大部分の親たちは今でも子宝だと思っているでしょう。信じられない事に赤ん坊を車の中に放置したり、なかには殺してしまう人さえいます。子供がもう少し大きくなった後でもなかには子供を好きになれない人もいるでしょう。そういう人はきっと自分自身のことも好きではないのだろうと思います。子供の言動は親の気持ちを写してしまうため親にとって子育ては自分自身との戦いでもあります。家族の問題が最も難しいと言われるのはこのためなのかもしれません。

　親は子供を育てていく中で自分自身の成長にも気づき満足感を得ます。子供が自分より小さいからと言っても、心の中まで幼いわけではないのだと思います。子供に足りないのは経験です。親と同様に広い心の空間のなかでもがいているのだろうと思います。

　問題を起こした子供の親はたいてい自分の子に限ってと言います。親は自分自身を知らなければいけません。知らず知らずのうちに子供にストレスを与え、そのはけ口が親の知らないところに向かいます。

　継ぐ家業もなく、手伝う農作業もないことが多い現在の家庭では親子は協力し合って一つのことを成し遂げる機会も少ないでしょう。そうなればなおさら、気持ちのぶつかり合いが大きな比重を占めます。

　子供は親が成長するために必要な宝を持って生まれてきてくれたという気がします。子供は掛け替えの無い宝です。

-2000/11/6