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列車によるヨーロッパの旅


 その日はスイス(チューリッヒ)経由でドイツに入る予定だった。直行便は金がかかるから経費節約のために、いろいろな都市を経由することになる。飛行機の窓の外にはアルプスの少女ハイジの舞台になったアルプスが目に飛び込んできた。たしかに雪を頂いたスイスのアルプスは美しかった。

 スイスにあるチューリッヒ空港に降りたったまでは予定通りだった。ところがスイスは大雪。次の便はいつ出るか分からないらしい。会社の上司と同僚を含めた計四人は空港で待つことになった。目的地に向かう飛行機に乗れないことから、保険が効いて当日は空港近くのホテルに宿泊になった。ホテルには着いたがあわただしく、とても旅を楽しむという気分ではない。幸い、翌朝にはホテルの近くにレマン湖があり、四人でそこまで歩いた。大雪で飛行機が飛ばないくらいだから、湖は雪に覆われ、どこが湖だか分からない。同僚の「ここはレマン湖だ」という言葉に思いをめぐらせた。

 それからまたチューリッヒの空港に戻る。上司の話に寄れば、訪問先のドイツではいつになったら到着するのか我慢できないくらいに待っているらしい。そんなことを言われても飛行機が飛ばないのだから仕方がない。空港でブツブツ言いながら待ちながら、見通しが立たないと言うことからついに決断の時が来た。

 「空路は当てにならない。陸路(列車で)ドイツに入ろう」ということになった。我々は重い荷物を持って駅に向かった。これから先は予定外の非常事態で、まもなく四人の役割分担が決まった。上司は陣頭指揮、同僚の一人はナビゲーター、編者ともう一人の同僚はもっぱら荷物運びという重要な任務を担うことになった。

 利用した列車はインターシティと呼ばれる急行(特急?)列車だ。ところが目的地に到着するためには乗り換えなければならない。ナビゲーターは現地で手にいれた時刻表をにらんで次に乗り換える列車の見当をつける。乗り継ぎの駅につくと戦争状態になった。乗り継ぎの時間がない。ナビゲータは駅に降りるとすぐに案内板で次の列車が何番ホームから出るか調べてすぐにそれを知らせる。荷物運びの任務を与えられた編者らはドイツでの数ヶ月に及ぶかも知れないと言うことで多くなった荷物を台車に載せ、次のホームに向かう。編者は角で荷物を落としてしまった。慌てて荷物を台車に戻していると笑いながらその様子を見ている現地の人らしいおじさんと目が会った。冷ややかではない、暖かい笑顔だった。必死になって動き回る人の失敗に思わず笑みがこぼれてもそれが暖かいのは万国共通なのだろう。

 何とか次の列車に乗ることが出来た。しかし座れるような席は無い。列車で国境を越えることになるがどうするのだろうかと心配したが、パスポートを見せたら終わりだった。持ってきた怪しげな荷物(製品)もヨーロッパ製だったせいか深くは追求されなかった。それより、ヨーロッパでは日本人には甘い。お金を落としてくれる大事なお客様だという考え方が定着しているのだろうか?

 夜走るインターシティには食堂車がついていた。これは日本での特急(ブルートレイン)に似ている。新幹線よりは揺れが激しい。その食堂車では夕食を食べた。たしか、ステーキだったと思う。美味しかった。しかし、ステーキ屋でバイトをしたことのある自分にとっては最上級のステーキだとは言い難い。欧米の人々の手頃なご馳走はステーキらしい。しかし、ステーキが最も美味しい国は日本だと思う。

 それにはいくつかの理由がある。一つは醤油をベースにしたソースであること。そして細かに脂肪の入った日本の肉は絶品で柔らかく、とろけるように旨い。これは日本人がラーメンを好きな理由が日本のラーメンが美味しいからに他ならないと言うことに似ている。そして最後の理由は編者が日本人だからと言うことになる。

 そうこうしている間にドイツに着いた。これで列車の旅も終わり。ドイツに入ってからの話は別の機会に書きたいと思う。(一部給食・学食・社員食堂の旅に掲載済み)

 -2001/9/17
 -2006/5/6 推敲





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