ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




三華堂文具店。中央区新富1-7。1988(昭和63)年2月14日

前の通りはかつての電車通りで、近年は平成通りという通称がついている。都電が廃止されるまでは、三華堂の前に渋谷行きの電車の新富町停留所が、写真左へ行った喜久屋ビルの前に浜町中の橋行きの停留所があった。現在は同位置にバスの停留所がある。
三華堂の間口はけっこう広い。三華堂の両側の、蛇の目鮨とむかでやはすでにビルに変わったが、そのビルと同じくらいありそうだ。昭和25年頃の火保図では、「百足ヤ呉服、塩田文具、中キ久乾物・中堅蛇の目すし」と並んでいて、撮影時でもだいたいは商売が続いているようだ。



三華堂文具店の欄間のステンドグラス。1987(昭和62)年頃


三華堂文具店
1987(昭和62)年5月3日

斜めから撮っているので建物の幅が縮小されて、上部の三角の飾りがやけに大きく見える。

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正金アパート
中央区新富1-17
1985(昭和60)年11月10日

新富町を東西に通る商店街から新大橋通りに出る角に、今も立っている。
1931(昭和6)年の建築で最初からアパートとして建てられたらしい。戦前の名称も「正金アパート」である。

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かしはや。中央区新富2-3。1987(昭和62)年5月24日

平成通りの西の裏通りで、写真右の三長会のところで旧築地川の河岸の通りに出る。
写真左端の三好弥という洋食屋は今もそのままで営業している。三好弥の右は住宅地図では「かしや」となっているが昭和25年頃の火保図では「傘かしはや」で、このほうが正しそうだ。写真中央の日本家屋は料亭だろう。2枚目の写真にそれらしい行灯風の看板を出しているのが写っている。戦前の地図では「待合清水」で、その建物らしい。



1枚目の建物を向きを変えて撮ったもの。1987(昭和62)年5月



三長会。新富2-3。1988(昭和63)年2月14日

1枚目の写真の右に写っている建物。上部のレリーフを撮ったこの写真しか撮っていないのでここで出しておく。昭和25年頃の火保図では「飯沢木工所」。

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新光精工倉庫。中央区新富2-15。1987(昭和62)年1月15日

前の道路は新大橋通りで、今も正金アパートという古いビルがあるが、その少し南である。ビルには看板がまったくないからすでに空き家らしい。ビル全体に網がかけられている。このビルの写真はこの1枚しか撮っていないので、昭和のうちになくなったのだろう。昭和25年頃の地図では共同海運K.K。



相川印刷。新富2-15。1987(昭和62)年12月30日

写真右角の相川印刷は新光精工倉庫のちょうど裏側。北のほうを見ている。

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豊田園茶舗
千代田区神田神保町2-11
上:1987(昭和62)年11月1日
左:1985(昭和60)年10月27日

上の写真左の蔦に覆われた建物は東洋キネマ。写真右の道路を奥に行くと矢口書店の角で靖国通りに出る。
上の写真は南向きの正面のほうが暗いから午前中に撮った写真だが、よほどどんよりした日だったらしい。左の写真を撮ったときには建物全体の写真を撮っていないらしく、他に出せる写真がない。

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東洋キネマがあった頃のさくら通り。千代田区神田神保町2-11。1985(昭和60)年2月24日



東洋キネマ。1983(昭和58)年9月

『近代建築ガイドブック』(東京建築探偵団著、鹿島出版会、昭和57年)によると、設計:小湊健二、施工:西林組、竣工:昭和3年。解説文に『……一電機技師の彩管によるものであるが、そうした震災復興期のダダ的熱狂の余熱を今に伝える唯一の作……』とある。
『建築探偵の冒険』(藤森照信著、筑摩書房、1986年)には設計者が判明した事情とその小湊健二との対談が書かれている。
『東京路上細見1』(林順信著、平凡社、1987年)に映画館だった東洋キネマの写真が載っている。建物中央のギザギザの半円の上に東宝のマークを掲げていて、クレージーキャッツの「クレージーメキシコ大作戦」という映画の広告があるから1968年の撮影だ。建物右の四半円の下にスチール写真を掲示したショーケースがあり、建物中央の茶色の柱に券を売る窓口が開いている。閉館したのはいつで、どんな映画がかかったのだろう?



