<火山と氷の島 アイスランド>
ヨーロッパ最西、一部が北極圏にかかるアイスランドは、103平方キロメートルの面積をもつEUで2番目に大きな島国。9世紀にノルウェーを中心とした植民者により建国され、930年には世界最古の民主議会アルシンギが開催された。植民者はアイルランドやスコットランドに立ち寄り、ケルト系の住民を連れて来たことにより、アイスランドの言語や文化は北欧だけでなくケルト文化の影響も受けおりアイスランド人の名前やその外見にも表れている。日本同様漁業が盛んで、地震と火山があることから各地に温泉がある一方で、氷河、大地の割れ目、オーロラ、白夜などの自然環境を併せ持つ。
<アイスランドの音楽界の鬼才>
ビョーク、シガー・ロスなど世界的なミュージシャンが次々と生まれるアイスランド。その中で最も注目されるアーティスト、ヨハン・ヨハンソンは、90年代より、映画や演劇やダンスやメディア・アートとのコラボレーションを積極的に行いながら、ジャンル横断的な作曲・演奏活動を繰り広げている。これまであまり知られることのなかったアイスランドの音楽シーンを描く
ドキュメンタリーも最近話題になっている。
マーク・アーモンド(ソフト・セル)、ヤキ・リーヴェツァイト(カン)、レティシア・サディエール(ステレオラブ)、パン・ソニック、ハフラー・トリオなど、ジャンルを問わず多くの音楽家と共作・共演を行っている他、世界的に名高い振付家/ダンサーのエルナ・オウマルスドッティルとのコラボレーション(『IBM 1401, a user's manual』等)。シンクタンク、アート・オーガニゼーション、レコード・レーベルと様々な機能を持つキッチン・モーターズの創設メンバーであり、4人のオルガン奏者とドラマー1人というユニークな編成の「マシーン・ロックンロール」バンド、アパラット・オルガン・カルテットの一員でもある。
池田亮司やフェネスなどのリリースでも知られるイギリスのレーベル、Touch からリリースされた2枚のソロ・アルバム『Englaborn(天使の子供)』(2002)と『Virhulegu Forsetar(立派な大統領たち)』(2004)はどちらも世界中の音楽メディアから絶賛される。
ここ数年は、ストリング・カルテットとパーカッショニストを含むアンサンブルでソロ作品の演奏ツアーを行っている。
本年2月には札幌市のモエレ沼公園で「雪に囲まれた人の営み」をテーマにした作品を書下ろし初演した。現在日本で行われているグレゴリー・コルベールのアート・プロジェクト「Ashes and Snow」に曲を提供している。
<“霧の彫刻家”とのコラボレーション>
本公演では、ヨハン・ヨハンソンの音楽とともに、アーティスト中谷芙二子による“霧環境”が観客を包み込む。気象や環境の条件によって刻々と変化する霧を人工的に発生させ、コントロールし、目に見えない空気のゆらぎに形を与える。
地球環境へのまなざしが問われる現代、人工の島お台場であえて最も身近な自然の佇まいを感じ、そこに多様な物語があることを発見する機会となるだろう。