学問を第一として君主の素養を培い、和歌と管絃で権威を確立した天皇による日本文化創世の軌跡
10世紀初頭の『古今和歌集』から500年続いた勅撰和歌集を縦糸に、古代、中世の天皇による多彩な和歌の活動を究明。戦乱を越え、古今伝受などによる近世和歌の復興と継承も明らかにする。また、今様の後白河、琵琶の後鳥羽など芸能王の系譜を辿り、天皇権威と秘曲伝受の密接な関係を解明。「第一御学問也」とされながらも立花、茶の湯なども愛好した天皇と伝統文化の歴史を解説する。
著者:渡部泰明(わたなべ・やすあき)/東京大学大学院教授
1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は和歌文学。主著に『中世和歌の生成』(若草書房)、『和歌とは何か』(岩波新書)などがある。
著者:阿部泰郎(あべ・やすろう)/名古屋大学大学院教授
1953年生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、名古屋大学大学院文学研究科教授。専攻は中世の宗教文芸。著書に『湯屋の皇后』『聖者の推参』(以上、名古屋大学出版会)などがある。
著者:鈴木健一(すずき・けんいち)/学習院大学教授
1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、学習院大学文学部教授。専攻は江戸時代の文学、詩歌史。主著に『江戸古典学の論』(汲古書院)、『江戸詩歌史の構想』(岩波書店)など。
著者:松澤克行(まつざわ・よしゆき)/東京大学史料編纂所助教
専攻は日本近世史。主な論文に「公武の交流と上昇願望」(『権威と上昇願望』吉川弘文館)、「寛永文化期における九条家文庫点描」(『文学』第11巻第3号)、「『天皇皇族実録』の編纂事業について」(『史鏡』第53号)など。
【シリーズ完結】本巻をもちまして「天皇の歴史」全10巻は完結しました。