東洋キネマ。1987(昭和62)11月1日

撮影時の住宅地図では「(合)東洋キネマ/東洋プロダクション/東洋映像視聴覚センター/スタジオコモン」となっている。写真の足場は外壁の塗装のためのもの。すでに四半円の左にあった「TOYO KINEMA」の文字がなくなっているが、この時丸窓の上の「東洋キネマ」の文字も外された。解体される前は明るいクリーム色になっていた。
建物中央の「急告」の掲示板は地上げに関係したものらしい。写真から読み取ろうとしたがちょっと無理だった。

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さくら通り入口。千代田区神田神保町2-9。1985(昭和60)年8月4日

すずらん通りの道筋は神保町2丁目ではさくら通りという名称になる。すずらん通りのほうが1丁目でさくら通りのほうが2丁目、といったほうが分かりやすいかもしれない。写真の入口は専修大前交差点のほうで、白山通りの神保町交差点の方が通行人は格段に多いから裏口という感じだ。



○○洋紙店。神田神保町2-9。1987(昭和62)年11月1日

さくら通りの西側の入口の角にあった家。空家らしく、看板はなくなっていて1階軒の上に文字が残っているのだが信号機の陰になって肝心の文字が隠れてしまった。



成光中華そば店。神田神保町2-23。1987(昭和62)年11月1日

これもさくら通りの西側の入口、南側の角で今もあるようだ。看板が中華料理でなく「中華そば」としているからラーメン屋の部類らしい。
成光の右はイタリア書房。名前の通りイタリアやスペイン、ポルトガルなどの洋書専門店。こういう店が成り立つところが神保町の奥深さだろうか。

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赤と黒。千代田区神田神保町1-31。1985(昭和60)年8月4日

白山通りの東の裏の道で、写真右に行くとすずらん通り。


元はバーか喫茶店だった民家。神田神保町1-27。
左:1991(平成3)年頃。右: 2001(平成13)年10月

すずらん通りの東京堂書店の裏のブロック。たぶん建物は現存すると思う。左の写真の家は普通の住宅に改装されている。


茶房きゃんどる、康楽
神田神保町1-35
1996(平成8)年5月4日

『街の記憶』(石橋総合印刷編集、1989年)によると、「きやんどる」は昭和8年に開店した店が空襲で焼けて、戦後この場所に移転した。写真の店舗は昭和22年の改装である。昭和63年頃で、コーヒー・こぶ茶330円、日本茶450円。
建物は1999年6月に取り壊されている。写真のブロックのすぐ南に東京パークタワーが建って、今はその1階で営業している。

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寿ビル。千代田区神田神保町1-3。左:1983(昭和58)年9月、右:1991(平成3)年頃

左の写真は隣の冨山房がまだ旧ビルだ。アーケードの下の白い袖看板はビル左側の東京時計商会のもので、電飾の方は「JOYLAND」。ゲームセンターだろうか?
寿ビルは杏花楼という中国料理の料亭として建ったもので、設計者は森山松之助、1929(昭和4)年の竣工。杏花楼は後に中華第一楼に変わったらしい。「廃景録>消えた近代建築」によると、現在では銀座の越後屋ビルで営業しているという。
ビルの左側上部に「Shoes & Boots」の文字が残っているから靴屋かその関連の会社が入っていたときがあったわけで、ビルの左側は最初から事務所に使っていたのかもしれない。
アーケードが取り除かれたら、杏花楼だったときの中国風の屋根を乗せた入口が現れた。



寿ビル。1992(平成4)年5月5日

『改変によって過剰な装飾の持ち味の大半が失われたのは惜しまれる』(『帝都復興せり!』松葉一清著、平凡社、1988年)というが、これ以上の装飾がどういうものだったのか想像できない。

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冨山房。千代田区神田神保町1-3。1985(昭和60)年9月

旧冨山房書店のビルがあった頃のすずらん通り。右から、内外ビル、キリンや(メンズショップ)、ビカ、冨山房、寿ビル。


冨山房。1983(昭和58)年9月

設計:佐藤功一、施工:竹中工務店、竣工:1932(昭和7)年。解体:1985(昭和60)年末。
白い壁面に金色に塗られた繊細なレリーフ。なにか高価なものを入れた化粧箱のようで実にきれいなビルだ。本の背表紙だという3列の半円の出窓が豪華さを出している。三省堂や東京堂が仮建築のような木造の建物だったときにこういう瀟洒なビルを建てられたのだから、当時は神田の本屋といえばまず冨山房が挙がったのかもしれない。あるいは出版社が書店も経営していたという形だろうか。
南向きに立っているのだから日が当たっている状態で撮りたかった。

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