北海道に残るアイヌ民族について報道がなされるたびに、不思議に思うことがあります。それは、アイヌ民族がかつて住んでいた土地に日本民族なる野蛮人がやってきて、先住民だったアイヌ民族を追いやったという考え方が底辺にあるかのごとくに報じられていることです。
ぼんやりとそんなニュースをごらんになっている日本人のみなさん、これは大きな間違いです。アイヌ民族が土地を追われたことは事実でしょうが、そうした状況は縄文時代から弥生時代に代表されるように、日本中で起きていたようなのです。それが徹底された結果、日本本土の先住民はそれぞれの民族を主張できないくらいに曖昧になってしまったのです。というわけで、日本には日本人はいても固有の日本民族は存在しない、と考えた方がいいようです。つまり、日本人はアイヌ・琉球・朝鮮・モンゴル・中国・その他いろいろなところの民族からなる混血で、その構成比は不明です。
アイヌや琉球の人々は比較的先祖をたどりやすい日本人、それ以外の日本人は正体がよくわからない日本人という分類をした方が正確だろうと思います。
カナダにカナダ人はいても、カナダ民族はいないように、アメリカにアメリカ人はいてもアメリカ民族はいないように、そしてフランスにフランス人はいてもフランス民族はいないように、日本には日本人はいても日本民族はいない、というのが常識的な考え方であるように思います。
それならば、日本人としてのアイデンティティはどこにあるのでしょうか?日本人としてのよりどころ、誇るべきところ、らしさなど、です。これについて考えさせられる時期がいやでもやってくるように思います。
将来少子化で人口が減り、労働力や活力が不足してきたとき、移民を受けいれるかどうかが問題にされるはずです。異種混交によってできあがった国なのに移民を受け入れようとしないのが日本人だとすれば、その日本人らしさとは一体なんなのか、について問われるときがくるように思います。
-2003/6/5
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