『僕の彼女はサイボーグ』綾瀬はるか 単独インタビュー

『猟奇的な彼女』、『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジェヨン監督が、日本を舞台に描くピュアでせつないラブストーリー『僕の彼女はサイボーグ』。いま最も旬の若手女優、綾瀬はるかが、無敵のサイボーグを演じることでも話題になっている。撮影現場では怪我も覚悟で挑んだという彼女に、役作りや、クァク監督との撮影エピソードなどを伺った。


僕の彼女はサイボーグ
― 最初に出演が決定したときにはどう思いましたか?

綾瀬はるか(以下:綾瀬):  このお仕事をいただく前に、『猟奇的な彼女』とかクァク監督の作品を、劇場に観に行ってたんです。強い女の子とちょっと情けない彼氏、というカップリングがすごく好きで。その監督と一緒にお仕事ができるっていうのは、すごく楽しみだなって思いました。

― サイボーグ役を演じる上で気をつけていたことは?

綾瀬:  余分な動きをしないということですね。歩き方とか、顔の動きとか、目の動き…瞬きをしないっていうのはいつも心がけてました。
 ロボットダンスのシーンは一番大変だったかもしれないですね。ロボットの動きがわかるものや、おもちゃのロボみたいなものを見て研究しました。あとはダンスの先生に、クランクインする前に10日間くらいロボットの仕組みを教えてもらったんです。関節がどこにあって、人間のようには歩けないということを教わって、一つひとつの関節を動かす練習をしました。時間がなくて、あとは全部、自主練習。神戸などのロケに出てからは、先生に来ていただいて、撮影がお休みの日はずっと練習していました。

僕の彼女はサイボーグ
― アクションシーンや大地震のシーンがとても印象的でした。

綾瀬:  震災でジローがサイボーグの彼女を探しに行くシーンで、寒い深夜、雨降らしをしている中で、ずっと瞬きしてはいけないのがすごく大変でした。(瓦礫に埋もれて)手だけ出ているシーンでも、本当に土の中に埋められてずっと待っていたので、すごく怖かったですね。

― 撮影現場で怪我されたということですが…。

綾瀬:  アクションシーンとは関係なく、黒幕に走って入っていくというシーンで、黒幕の中に鉄筋みたいなのが入っていたんですね。それを教えてもらっていなくて、そのまま走っていって、鼻を「カーン!」と鉄筋にぶつけてしまったんです。そのまま「バターン!」と倒れちゃって、血がブァーって出て。周りのスタッフはみんな、何が起こったのかわからなかったみたいで(笑)。そのうち鼻が腫れてきて、まわりがアザみたいになってしまって。骨が折れていることもわかったんです。

僕の彼女はサイボーグ
― それは大変ですね!撮影は中止になったんですか?

綾瀬:  それが、その舞台を借りている日がその日しかなくて、「すぐ続けましょう!」って(笑)。最初は腫れがひどくて、メイクも塗って、なるべくわからないように撮りました。引き(ロングショット)のシーンを多く撮ったのかもしれない。多分、腫れがわかるところはカットされてますね。私も撮った映像を見て、「あ、大丈夫だ」って思ってほっとしました。

― 完成した作品を観ていかがでしたか?

綾瀬:  CGのシーンが多いので、撮影中はグリーンバックの中で「こういうつもりでやってください」と言われて、イメージしながら演じるシーンが多かったんです。実際に完成したものを観ると、目から光線が出たり、体が半分になっていたりして、「あー、こうなってたんだ。すごい!」っていう見ごたえがありました。

綾瀬はるか
― 本作の「彼女」は100年先の未来からやってきますが、綾瀬さんが今から100年前に暮らす人たちに伝えたいことは?

綾瀬:  「みんな元気に頑張ってます!」って伝えたいですね(笑)。伝えたいっていうよりも、当時の食べてるものとか、景色とか、どういう暮らしをしていたかが見たいです。

― 韓国人のクァク監督とお仕事して、日本の撮影現場との違いは感じましたか?

綾瀬:  撮影進行そのものに違いは感じなかったです。どこの国でも一緒なんだなって思いましたね。韓国の監督だからか、クァク監督だからなのかはわからないのですけど、クァク監督はより心の交流が近いというか。お父さんみたいな、家族のように話しやすい方でした。
 印象に残っているのは、監督から「怖がらなくていいから。監督っていうのは役者に対しての一番の味方だから。モニターを見ながら、一番に見守ってるよ」って言っていただいたことですね。監督が味方っていう感覚を今までもったことがなかったんです。もちろん、一緒に作品を作る味方ではあるけど、どこかで、監督は「これをやってください」と言う人で、できなかったら、どこまでできるのか?という、個人個人の戦いみたいな感じがあって。クァク監督の言葉で、監督は仲間なんだという、より近い感情を持ちましたし、安心しましたね。「怖がらなくていいんだ、自分が思ったことを自信をもってやればいいんだ」って思えて。心強かったですし、自信をつけさせていただきました。

― クァク監督は過去作品でも強いヒロインを描いていらっしゃいます。綾瀬さんは強い女性像についてどう思われますか?

綾瀬:  いろんなものを受け入れる強さをもっている人…自分が何が出来るかを考えて、いろんなことを消化して前に進める女性は憧れますね。本当に人に優しい人や、自分の信念を持っている人は、かっこいいなって思います。


内面の演技に加え、アクション、ダンスなど見事な身体能力を発揮し、キュートで強いサイボーグを演じきった綾瀬はるか。2008年は『ザ・マジックアワー』、『ICHI』などの公開も控え、ますます彼女に注目が集まっている。次回作ではどんな一面を見せてくれるのか、今後も目が離せない。

僕の彼女はサイボーグ 僕の彼女はサイボーグ
ひとりぼっちで過ごす20歳の誕生日。寂しい大学生ジローの前に、突然キュートな“彼女”が現れる。彼女と過ごした数時間は人生の中で最も輝ける時間となるが、突然彼女は姿を消してしまう。1年後の21歳の誕生日、ジローは再び彼女に出会う。似ているけれどどこか違う、“完璧”な彼女に。しかしそれは、決して起こるはずのなかった、運命を変えてしまう“恋”の始まりだった。
[ 2008年5月31日(土) サロンパス ルーブル丸の内他 全国松竹・東急系にてロードショー ]

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