ユークロア・ヴァンパイア種族

 ユークロア・ヴァンパイア種族は通常、人間の血液以外は口にしない。
 人間の血液以外は毒のようなもので口にすればそれだけ寿命は消費され、そして血液を飲まなければユークロアは数週間で死に至る。

 ユークロアは男性種のみの種族であり、人間の主に女性を使って繁殖を行う。
 血を飲み干した人間の体に受精卵を植え付ける卵生種である。
 卵は首の後ろ側にある卵巣のような器官から、犬歯を使って植え付けられる。

 受精卵は死体が腐敗を始める頃に孵化し、産まれたユークロアの幼体は屍肉を食らい始める。その過程で母胎の卵子を食べて自らの卵巣に取り込み、受精を行うために成体へと成長する。
 そして、受精後に新たな母胎となる人間を襲いその受精卵を植え付けるのである。
 なお、ユークロアの受精は生涯一回きりであり、以降は新たに卵子を取り込んでも受精は行えない。

 成体後のユークロアの寿命と能力は、幼体時に食らった屍肉の量で決定される。
 屍肉の量が多ければ多いほど寿命は短くなり、逆に能力は高いものとなる。

 仮に母胎が受精可能な卵子を有していなかった場合、幼体は卵子を取り込めず、母胎を離れるために亜成体に変化する。
 亜成体はほとんどの場合母胎を食い尽くしているため、成体に比べても能力は非常に高いが寿命は極端に短い。また、受精能力も失っており、亜成体の状態で卵子を求め彷徨うが卵子を取り込んでも意味はない。
 その能力の高さから、兵隊として意図的にこの亜成体を作り出す場合もある。

 また、幼体時にもっとも最初に卵子を食らい他に何も口にすることなく成体になったユークロアは、取り込んだ卵子を受精後に卵巣のさらに奥の卵室と呼ばれるスペースに運び、卵巣において完全複製する能力を持つ。
 栄養状態さえよければ何度でも複製は行え、複製された受精卵は母胎となる人間に植え付けられて新たなヴァンパイアを産み続ける。
 この『ユークロア・マザー』と呼ばれる存在により個体数を増やしていると思われる。
 ただし、屍肉を食わねば成長できないためにヴァンパイアとしての力はほとんどない。
 ごく稀にではあるが、高度な能力を持つ『ユークロア・マザー』が誕生する場合もある。  オリジナル・ユークロア・ヴァンパイア、レギオルィズ・ユークロアがまさにそれであった。

 ちなみに、ユークロアに血を吸われ、だが卵を植え付けられなかった場合。
 その者たちは唾液が固体化して出来る物質を脊椎に植え付けられ、リビングデッドと化してユークロアの兵隊へと成り下がる。
 ユークロアの多くはこの兵隊を従えている。ただし、支配後も肉体の腐敗は止まらないため、神経や筋肉などが腐敗してしまい兵隊としてはあまり長持ちはしない。




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