今回タイムシフトカードの紹介記事を書かせていただく森田です。打ち合わせの時に各自の担当する色の奪い合いがあったのですが、すべての色が好きな僕はマルチカラー&茶色&土地の「その他」を担当することになりました。
復活してきたカードはどれも興味を引くものばかりで、特にマルチカラーのカード達は、ラブニカブロックのショックランドがある『今』がかなり使いどころなんじゃないでしょうか。
では、さっそく注目のカードを紹介していきたいと思います。
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■《影魔道士の浸透者》
あのフィンケルが帰ってきた!!
去年殿堂入りを果たしたジョンフィンケルが2001年のインビテーショナルに優勝した時に考えたカードで、オデッセイからの再録です。
このカードはマナコストも同じ《ディミーアの巾着切り》とよく似ていますが、決定的な違いは自身に回避能力が付いているところです。もっとも、回避能力というのは相手のブロックをかいくぐるための能力のことで、飛行と畏怖が定番にして二大巨頭。代わりにディスカードさせることは出来なくなっていますが、畏怖のおかげで相手に2/2のクリーチャーがいたとしても、簡単にドローできるようになっています。とても素晴らしいカードです。タフネスも3と高めなので《ショック》系で死なないのもチャームポイント。
初登場となったオデッセイの当時から注目されていましたが、同じ時期に《野生の雑種犬》や《サイカトグ》を使ったデッキが多かったため、畏怖の長所をうまく活躍させることができず、当時のスタンダードではあまり見かけることがありませんでした。
が、今なら天敵達も消えてしまっているので、これからのスタンダードでの活躍が期待できそうです。今なら《闇の腹心》とコンビを組ませて新しい有名人デッキなんてのもできるかもしれませんよ。
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ベン・ルービンの「Finkula」
グランプリ・アナハイム優勝/エクステンデッド
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■《稲妻の天使》
飛行、警戒、速攻と能力も名前も見た目もかっちょいい天使。アポカリプスからの再録です。
4マナ3/4のサイズで警戒も付いているので、相手の攻撃を止めながら一方的に殴り続けることができ、この天使はコントロールデッキのフィニッシャーに向いているかもしれません。
4マナ3/4のサイズで速攻も付いているので、ビートダウン系のデッキに入れるのもいいかもしれないです。
つまり、どんなデッキにも使えるんじゃない? と思いたいのですが、《稲妻の天使》はという色マナのせいで使えるデッキはかなり限定されてしまいます。しかしマナコストも能力も見た目もかなりいいものを持っているので、ショックランドを大量に入れて無理矢理こいつを使ってみる価値はありそうですよ。
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黒田 正城の「Raka Deck Wins」 designed by 藤田 剛史
The Finals 2005 優勝/エクステンデッド
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■《ニコル・ボーラス》
10年ほど前のクロニクル(正確にはもっと前のLegends)から再録された、種族にエルダーとあるように見た目もすごくおじいちゃんなドラゴン。
マジックをはじめたばかりの僕はこのドラゴンを引いて、はしゃいでた記憶があります。今思うと一度も召喚できなかった気もしますが・・・。
古老なわりにサイズは7/7と他のドラゴンより大きいんですが、このおじいちゃんはマナコストが半端ない。先ほど《稲妻の天使》の色マナが濃くてキツイと話しましたがさらに倍の色マナ&8マナと超重量級で、この色マナの数はマジック界一かも。やっぱしおじいちゃんドラゴンは出てくるのに相当な年月(ターン)が必要そうです。
そんな大変なこのおじいちゃんですが、相手にダメージを与えるととんでもないことを起こしてしまいます。大昔はこのおじいちゃんをコンセプトにしたデッキ(古すぎて聞いた話だけですが)があって、《浅すぎる墓穴》との組み合わせで2,3ターン目に速攻でおじいちゃんを走らせて、相手の手札をすっからかんにしてたそうです。う〜ん、今《御霊の復讐》があればスタンダードでもできたんですが、残念。
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■《虚空》
インベイジョンからの再録です。
全体除去とハンデスを兼ね揃えたカードで、クリーチャーを展開してまとめて除去られると嫌だから手札に温存しておこうなんて対戦相手の甘い考えを一発で打ち砕いてくれます。昔からトーナメントではちらほら見かけたのでこれからも使われるんじゃないでしょうか。僕の知っている《虚空》を使ったデッキで一番成績良かったデッキを紹介してみます。
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森 雅也の「"Square" Void」
2001年度日本選手権4位
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当時、友人達(主に世界の"Go Anan"こと阿南 剛君)と《虚空》を賭けてポーカーや大富豪などでいろいろな勝負をしていたためか、僕の家には《虚空》が大量にあります。トレード希望の方は、会場で僕を見かけたら声をかけてください(笑)
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■《トーモッドの墓所》
お手軽な墓地対策カード、クロニクル(正確にはもっとまえのThe Dark)からの再録。
今まで墓地をリムーブするアーティファクトは色々ありましたが、0マナ&0マナ起動なんてのはこのカードくらいじゃないでしょうか。しかも相手の墓地をまとめて消し去ってくれるので、ちまちまやるのが嫌いな人にもおすすめです。アーティファクトなので、使えるデッキを選ばないのもかなり良いですね。フリゴリッドやCALみたいに墓地をよく使うエクステンデッド環境でのサイドカードとして活躍しそうです。
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■《ペンデルヘイヴン》
Legendsからの再録。
神河物語のレジェンドを強化する土地シリーズはマナとしての性能が基本地形となんら変わりなかったので、レジェンドを使ってるデッキにはとりあえず1枚入れとけ的なノリになってました。
このランドも明らかにそんなノリで使われるんじゃないでしょうか。どんな1/1クリーチャーも《森》を得た《密林の猿人》になれる伝説の森、しかもタップだけという超優れもの。デッキを組む時《ラノワールのエルフ》なんかを使うなら《森》を1枚これにするとお得ですね。ただ、対消滅してマナ事故が起きないように気をつけましょう。
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■《宝石鉱山》
ミラージュブロックのウェザーライトからの再録。
当時の多色系のデッキには大抵入っていた土地です。マナを大量に必要とするコントロール系のデッキには向いてなかったんですが、ビートダウン系のデッキは好きなマナが出る土地をたくさん使って、5色のいいとこ取りなデッキが流行っていました。
今ならお帰りランドと併用して使うと、新品になって帰ってくるので地味に活躍するかもしれません。しかし、ショックランドがある今、日の目を浴びるのは当分先となりそうですね・・・。
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Jakub Slemrの「5color black」
1997年度世界選手権優勝
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9年前のワールドチャンピオン、ヤコブ・スレマーが使用していたデッキです。5色ランドを大量に入れて黒のウィニークリーチャー、赤の火力、青のバウンス、白と緑でエンチャント&アーティファクト破壊と、こんな多色でも事故らず回ってしまうところが5色ランドのすごさを物語っていますね。
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今回はマルチカラー、アーティファクト、土地のタイムシフトカードの一部をピックアップしてみました。まだまだ色々と面白いカードが揃っているので、他のカードも使ってみたいところですね。またいつかの機会にお会いしましょう、ではでは〜 |
森田 雅彦 (もりた・まさひこ)
日本を代表するテクニシャンで、特にグランプリ戦線で見せる安定したパフォーマンスは特筆すべきもの。ベストエイト入賞回数が15回(世界4位)、うち優勝が3回と力強い。
チームフォーマットにおける名選手の一人としても知られており、黒田 正城と森 勝洋をチームメイトに結成した「PS2」はマスターズ・ヴェニス大会で優勝を飾り、グランプリでも二勝をあげた。
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