しているような感じだなと。
【河邉】 「Hard to say〜」の歌詞を書いて思ったんですけど、世の中のいろんなことが“素直になれなくて”っていうことと密接に関わっているんだろうなって。なので、この曲も、3曲目の「旅立ちの唄」も、素直になれない気持ちをどこかに抱えているんです。歌詞としてそれを意識したワケではないんですけどね。
【杉本】 「強がりバンビ」は昨年、対バンしたバンドさんたちが楽しい雰囲気の曲をやっていて、僕らにはまだそういう曲がないな〜と思って作った曲なんです。
──「旅立ちの唄」には、何かエピソードがあるんですか?
【杉本】 僕ら、この4月に上京してきたんですけど、地元を出てくるときに、お世話になった人たちの気持ちを改めて考えたんです。すごく愛してくれてたんやなぁって感じて。だから純粋に、人の温かさを表現したいなと思って、感情のままに書きました。
【奥野】 「Hard to say〜」で音を詰め込むだけ詰め込んだので、この曲では逆に余白を楽しんでいます。3人それぞれの楽器、1つ1つの音が粒立って聴こえるし、声もめっちゃ立っていると思います。
──では最後に、6月のワンマンツアーへの意気込みをお願いします。
【杉本】 ワンマンライブを自分らの地元以外でやるのは初めてなので、楽しみですね。今回ドラマで僕らのことを知ってくれた人が、生で僕らの音楽を聴く楽しさを感じてくれたらうれしいなと思います。そのためにもいいライブをしたいですね。
(文:三沢千晶)